サザビーズ、10世紀のヘブライ語聖書「サスーン写本」を競売に出品を計画。
Forbes JAPANは2023年02月21日に、19世紀終わりから20世紀にかけてのヘブライ語、ユダヤ教聖書の著名な個人収集家で、1880年にバグダッドで生まれたデービッド・ソロモン・サスーン(David Solomon (Suleiman) Sassoon)は、生涯を捧げて中東を横断し、究極の宗教資料コレクションを作ったことは有名である。
収められた古写本と1500年までの最初期の活字印刷物「インキュナブラ(incunabula)」は、アブラハムの信仰と呼ばれるユダヤ教、キリスト教およびイスラム教の起源に関する主として中世の極めて重要な見解を世界にもたらした。
サスーンの驚くべきコレクションの目録「Ohel Dawid」は、彼の生涯をかけた作業の記録であり、その中でも「Sassoon 1053」、「サスーン写本(the Sassoon Codex)」として一般に知られる写本は、現存する最も完全なヘブライ語聖書文献の1つとして注目を集めている。
サザビーズ(Sotheby's)は、2023年05月にそれを「サスーン写本」競売にかけると発表した。写本は所有者であるスイスの著名な投資家で映画プロデューサーのJ・E・ボーケア(Jacqui (Jacob) Eli Safra)が出品し、正式に10世紀のものであると認められている。
デービッド・ソロモン・サスーンは、19世紀のビジネスマンで、バグダッドとムンバイの綿花貿易人であった著名なデービッド・サスーン(David Sassoon of Baghdad)の孫で、人生の早い時期に、ユダヤ教誕生に関する中世の写本およびインキュナブラの記録が、北アフリカと中東を横断してユダヤ人社会に広く届けられたこと、その宝物の一部は良い状態で保存されているが、大部分が深刻な消失の危機にあることに気づいた。
サスーンの探究の旅は遠く広い範囲へと彼を導いた。
個人的収集はバグダッドに始まりモロッコ、トルコ、イエメン、シリアにおよび1915年までに500点を超える写本が集まった。
1932年、サスーンは2倍以上の1200点を収録したコレクション目録であるOhel Dawid を発行した。
彼はシリアのアレッポから、14世紀後半にフランスで転写されたといわれているFarhi Bible(ファーリバイブル)を入手し、1915年には、10世紀のヘブライ語聖書のコーデックスであり、ほぼ完全なペンタチュークであるモーセの5つの本で構成されている「Damascus Pentateuch (Codex Sassoon 507)」をダマスカスから入手した。
コレクションの中には、モーシェ・ベン・マイモーンによる実に頓知のきいたタイトルがつけられた「Guide for the Perplexed(迷える人々の為の導き)」の手書き本もあり、サスーンはそれをイエメンで入手したが、それは1397年にスペインで写された写本だった。
サスーンは1942年に死去した。現代では節税ツールとして利用されているオフショア信託のない時代だった。イギリスで固定資産税を清算するために、コレクションの数々は、1975年から1990年代中頃にかけて競売にかけられたり、イギリスの諸団体に寄付されたりした。
それが現在英国図書館(British Library)がサスーンの写本を数多く保有し、イスラエルの国立図書館「The National Library of Israel(イスラエル国立図書館)」が「Damascus Pentateuch」を手に入れた。トロント大学(The University of Toronto)はサスーン一家のコレクションの残りを保有している。
サスーン写本は「Pentateuch(モーセ五書)」「Prophets(預言者)」「Writings(諸書)」の3部からなり、現在旧約聖書と呼ばれているものに最も近い書籍形式の資料である。
https://www.forbes.com/sites/guymartin/2023/02/19/top-estimate-50-million-sothebys-to-auction-the-10th-century-hebrew-bible-known-as-the-codex-sassoon/?sh=6101412d6230
https://www.sothebys.com/en/search?query=David Solomon Sassoon&tab=objects
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