win-winなんて無い事に気づくと交渉が変わる
こんにちは。DIGIPROです。
今回は、ビジネスについて回る交渉についてです。
1.Win-Winって聞いたことある
「win-winの関係を構築しよう」
一時、やたら上司や研修でバズワード的に言われる時期があった。
元々ある考え方だが、どうやら、「7つの習慣」(フランクリン・コビー氏著)で取り上げられ、有名になったようだ。
因みに、7つの習慣自体は名著であり、かなり気づきの多い書籍なので、社会人なら読んでおいて損はない。
しかし、やたら「win-winの関係を構築しよう」と言った事で違和感を覚えた過去がある
2.とある研修での話
企業研修の一幕で「自社と顧客の相互メリットが重なる領域を探し、win-winの関係を気付きましょう」というものがあった。
私は、その研修の後で、講師に聞きにいった。
「相互メリットがあると考えるポイントで顧客が全く応じるつもりがない場合、win-winの状況はどうやったら構築できますか?」
その講師は困った様子で「それでも合意できる点を探しましょう」というだけでした。
私は、この人は実際の交渉に携わったことがないのではないか、と疑念を抱かざるを得なかった。
3.交渉しない選択肢をもつ
win-winが成立するのは、交渉する双方が対等である事が前提になっている事を無視している人が多い。
しかし、ビジネス現場では発注者と受注者(特に競争が激しい場合)は、対等とは言いにくい。発注者側が強い事の方が圧倒的に多い。
現実として、交渉は複数条件のwin-loseの上で成り立っている。
ここは、引けるけど、ここは引けない。
それぞれ、その引けるポイントと引けないポイントが違うのだ。
その考えとして、「BATNA(Best Alternative to Negotiated Agreement)」というものがある。
BATNAを翻訳すると以下になる。
私自身の経験としては、この考え方の方がしっくりくる。
要は、妥結してもよい代替案だ。
この案は譲れる部分がある、という意味で痛みを全く考えないwin-winとは異なるものだ。
交渉とはもともとそういうものだと思う。
1つの条件で駆け引きするのは、非常に疲弊が大きい。
なので、複数の条件で、引くところと、押すところを作る。
条件項目は多い方が交渉はしやすいのだ。
しかし、それでも妥結できるポイントがみつからない場合もある。
最終的に、そのポイントが見つからない場合は、No-deal。
つまり、最終的に取引を行わないという選択肢が取れるかが重要になる。
「この取引は、しなくても問題ない」
と言えれば、一番強いのだ。
しかし、現実的にはNo-dealは最終手段だろう。
特に関係性が深い企業同士であれば尚更だ。(いいかどうかは別として)
No-dealの前に、BATNAで合意できないか。この考えは、綺麗に見える「win-winを目指そう」よりも泥臭いが現実味が強く、深い。
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