今回の「エルニーニョ」後の数年間、世界経済は数兆ドルの損失を被る
米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2023年07月05日に、ダートマス大学の研究者は太平洋側気候パターン後の世界的不況が続くという研究結果を公開したと報告した。
今年の「エルニーニョ(El Niño)」について、多くの予測が発表されているが、南米からアジアにかけての暖かい海水の帯で、「エルニーニョ」が発生した年には、壊滅的な洪水、農作物を殺す干ばつ、魚の個体数の激減、熱帯病の増加など、広範囲に及ぶ天候の変化を引き起こすと言われている。
ダートマス大学の研究者たち(Dartmouth University researchers)は、エルニーニョの再来が予測される今年、この繰り返し起こる気候パターンによる経済的打撃は、発生後数年間も続く可能性があり、世界中で何兆円もの損失が発生することを米国の科学誌「サイエンス(Science)」に報告した。この研究は、「エルニーニョ」の長期的なコストを評価した最初のもののひとつであり、これまでの研究による推定をはるかに上回る損失を予測している。
「エルニーニョ」は、エルニーニョ・南方振動の温暖期(the warm phase of the El Niño-Southern Oscillation=のことで、熱帯太平洋における気温の上昇と下降の自然サイクルである。
「エルニーニョ」世界中の気象パターンを変化させ、アメリカでは通常、西海岸の冬は雨が多く暖かくなり、大西洋沿岸のハリケーンシーズンは穏やかになる。
研究者たちは、1982-83年と1997-98年の「エルニーニョ」発生後数十年間の世界経済活動を2年間かけて調査し、5年以上経過した時点で経済成長の鈍化という「持続的な特徴」を発見した。
世界経済は、それぞれの「エルニーニョ」発生後の半世紀で、それぞれUS$4兆1000億、US$5兆7000億の損失を被った。
研究者たちは、気候変動が「エルニーニョ」の頻度と強さを増幅させる可能性があるため、21世紀の世界経済損失は84兆ドルに達すると予測している。研究者たちは、2023年に予測される「エルニーニョ」だけでも、2029年までに世界経済をUS$3兆も押し下げる可能性があると見積もっている。
主執筆者で米国国立科学財団大学院研究員あるクリストファー・キャラハン（(Christopher Callahan, a U.S. National Science Foundation Graduate Research Fellowは、「エルニーニョ」のような大きな気候変動から社会がどれだけ早く立ち直れるかについて、現在進行中の議論に対処するための研究であると述べた。
「私たちは、社会や経済が打撃を受けて回復することは絶対にないと断言できます。」とカラハンは言い、「エルニーニョ」後の景気後退は14年も続く可能性があることをデータは示唆していると付け加えた。
ダートマス大学の研究者が公開した太平洋側気候パターン後の世界的不況の地図は、東南アジア、サウジアラビア、南アフリカ、中南米、USで被害が出ると予測している。
インド、中国、ロシア、EU、北アフリカ、オーストラリアは被害が少ないと予測している。
しかし、このような予測通りにはいかないことも多い。
2023年07月05日---気候変動： 記録開始以来、世界で最も暑い日の年が始まった。
2023年05月12日---エルニーニョがやってくる。
2016年08月16日---これまでの記録で、2016年07月が地球の最も熱い月であった。
2015年08月21日---現在のモデルが、記録上最も強いエルニーニョを要求していると予測。
2015年07月20日---ルニーニョは、歴史上で記録された最強になるかもしれない。
2015年06年10日---今年のエルニーニョは、1997-98年より高い記録的な温度！？
2015年05年12日---かなり凄いエルニーニョ現象を予測！
2015年01年09日---日本付近は冬型の気圧配置が続き、季節風が吹きつけ、日本海にカルマン渦が出現。
2014年06年26日---エルニーニョがやってくる。
2013年10年14日---地球温暖化は、エル・ニーニョ現象の強度を増加させる。
2009年07年09日---太平洋でエルニーニョ現象が発生しつつある。
2007年11年07日---ラ・ニーニャは持続中！
2005年03年10日---NASAのJPL研究所は、エルニーニョ物語を紹介した。
1931年08年04日---ほぼ長江全域が洪水になり、14万人以上が溺死した。
https://new.nsf.gov/news/years-after-el-nino-global-economy-loses-trillions
https://www.nsf.gov/awardsearch/showAward?AWD_ID=1840344&HistoricalAwards=false
https://www.eurekalert.org/news-releases/989211
http://dx.doi.org/10.1126/science.adf2983
https://new.nsf.gov/edu
https://new.nsf.gov/edu/dge
https://www.scientificamerican.com/podcast/episode/el-nino-is-back-what-does-that-mean-for-you/