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「ServiceNorth Japan 2024」イベントレポート 第3弾 事業者が感じた「DIG2Nextサービスマネジメントモデル」に対する本音
DIG2ネクストが提供する「DIG2Nextサービスマネジメントモデル」の価値を事業者はどのように捉えているのでしょうか。2024年10月28日、EXIN JAPANが大阪で開催した「ServiceNorth Japan 2024」に登壇した東京海上日動システムズの平川歩氏が、率直な感想と現実に照らし合わせた課題を述べました。
ITサービスマネジメントの重要性は世界共通だと実感
私は東京海上グループのITでグローバルにグループ会社を支えるシステム会社、東京海上日動システムズで働いています。私が部長を務めるITインフラサービス本部インフラソリューション四部は、メインフレームを担当する運用部門。保険会社は現在も大規模なメインフレームが稼働しており、そのインフラの開発・運用を担当しています。部は、パートナーを含めて全体で50〜60人程度です。
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兼 ITサービス管理部シニアスペシャリスト (ITサービスマネージャー) 平川 歩 氏
また、ITサービス管理部シニアスペシャリストを兼任しています。簡単にいえばITサービスマネジメントを統括する部署でスペシャリストとして働いています。その関係から、ITサービスマネジメントの普及促進を目的としたitSMF Japanという団体の理事長を務めており、青山学院大学の社会人コース講師も担当するなど、社外活動も行っています。
ビジネスのグローバル化に伴い、海外のプロジェクトのサポートを行う局面がありますが、ITサービスマネジメントで定義された言葉は、グローバルで使われていることから、海外の会社のサポートを行う場合でも、それを共通言語として十分にコミュニケーションを取ることができます。基本的にやるべきことは同じです。海外でもITサービスマネジメントの重要性が認識されていると実感しますね。
DIG2Nextサービスマネジメントモデルは、“サービスマネジメント愛”に溢れている
東京海上日動にはIT企画部があり、全社サービスのSLAを統括しています。運用部門である我々は、IT企画部とサービスレベルを合意して、それにもとづいてサービスを提供するITユニットの位置付けです。一方、東京海上日動の商品開発、営業企画、コーポレートといったビジネス部門のIT担当者はアプリオーナーと呼ばれ、当社の開発部門と一緒にシステムの要件を決めていくビジネスユニットを形成しています。
このように、役割分担がかなりしっかりしているのが東京海上グループの特徴です。それゆえにITサービスマネジメントの視点から見ると、コラボレーションが難しい側面もあります。個人的には、これまで以上に全体が上手に手をつないで、大きな意味でのサービスマネジメント活動を充実させたいと考えています。
こうした背景を踏まえ、DIG2Nextサービスマネジメントモデルを見た率直な感想を述べたいと思います。まずは直感的な感想になりますが、とにかくワクワクしました。鈴木さんに直接「すごいですね」と伝えたほどです。
私もITの世界が長いですから、ビジネス全体でサービスをマネジメントしていく考え方は理解していますが、実際にどのような形で実装していくのかは整理できていませんでした。それを整理したうえで、分かりやすく示してくれたのは素晴らしい。そして「サービスマネジメント愛」に溢れています。ここまでのモデルは好きな人にしかつくれませんが、逆に好きなだけではつくれないとも感じました。
事業者ならではの視点から見えてきた4つの課題
ただし現実に照らし合わせてみると、次の4つの課題があるのではないかと考えます。
1つ目は、開発手法に左右されないためにはどうするかということ。現場ではガバナンス、デジタル開発をするDevOps、それ以外のウォーターフォールがきっちりと分かれているので、必要な管理要素が明確です。そのため、全社で共通して考え方を整理するのは非常に難しいのではないかという思いがあるのも事実です。
2つ目は、IT部門に長くいればいるほどパラダイムシフトが難しいということ。私は20年以上IT部門にいるため、その目線でビジネス部門を見るクセがついています。でもDIG2NextサービスマネジメントモデルではIT部門から見た世界ではないものが求められていますよね。例えるなら「引きの目線」であり、俯瞰の要素。ここを超えることが大きな課題です。
3つ目は、改めて自社のサービスを定義する必要があるということ。現場では、システムとサービスを同義で話していることがほとんどです。鈴木さんが提唱するモデルを実践するには、もう一度組織の中で「サービスを提供する、お客様と一緒に価値を創造するとはどういうことなのか」を定義したほうがいいと思っています。
4つ目は、マネジメント対象は何かということ。サービスなのか、価値を創造することなのか、価値を届けることなのか、それとも顧客体験なのか。本質的な意味をしっかり考えないと、新しいアプローチを生かすことはできないのではないでしょうか。
最近では内製化を推進し、開発スピードを早めてほしいというビジネス側からの要求が強い。内製化を選択するとともに、現場ではクラウドやSaaS活用をはじめとするマルチソーシング戦略が当たり前になっていますが、戦略を考えるうえで「SIAM™」の知識体系は非常に参考になります。
とはいえ、まずはとことん自分たちで考え、自分たちで組み立てることを忘れてはならない。そのベースがあってこそ、「SIAM™」は貴重な参考資料になるのです。今後、ビジネスとITはさらなる一体化が進むはずです。そう考えると、「SIAM™」はビジネスレベルでのサービスマネジメントを展開するうえでも必須の知識体系となる可能性が高いのではないかと考えています。
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