
天然ガス市場の統合は、エネルギー安全保障の強化にどのように貢献するか?!
IMF(International Monetary Fund/国際通貨基金)が定期的に公開している「IMF Blog」は2023年05月23日に、天然ガスは世界中どこでも同じ商品かもしれなが、輸送に必要な複雑なインフラ網があるため、価格は大きく変動している。
つまり、天然ガスの多くはパイプラインで輸送されるため、原油のように多くの場所で単一の価格で取引されるのではなく、部分的に断片化された世界市場となっている。
このような天然ガス市場の細分化は、地域によって価格が異なるだけでなく、世界のある地域で価格が高くても、他の地域の買い手に必ずしも伝わらないことを意味している。

ロシアのウクライナ侵攻は、この細分化の影響を如実に示している。
ロシアからヨーロッパへのパイプラインの流量は2021年半ば以降80%減少し、ヨーロッパのガス価格は14倍に上昇し、2022年08月には過去最高水準に達した。 世界的に取引されている液化天然ガスの価格も同様に跳ね上がった。
しかし、米国のLNG価格は3倍になっただけで、ヨーロッパやアジアを数倍も下回る水準にとどまっている。

つまり、ロシアのパイプラインを破壊したのは、米国や産油国、ガス産出国だけが儲かるビジネスの一環かもしれないという疑惑が急浮上した。
このような価格差と、世界的なガス市場のショックに対する米国の絶縁状態は、ガスの採掘と輸送の特殊性に起因している。
歴史的には、ガスは石油掘削の副産物であったため、米国市場は原油価格と連動していたが、人工統合と呼ばれることもあるこの関係は、主にシェールガス生産の増加により、過去10年間で解消されつつある。
また、2012年にロシアを抜いて世界最大の生産国となった米国でガス生産が急増し、輸出ターミナルが建設されたことで、北米以外の市場への販売も容易になった。
ガス価格は、液化して輸送する技術も重要な要素である。
LNGの輸出能力は、短期的には決まっている。液化、輸出、輸入、再ガス化のための設備には大きな投資が必要で、ロシアのウクライナ侵攻のような地域的なショックがあると、地域ごとに価格が異なる方向に動いてしまう。
さらに人為的に行われたガスパイプラインの破壊は、そのビジネス犯罪である。
安定したガス供給を拒否し、高いガスを購入することを選んだバカな政治家がいる。
中には地球に優しいことを拒否し、米国のように、アラスカの自然に優しい地域で新規ガス田を開発している国も多い。
例えばインドは、ボンベイの近くで新規ガス田を発見した。

昨年の侵攻後、ヨーロッパはロシアガスのパイプライン輸入の代替としてLNGに目を向け、その代替品として米国の出荷が浮上した。米国のLNG輸出能力は固定されているのに、なぜそれが可能だったのか。2022年の春から夏にかけて、欧州のガスが一時的に価格プレミアムをつけたため、米国産LNGのアジアの顧客は、欧州での販売に貨物を迂回させることを決定し、荒稼ぎに舵を切った。
天然ガス市場には、もう一つ重要な癖がある。
米国企業との長期配送契約の価格計算式は、通常、米国価格を使用する。
つまり、長期契約を結んでいるアジアの顧客は、米国からより安く購入し、海上でタンカー船を迂回させて、はるかに高いドイツなどヨーロッパのスポット市場価格で貨物を販売することができた。
ロシアのパイプラインガスの代替としてLNGへの依存が高まっているにもかかわらず、ヨーロッパのLNG輸入能力は市場統合の拘束力にはならないことが判明した。
ロシアのウクライナ侵攻以前からヨーロッパの輸入ターミナルには十分な余力があり、移動式浮体式貯蔵再ガス化装置の追加により、ヨーロッパにはより大量のLNG輸入に対応するためのインフラが整っていた。
一方、米国をはじめとするガス生産者の輸出能力は限界に達しており、ヨーロッパやアジアの価格を長期的に歴史的に正常な水準に戻すには、世界のLNG輸出能力の拡大が必要である。
米国では、これらの能力は、すでに急速に増加した後でも、さらに増加し続ける態勢にある。同国初のLNG輸出ターミナルは2016年に開業し、その後、多くのターミナルが開業している。
米国、アフリカ、中東などですでに建設中の大規模な拡張プロジェクトにより、世界のLNG輸出能力は2025年までに14%増加すると見られている。その他の計画中のプロジェクトにより、輸出能力は昨年の世界のガス消費量の約4分の1に相当する1兆立方メートル程度になる可能性がある。
しかし、新しいターミナルを建設するための資金調達は、大きなハードルがある。建設資金を銀行から調達するためには、15年から20年の契約が必要になる。ターミナルは通常、US$100億からUS$150億の費用がかかり、完成までに2年から4年かかる。長期販売契約を結んでいないプロジェクトの場合、スケジュールは不確定であり、中には建設されないものもある。
最終的には、米国や他の生産者のLNG輸出能力を拡大することが、地域間でバランスのとれた真のグローバルなガス市場の実現に不可欠であると言えるかもしれない。
先進国では、風力や太陽光といった天候に左右される再生可能エネルギーへの依存度が高まるにつれ、発電需要を満たすための天然ガスの補完的な需要が高まる重要な時期が訪れると思われる。
世界のガス市場を統合し、必要なインフラを整備することで、より大規模で統合された市場において、価格が需要と供給の反応を刺激することができる。これは、世界のエネルギー市場を供給ショックから保護するのに役立つ。
それが安定するまでは、荒稼ぎビジネスマンの世界であり、放棄は続かないが、なんでもしてくる。
この点から、ロシアのパイプライン破壊工作の犯人が浮上する可能性ある。
もう、だれも神戸のヤクザを悪いと言えないかもしれない。
もっと悪い東大や京大を卒業した商社のビジネスマンがいる。
私は、そうした悪い京大を卒業した商社のビジネスマンがマレーシアやインドネシアに逃げていたことを聞いたことがある。
しかし、そのような商社のビジネスマンも、突然地獄に落とされることも多い。
島耕作の作家もそんな話を聞いたのだろう。あんな話は、腐るほどある。
中にはそこに、政治家まで絡んでくる。
2023年05月15日---インドの石油ガス公社ONGC、ムンバイ沖で新たな資源発見。
22023年04月03日---アラスカで物議を醸したウィローオイルプロジェクトに対する裁判官の発言。
023年03月08日---ドイツ、ノルドストリーム損傷で船捜索。ウクライナ関係の男女6人で工作か
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2022年03月04日---ロシアにとって最も重要な貿易相手国へ中国台頭。
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2022年01月24日---ユーロ圏総合PMI速報値、2022年01月は低下も分岐点越え。
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2009年06月26日---環境に優しいはずのゴア元副大統領は、エネルギーの浪費家?
https://www.imf.org/en/Blogs/Articles/2023/05/23/how-natural-gas-market-integration-can-help-increase-energy-security
https://www.imf.org/en/Blogs/Articles/2022/07/19/blog-how-a-russias-natural-gas-cutoff-could-weigh-on-european-economies