米国は中国の影響力を抑制するため、アダニのスリランカ港にUS$5億5,300万を投資。

2023年11月17日 11:21

インドの新聞「タイムズ・オブ・インディア(Times of India)(電子版)」の姉妹誌経済新聞「エコノミック・タイムズ(The Economic Times/電子版)」は2023年11月08日に、ブルームバーグ(Bloomberg)のイアン・マーロウ(Iain Marlow)とクリス・ケイ(Chris Kay)は、米国はインドの億万長者ゴータム・アダニ(Indian billionaire Gautam Adan)が開発中のスリランカの港湾ターミナル(port terminal in Sri Lanka)にUS$5億5,300万を投資する。この資金提供は、2022年の経済破綻前にコロンボが中国の港湾や高速道路のプロジェクトに散財したことを受けて、中国政府のスリランカに対する支配を抑制するためとみられると報告した。

ニューデリーとワシントンが南アジアにおける中国の影響力の抑制を目指す中、米国はインドの億万長者ゴータム・アダニが開発中のスリランカの首都コロンボの深海西コンテナターミナル(deepwater West Container Terminal in Colombo)に対するDFC(International Development Finance Corp./国際開発金融公社)からUS$5億5,300万の融資は、米国政府機関によるアジア最大のインフラ投資であり、世界最大規模の投資の一つである。
これはスリランカの経済成長と「両国にとって重要なパートナーであるインドを含む地域経済統合」を促進すると国際開発金融公社は声明で述べた。

ウクライナ戦争への資金提供より、建設的であり、見返りも大きい。

コロンボ(Colombo)は昨年の経済破綻前に中国の港湾や高速道路のプロジェクトに散財し、中国政府に多額の負債を残した後、米国の資金提供で、スリランカに対する中国政府の影響力を緩和する新たな取り組みの表れでもある。
インドはまた、近隣諸国の力のバランスを傾けたいと考えている。

この資金提供は、2023年に総額US$93億に達する国際開発金融公社投資の世界的な加速の一環である。米国当局者は、スリランカの港への資金提供は、インド太平洋全域の開発プロジェクトにより深く関与するという米国のコミットメントを象徴していると述べた。

中国は昨年末の時点でこの島国に約US$22億を投資しており、最大の海外直接投資国となっている。

米国当局者らは、スリランカのほとんど利用されていない南部ハンバントタ港(Hambantota port)は持続不可能であり、中国のいわゆる「債務罠外交(debt-trap diplomacy)」の一環であると公に批判している。

国際開発金融公社は、スポンサーのジョン・キールズ・ホールディングス(John Keells Holdings Plc)社およびアダニ・ポーツ・アンド・スペシャル・エコノミック・ゾーン(Adani Ports & Special Economic Zone Ltd.)社と協力し、彼らの「地元での経験と高い品質基準」に頼ると述べた。

コロンボの港は、国際航路に近いため、インド洋で最も忙しい港の1つである。全コンテナ船のほぼ半数がこの海域を通過する。国際開発金融公社は、2年間90%以上の稼働率で稼働しており、新たな容量が必要であると述べた。

米国の資金調達は、空売りに悩まされているアダニ・グループと、同社が過半数の株式を保有する物議を醸している港湾プロジェクトへの支持として機能する可能性がある。

同社はヒンデンブルク研究所(Hindenburg Research)やさまざまなメディアの調査によって提起された多数の企業詐欺疑惑と戦っているが、同社は繰り返し否定している。

スリランカへのエネルギーと港湾への投資は昨年、一部の地元議員から不透明でニューデリーの利益と密接に結びついていると批判された。過去の街頭演説で中国に異議を唱えてきたインドのナレンドラ・モディ首相(Indian Prime Minister Narendra Modi)の長年の支持者であるインドの億万長者は、投資はスリランカのニーズに応えたものであると述べ、これらの主張を否定した。

米国当局者はこの疑惑について具体的なコメントを避け、国際開発金融公社がプロジェクトの選定に厳格なデューデリジェンス(due diligence)を実施したとだけ述べた。

国際開発金融公社はトランプ政権下で発足した開発金融機関で、米国の外交政策目標を推進しながら発展途上国を支援する目的で設立された。
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のパンデミックのため、当初は世界中でプロジェクトを実施するのに苦労した。

しかしバージニア州ウィリアム・アンド・メアリーのエイドデータ研究所(AidData institute at William & Mary in Virginia)の新たな報告書によると、近年資金提供が加速しており、同機関は米国政府が中国のより注目度の高い「一帯一路」構想(higher-profile Belt and Road Initiative)との開発支出の差を埋めるのに貢献したという。

国際開発金融公社の資金提供は「国債を増やすことなくスリランカにさらなる繁栄をもたらすと同時に、地域全体の同盟国の立場を強化する」と国際開発金融公社の最高経営責任者スコット・ネイサン(Scott Nathan, the DFC’s chief executive officer)は述べた。

スリランカが再起動できることを祈る。

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