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【連載小説】新説 桃太郎物語〜第九章  (毎週月曜日更新)

桃太郎一行は南西の岸より鬼ヶ島に上陸しました。

広くひらけた荒野のその先には、漆黒の闇よりも黒くゴツゴツとした岩で出来た鬼の住処

“鬼岩城”

が静かに鎮座していました。

『みんな…、ここからは“鬼の領域”…。今まで以上に気を引き締めて行こうっ!!』

桃太郎はそう言うと、鬼岩城に向かって歩を進めるのでした。

その瞬間、四人は同時に気配を感じとります。荒野の先から、万は超えるであろう大量の鬼の姿を見つけるのです。

『早速お出ましみたいね…。それにしてもすっごい数っ!?!』

『数が多けりゃいいってもんじゃねえぜっ!!あいつら全員大した事無い手下の鬼たちだっ?!?!』

『…油断はするな……。』

雉、猿、犬がそれぞれ言い、桃太郎もそれに続きます。

『よしっ!!お互いの背中を守りながら突撃していくぞっ!!僕達の修行の成果を見せてやろうっ!!!』

こうして合戦の火蓋は切って落とされるのでした。

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手下の鬼たちは今の四人の敵ではなく、一人一人は簡単に倒せるのですが、いかんせん数が多く、どこからともなくどんどんどんどん湧いてきます。

『…くっ?!流石にこの数は難儀だな…。斬っても斬ってもきりがねぇ?!?』

『歯応えは無いけど…、あまりにも数が多すぎて…。このままだとこれより前に進めないわ…。』

『……。』

桃太郎一行は、大量の鬼の“肉の壁”により、思うように前に進めなくなってしまうのでした。

『…確かにみんなの言う通り…あまりにも数が多すぎる…。…このままだと、本丸に乗り込む前に体力を相当削られてしまう…。』

桃太郎がそう感じていたその時でした。

“南”“東”“西北”の方角から、鬼の叫び声と共に、徐々に肉の壁が裂けていくのを目の当たりにします。

四人は不思議に思い、それぞれの方角に目を向けると、まずは南の方角から大きな声が聞こえてきました。

「猿っ!?!ずいぶんと苦労しているようじゃなぁ!!何やら楽しそうな声が聞こえてきたのできてみたんじゃが…。我等も仲間に入れてもらえんかのぉ!?!」

それは、猿が修行をしていた忍者の郷の長、服部半蔵と伊賀流忍者の軍団でした。

『半蔵さんっ!!?!?!』

東の方角からは、優しく暖かい声が聞こえてくるのでした。

「…雉。あなた方をお手伝いするためにこの地までやってきました。しっかりと頑張るのですよ。」

雉が過ごした半人半鳥の女王と兵士が、大挙として駆け付けてくれていました。

『…女王様っ!?!』

西北の方向からは、唸るような咆哮と共に、低くくぐもった声が聞こえて来ました。

「…犬…。…お前の後…つけて来た…。…ここ…お宝たくさんある…。」

『…狼…?!?』

犬が行動を共にした孤高の狼がそこにはいました。

三人は桃太郎一行を助けるために、援軍として助けに来てくれたのです。

『あなた達が来てくれたら百人力っ!!ありがとうございますっ!!!』

桃太郎がそう言うと、

「…お主が噂に聞く桃太郎かっ?!?…良い目をしておるな…。ここは我等に任せるのじゃ?!?!」

「…桃太郎。この世の行末はあなた方にかかっております…。お行きなさい。」

「…俺…、お宝…、…それだけ…。」

服部半蔵、半人半鳥の女王、狼はそれぞれ言いました。

『…ねぇ見てっ?!?…鬼達が怯んでいるわっ?!?!』

『……好機…!!!』

『よっしゃーー!!このまま一気に鬼岩城めがけて突っ走るぞぉーーーーーっ!!!』

『よぉーしっみんなぁーーーーっ!!!突撃だぁーーーーーーーーーっ!!!!』

桃太郎の号令と共に、四人は一気に鬼岩城へと走り出したのでした。

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