あなたが1日に必要なエネルギー摂取量は何カロリー?

こんにちは。Tany.(タニィ)です。
34歳にして一般企業(教育業界)の企画営業職から経験ゼロの栄養士職に転職しました。
ここでは国や専門機関が提示している食や健康づくりに関する情報で私自身が勉強したものを、もっと広く身近に活用できる形でお届けしていきます!

最初に何を取り上げようかと色々考えてみた結果、やっぱり一日で摂取するエネルギーや栄養素の目安かなと思いました。
そこで今回から数回にわたって「日本人の食事摂取基準」の内容を扱っていくことにします。

まずは資料の紹介をします。
厚生労働省では5年に1回、「日本人の食事摂取基準」が策定されています。
これは日本人の健康を維持・増進させるために必要なエネルギーと34の栄養素の摂取量の基準、その他について、研究結果をもとに数値でまとめた報告書です。もともとは専門職が使うものとして494ページにまとめられています。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

ちなみに、食事摂取基準の対象は、“健康な個人または健康な者を中心として構成されている集団“です。

では資料の紹介はこの辺りにして、本題に入っていきます。

今回のテーマは、「エネルギー」です。
エネルギー摂取量は、当たり前ですが、過不足を回避することが重要です。

適切なエネルギー摂取量と体重の変化


食事摂取基準では、エネルギー摂取量の過不足は体重の変化や体格(BMI)をみて判断する、としています。

エネルギー摂取量 > エネルギー消費量              → 体重が増える → エネルギー摂取量はその体格において過剰

エネルギー摂取量 = エネルギー消費量              → 体重が変化しない →エネルギー摂取量はその体格において適切

エネルギー摂取量 < エネルギー消費量               → 体重が減る →エネルギー摂取量はその体格において不足

健康診断では身長と体重を測るため、BMIは自動計算されていることが多く、知名度も高い指標です。
手で計算するときは、こちらの式で算出できます。 
BMI(body mass index/体格指数)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMI=22 のときに最も病気になりにくいため、厚生労働省ではこの時の体重を標準体重としています。
そして先ほどの計算式にBMI=22を代入して式変形すると、標準体重が算出できます。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 
食事摂取基準では、目標とするBMIの範囲として、18-49歳で18.5-24.9の間 を提示しています。

このように目標とする体重を設定して、その体重を維持するためにどのようにエネルギーを摂るか?を考えます。
なおBMIは成人用の計算式で、乳児、小児は別の指標があります。(成長曲線等)

さて、ここで推定エネルギー必要量の登場です。
今回はわかりやすくするために、1日あたりのエネルギー摂取量の話に特化し、どの種類の栄養素からどのくらいのエネルギーを摂取するか?という話はしません。(後日します)

表1 推定エネルギー必要量(kcal/日)

推定エネルギー必要量

推定エネルギー必要量〈表1〉は、性別、身体活動レベル(エネルギー消費量・運動の度合い)、年齢ごとに、平均的な体位(身長・体重)〈表2〉を持った人の、健全な発育、健康の保持・増進等を考えた時に算出される、一日あたりのエネルギー必要量です。

推定エネルギー必要量と参照体位、先ほどの目標体重(標準体重)を突き合わせて、最終的に参考とするエネルギー必要量を考えていきます。

表2 参照体位(参照身長、参照体重)

参照体位

具体例があると理解しやすいと思いますので、私の例で見てみましょう。
(例)30代で身長154cm、座っていることが多い仕事で、余暇には散歩をしている。

まずは標準体重を計算します
1.54(m)×1.54(m)×22≒52.2(kg)(小数第二位を四捨五入)    →目標とする体重を決定
次に推定エネルギー必要量と参照体位の表で30-49歳女性・身体活動レベルⅡとして見ると、
158cm、53.0kgの人がその体格を維持するために必要なエネルギー量は、2,050kcal/日です。
私は参照体位に比べて身体が少し小さい(154cm、目標体重52.2kg)ので、この体格を維持するために必要なエネルギー量は2,050kcalより少し少なくなります。18-29歳女性・身体活動レベルⅡのところも見比べてみると、だいたい2,000~2,050kcalの間でよさそうです。
より細かくしていくと、例えば1食あたり約610kcal×3回、おやつ約200kcal(←おやつ枠を作るかどうかはその人次第)で2,030kcalとなります。
これで、目標体重(標準体重)と1食あたりのエネルギー摂取量まで確認ができました。

あくまで参照体位(平均的な体位)の人の数字を活用していることと、体質や体調による吸収率の変動などの個人差も大きいため、推定必要エネルギー量は参考とし、必要に応じて変更します。
例えば私の例では、2,030kcal/日を摂取し続けたときの体重の変化を観察しながら、標準体重に近づけるためにエネルギー摂取量を増減します。

以上となりますが、いかがだったでしょうか?

できるだけコンパクトにしたかったので、大まかな内容になっていて、専門職が見ると、突っ込みたいところがたくさんあるかと思います。そのあたりについては、需要があれば書いていきたいと思います。

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内容をより詳しく知りたい方は、以下をご確認くださいませ。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

【動画】
厚生労働省/MHLWchannel 「日本人の食事摂取基準(2020年版)研修会(講義1 ①策定について ②活用について) 約47分
厚生労働省/MHLWchannel 「日本人の食事摂取基準(2020年版)研修会(講義2 ①エネルギーについて ②エネルギー産生栄養素等について) 約56分

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