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古代のDNAが明らかにした、初期人類の生活、旅行、性交による交流の驚きの実態。

米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2022年03月10日に、サハラ以南のアフリカにおける人口動態の変化を示す新たな研究成果を公開した。

アフリカの遺跡に埋葬された人骨の新たな分析により、アフリカ大陸で最古のDNAが発見され、初期の人類がどのように生活し、旅をし、さらには大切な人を見つけていたかという興味深い物語が語られたと報告した。

44人の研究者からなる学際的なチームは、この研究成果を科学雑誌『ネイチャー(Nature)』誌に発表した。

研究チームは、マラウイ(Malawi)、タンザニア(Tanzania)、ザンビア(Zambia)に埋葬された、1万8000年から5000年前に生きていた6人の古代のDNAから得られた知見を報告している。

Research areas

Division of Behavioral and Cognitive Sciences (SBE/BCS)
Topics

People & Society
Image credit & caption

Hora Rockshelter in Malawi, where excavations uncovered individuals analyzed in an ancient DNA study
Credit: Jacob Davis

Mark Lipson,
Elizabeth A. Sawchuk,
Jessica C. Thompson,
Jonas Oppenheimer,
Christian A. Tryon,
Kathryn L. Ranhorn,
Kathryn M. de Luna,
Kendra A. Sirak,
Iñigo Olalde,
Stanley H. Ambrose,
John W. Arthur,
Kathryn J. W. Arthur,
George Ayodo,
Alex Bertacchi,
Jessica I. Cerezo-Román,
Brendan J. Culleton,
Matthew C. Curtis,
Jacob Davis,
Agness O. Gidna,
Annalys Hanson,
Potiphar Kaliba,
Maggie Katongo,
Amandus Kwekason,
Myra F. Laird,
Jason Lewis,
Audax Z. P. Mabulla,
Fredrick Mapemba,
Alan Morris,
George Mudenda,
Raphael Mwafulirwa,
Daudi Mwangomba,
Emmanuel Ndiema,
Christine Ogola,
Flora Schilt,
Pamela R. Willoughby,
David K. Wright,
Andrew Zipkin,
Ron Pinhasi,
Douglas J. Kennett,
Fredrick Kyalo Manthi,
Nadin Rohland,
Nick Patterson,
David Reich &
E. Prendergast

Nature volume 603, pages 290–296 (2022)Cite this article

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この論文でデータを作成したハーバード大学のデビッド・レイヒ(David Reich)教授の研究室では、「サハラ以南のアフリカで報告されている古代のDNAデータの2倍以上の古さです」と述べている。「この研究は、考古学者と遺伝学者の共同研究として、特にエキサイティングです。」

この研究はまた、大陸中の遺跡に埋葬された28人の公表データを再解析し、そのうちの15人について新しいデータを作成した。

その結果、古代アフリカの狩猟、採集、漁労を行った人々である採集者のDNAデータセットが前代未聞のものとなった。彼らの遺伝的遺産は、多くの人口移動と混合が起こったため、現代の人々から復元することは困難である。

研究者らは、約8万年前から2万年前までの間に起こった主要な人口移動の概要を明らかにすることができた。

約5万年前にさかのぼると、大陸のさまざまな地域の人々が他の地域に移動・定住し、より長い距離で同盟関係やネットワークを構築して、交易や情報共有、さらには生殖のパートナーを探したりしていた。この社会的ネットワークが、彼らの生存と繁栄に役立ったと研究者は書いている。

ライス大学の人類学者であるメアリー・プレンダーガスト(Mary Prendergast, an anthropologist at Rice University)は、この時期に長距離の貿易ネットワークが発達・拡大したことが、人類が最後の氷河期を乗り切るのに役立ったという議論がある、と述べている。「人類は新しい方法で互いに依存し始めたのです」と彼女は言う。「そして、この創造性と革新性が、人々を成功に導いたのかもしれません。」

研究者達は、約2万年前までに、人々がそれほど移動しなくなったことも証明することが出来た。

プレンダーガストは、この研究は、アフリカのこの地域で人々がどのように移動し、混ざり合っていたかをより良く理解するためのものである、と語った。
以前は、アフリカ最古のDNAは現在のモロッコから得られていたが、今回の研究で得られた個体は、バングラデシュがノルウェーから遠いのと同じくらい遠くに住んでいたと、彼女は指摘した。

「考古学上の遺物と古代のDNAを関連づけることによって、研究者達は、アフリカにおける人類の先史時代を探求するための驚くべき枠組みを作り上げた。「この洞察は、人類と人類が共有する複雑な歴史を理解するための新しい道を示している。

https://beta.nsf.gov/now-leaving-43363334d7b588e059c47d2921



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