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DIG2Next的ワード解説(3)「バリューストリーム」

デジタル化やDXを適切に進めるための前提となる「ITサービスマネジメント(ITSM)」。その本質をよりよく理解するために、毎回1つのワードを取り上げ、DIG2Next的視点で解説する記事です。今回のテーマは「バリューストリーム」。

「バリューストリーム」という言葉、そもそもあまり耳馴染みが無いかもしれません。これは「ITIL® 4」を構成する主要書籍の1つである「CDS(Create、Deliver and Support:作成・提供およびサポート)」で詳しく解説されています。まず、この記事ではバリューストリームの簡単な解説をしていきましょう。

「ITIL® 4」において、「サービス」とは「顧客が特定のコストやリスクを管理せず、望む成果を得られるようにすることで、価値の共創を可能にする手段」であることは、これまでの記事でも説明してきました。

※例えば、以下の記事などで……

「ITIL® 4」ではバリューストリームを「組織が製品およびサービスを創出し、サービス消費者に製品やサービスを提供するために組織が実行する一連のステップ」と定義しています。

サービスマネジメントの観点で重要なのは、バリューストリームをサービスの核となる「顧客が望む価値」を生み出すための流れとして捉えることです。

サービスプロバイダは、一部のチームや一部のプロセスだけで価値を生み出すわけではありません。バリューストリームによって、個別のチーム単位やプロセス単位でバラバラに業務を設計したり改善したりするのではなく、価値を生み出すための全体的な流れ(つまり、バリューストリーム)に着目することができるようになります。

そして個々のチームやプロセスは、バリューストリームにどのように関わるのが最適なのかという視点で改善することができます。これがバリューストリーム・ベースで考えるメリットです。

「バリューストリームマップ」を作成する意義


バリューストリームを実務で応用するために、「バリューストリームマップ」の作成が必要です。これはどういうことでしょうか。

みなさんが働く職場をただ眺めていても、バリューストリームは見えてきません。したがって、どのようなバリューストリームでサービス提供を行っているかを、図に書き出して理解することが不可欠。この、バリューストリームを図に書き出したものを「バリューストリームマップ」と呼ぶのです。

実務的には、具体的なサービスのシナリオに沿ってサービス提供の一連のステップを書き出すことで、サービス提供の流れ(ストリーム)を視覚化します。これを元にして、バリューストリームの各ステップについて価値創出に貢献していない作業などを分析します。そうすることで、サービス消費者の価値につながっていない部分(これをムダと呼びます)を発見することが可能になるのです。そして「バリューストリーム」をブラッシュアップすることで、顧客に提供する価値を高められるというわけです。

「バリューストリーム」を設計し、「バリューストリームマップ」に落とし込むことは、サービス提供の一連の流れを最適化し、価値をベースとした業務改善につながるのです。

★「ITIL® 4」における「CDS(Create、Deliver and Support)」に関する、弊社DIG2ネクストの研修プログラム詳細は、以下のページにて紹介しています。

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