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アジア駐在員、ウクライナ戦争で原材料高騰など、8割が影響警戒。

アジア経済ニュースNNA ASIAは2022年03月25日に、アジア太平洋地域の日系企業駐在員らを対象に実施した調査で、ロシアのウクライナ侵攻により、自社の現地拠点の事業に「マイナスの影響がある」と答えた割合が3割弱に上ったと報告した。「今後マイナスの影響が出そう」との回答(50.4%)も合わせると、事業へのマイナス影響を見込む声は約8割に達している。

その中で、具体的には原材料価格の上昇を挙げる声が最も多かった。

この調査は2022年03月15日から18日にかけて、アジア太平洋地域の日本人駐在員らを対象にWebアンケートで実施した。

有効回答数は14カ国・地域の686件だった。

https://time-az.com/main/detail/76512

ウクライナ危機による自社事業への直接・間接的な影響を尋ねた質問では、「今後マイナスの影響が出そう」が50%強と最も多かった。マイナスの影響が「大いにある」は13.7%、「少しある」は14.0%で、計27.7%となった。

「影響はない」は11.5%にとどまり、大半の駐在員が自社事業への影響を意識していることが分かった。

このほか、「分からない」は8.2%。「状況を見極めている」という回答も見られた。

一方でオーストラリアからの回答が中心だが、「プラスの影響がある」が0.3%、「今後プラスの影響が出そう」が1.0%と、一部では事業機会の拡大を見込む声もあった。

「マイナスの影響がある」(「大いにある」と「少しある」の合計)と回答した割合を国・地域別で見ると、ベトナムが45.6%と最も多く、シンガポール(40%)、インド(34.1%)、フィリピン(32.7%)などと続いた。インドネシアは12.2%と最も少なく、中国、香港、韓国、タイ、ミャンマー、マレーシアも30%未満だった。

業種別では、製造業が28.7%で、非製造業の25.7%を上回った。分野別では「食品・飲料」が53.3%と唯一半数を超えた。このほか「石油・化学・エネルギー」が46.4%、「建設・不動産」が39.3%と、影響があるとの声が比較的多かった。

マイナスの影響が「ある」または「今後出そう」な理由(有効回答536件、複数回答)では、「原材料価格の上昇」「原油・エネルギー高」「輸送コストの上昇」がいずれも300件を超えた。

具体的な回答を見ても「物流費の高止まりやリードタイムの遅延が懸念される」(タイ/石油・化学・エネルギー)、「穀物を原料として使用しており、その影響を受ける可能性を懸念している」(中国/食品・飲料)などと、コスト負担が増えることを懸念する向きが強く出た。

「ウクライナ産の原料を購入しているため」(ベトナム/食品・飲料)、「ウクライナ産の鋼管をベトナムに輸入する契約があったが、生産できなくなりキャンセルされた。その代替品に関し顧客と交渉中だが損害は免れない」(ベトナム/貿易・商社)、「ロシアでの業務の一時停止」(台湾/金融・保険・証券)、「ロシア向け販売の代金回収を懸念」(シンガポール/食品・飲料)と直接的な影響を指摘する声もいくつか寄せられた。

自動車業界では「原材料費の高騰。消費マインドの低下」(中国/四輪・二輪車・部品)、「市場の購買意欲低下、原油高騰の影響」(インド/同)など、物価上昇が消費者心理に与える影響を危惧する声もあった。

マイナスの影響のうち、原材料価格の上昇について具体的に尋ねた質問では、ロシアが主要輸出国で、自動車産業などで使われるニッケルやアルミニウム、パラジウムといった非鉄金属や、鉄鋼・鋼材の高騰を指摘する声が目立ち、これらを挙げた回答はともに50件ほどに上った。このほか、プラスチック、樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンといった化学製品も多かった。食品・飲料企業では小麦や大豆、ヒマワリ油などが挙げられた。

一方、「プラスの影響がある」「今後プラスの影響が出そう」との回答では、「ロシア、ウクライナ産原料の供給不安によるオーストラリア産品への切り替え需要」(オーストラリア/貿易・商社)といった代替調達先として商機を見込む声が目立った。

ウクライナの情勢を踏まえ、駐在する国・地域の今後の景気を占う上でのリスクを尋ねた質問(有効回答686件、複数回答)では「物価の上昇」が410件と最も多かった。この回答の割合は、シンガポールで86.7%(26件)に上ったほか、フィリピン(75%)、ミャンマー(同)、ベトナム(73.5%)、香港(72.7%)で70%を超えた。「サプライチェーンの混乱」と同率だったインド、「輸出の先行き」と同率のニュージーランドを含め、11カ国・地域で物価の上昇が最大のリスクと捉えられている。

中国は「国際情勢の動向(米中の緊張など)」との回答が91件(65.5%)と最も多かった。韓国も56.3%で最多だった。

新型コロナウイルス禍前には年間150万人近いロシア人が訪れていたタイでは「ロシアからの観光客減による観光事業へのダメージ」(貿易・商社)と、主要産業の一つである観光業への影響を懸念する声もあった。

<回答者の内訳>

回答者の業種別割合は製造業が48.4%、非製造業が47.7%、公的機関などその他が3.9%。国・地域別では中国139件、タイ95件、インドネシア82件、ベトナム68件、フィリピン52件、台湾49件、インド41件、オーストラリア39件、マレーシア35件、香港33件、シンガポール30件、韓国16件、ミャンマー4件、ニュージーランド3件だった。

全体を読むと、オーストラリアにとったて、ウクライナ戦争は、良い方に回転する。また、円安、ドル高であることから、米国にとっても良いようだ。

また、中国にとっても陸上輸送の可能性が高くなる。

つまり、原材料不足は、中国では起こらないだろう。

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