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扶養控除ってなんだ??(国税編)

さて今回も所得税のお話しになります。
皆様も一番なじみ深い所得控除となる扶養控除です。

扶養控除とは

扶養控除とはなにかまず条文から見てみましょう。

1 居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その控除対象扶養親族一人につき三十八万円(その者が特定扶養親族である場合には六十三万円とし、その者が老人扶養親族である場合には四十八万円とする。)を控除する。
2 前項の規定による控除は、扶養控除という。

所得税法第84条

居住者

主語が居住者であることから日本国内に住所を有するか引き続いて1年以上居所を有する者のいずれかである必要があります。
これは居住者においては全ての所得に課税されることから扶養控除についても居住者に限定されています。

控除対象扶養親族

控除対象扶養親族とは非居住者と居住者の別でそれぞれ扶養親族に該当するものをいいます。

ここで注目してほしいことは扶養親族には配偶者が除かれています。
つまり配偶者は扶養親族ではないのです。
こちらについては配偶者控除という別の控除対象となるため他の親族とわけられた形となっています。

扶養親族が居住者の場合

年齢16歳以上であること。
さてここであれ?と思った人もいるかもしれません。
そうです年齢が16歳未満の扶養親族は所得税法上所得控除の対象にはなりません。

これは児童手当の給付にあたり控除から給付へを合言葉に扶養控除から児童手当へと変更されたことに由来します。令和6年より児童手当の年齢の拡充がありますが拡充前においては15歳までは児童手当による給付、16歳からは所得控除による控除という制度設計となっています。

さて年末調整時に16歳未満も子供も会社に提出しているぞと思った方もいるかもしれません。これはよく見ると16歳未満の子供とそれ以外で書く場所がそもそも違っています。
また小さく住民税に関する事項と記載があります。
そうですこちらの記載は国税ではなくあくまで住民税のために記載しています。この話はまた別で記載します。

扶養親族が非居住者である場合

扶養親族が次のいずれかに該当する必要があります。

  1. 16歳以上30歳未満

  2. 70歳以上

  3. 30歳以上70歳未満で次のいずれかに該当すること

  • 留学により海外に居住している者

  • 障害者

  • 居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている

3に関しては非居住者の扶養親族に関しては令和5年分よりかなり厳しくなりました。
技能実習生などの増加によりこちらの扶養親族に該当する者も増えているかと思います。そこで、

  • 親族関係書類

  • 送金関係書類又は38万円送金書類

が必要となりました。
また送金に関する関する書類については扶養親族ごとに送金している事実が必要になります。

つまり海外に両親がおりいずれも扶養親族とするためには両親双方に送金する必要があります。この点については父親にまとめて送金するということは認められていないことに注意が必要です。

また余談となりますが令和6年における定額減税については非居住者の扶養親族は対象外となります。

扶養親族とは

さてでは扶養親族とはなんでしょうか。簡潔にまとめると

  1. 配偶者以外の親族または里子等

  2. 納税者と生計を一にしていること

  3. 年間合計所得が48万円以下であること(いわゆる103万円の壁)

  4. 青色(白色)専従者給与の支払いを受けていないこと

です。

103万円の壁については令和6年の衆議院議員選挙において話題となっているので近いうちに解説しますが正確にいうと所得が48万円以下になります。

扶養控除の控除額

さて扶養控除の控除額は実は少しだけややこしくなっています。

通常の控除対象扶養親族       38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満)    63万円
老人扶養親族(70歳以上)      58万円(同居)
老人扶養親族(70歳以上)      48万円(別居)

38万円が原則で他は特定の年齢に応じて増加します。

103万円の壁については超えた本人に税金がかかる以上に扶養している側の控除がなくなることが非常に負担が大きくなる原因です。

まとめ

以外と漠然とした意識の中で扶養控除を考えていたかと思いますが、
実際細かく見ていくと多くの論点があることがわかります。

特に非居住者である扶養親族に関してはかなり厳しくなっています。これは日本国外で生活する者に対して所得控除により税金を少なくすることに対して抵抗を感じる人が多いということかもしれません。

また金額についてもあまり意識していないかと思いますが、
たとえば大学生が103万円を超えた場合には、

国税(税率10%とした場合)     63,000円
住民税(国税と控除額が違います。) 45,000円
合計                 108,000円

10万円も税金が違います。
これをどう見るかですが、本人の税金も変わってくることから確かに超えると損をすると考える人もいるかもしれません。

この辺の話はまた103万円の壁の説明の際にお話しできたらと思います。



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