diegosatuma
⭐️美容業界騒然⭐️ “クリエイション作品(髪がメインのアート作品)を創るにあたって、イメージを膨らませる為に物語を書いてみる”という前代未聞の挑戦をし、全24章、215ページにも及ぶ小説を書き上げた美容師・鈴木代悟の処女作!! 物語にそって、それぞれのキャラクターのクリエイション作品13点を挿絵のように挿入!!小説界の新ジャンル“クリエイション物語”をぜひご堪能あれ!! 日本人なら誰でも知っている昔話…。それが桃太郎。 日本最古の〝冒険活劇〟たるこの物語を、小江戸川越で美容院(AZ)を営む美容師・鈴木代悟が、新たな解釈を用いてオリジナルで創作した〝桃太郎の物語〟に沿って、主要人物たちをファッショナブルにビジュアル化!! なぜ桃は流れてきたのか… なぜ鬼は人を襲うのか… なぜ猿、犬、雉は鬼退治に向かったのか… さて… どのような作品になるのやら… 始まり始まり…
【第二十三章 “秘めたる力”の巻】青鬼は桃太郎をじっと見つめていました。 「…桃太郎。お前また覚醒しよったな…。何せお前はあの“赤鬼の力を受け継ぎし者”なのだからな…。」 『…。』 「…だが残念なことに…。今のお前からは力が感じ取れん…。」 『…。』 「…先ほどまでの方が骨がありそうだが…。」 『…。』 「…果たしてそれで私が倒せる……。」 青鬼がそう言っている途中で桃太郎が静かに言葉を遮りました。 『…青鬼…。』 「…っ…。」 『…お前のやったことがい
【第二十二章 “真相”の巻】青鬼の攻撃に吹き飛ばされた桃太郎がゆっくりと起き上がると、青鬼は言いました。 「…ほう。やはりお前は他の三人とは訳が違う様だな…。」 立ち上がった桃太郎ですが、足に力が入りません。赤鬼との激闘で力を使ってしまったこともありますが、青鬼の力はそれを差し引いたとしても、今の桃太郎では太刀打ちできない程の強さだと心の中で感じていました。 「…立っているのがやっとの様だな。…それにしてもなんという“力”だっ!!これまでがまるでお遊びだった様な圧倒的な
【第二十一章 “瞋恚”の巻】桃太郎一行は崩れゆく奇岩城の中を必死で駆け抜け、間一髪脱出に成功し外に出ました。 四人が振り返ると、轟音と共に無残にも崩れゆく漆黒の鬼の巣窟がそこにはありました。 『…やっと…、…やっと終わったな…。』 『…本当に長かったわね…。』 『…そうだな…。』 猿、雉、犬はそれぞれ呟きました。 それぞれが感傷に浸っていたその時、背後から大きな声が聞こえてきました。 「ぅおぉぉーいっ!?!お主らよくやったのぉーーー?!?」 そこには、手下の鬼
【第二十章 “解放”の巻】赤鬼との激闘を終えた桃太郎一行は、ひとしきり喜んだ後、赤鬼の元に向かいました。そして桃太郎は、倒れ虫の息の赤鬼に語りかけました。 『…赤鬼。これで鬼の野望は砕かれた。…僕らの勝ちだっ。』 それを聞いた赤鬼は、答えました。 「…まさか…。ワシを凌駕する者が現れるとは思ってもみなかった…。…ワシも含め、四将軍も打ち果てられた今、…持ち直す事は難しいだろう…。ワシ等の負けだ…。」 『…本当に今までひでぇーことしてくれたぜっ!!地獄に行ってしっかりと
【第十九章 “決着”の巻】桃太郎は薄れゆく意識の中で、赤鬼の変化に気が付きました。 そして、先ほどから桃太郎に焦点が合っておらず、なにやら肩越しの奥の方に気を取られていることに気がつきます。 桃太郎はここは好機と見て、自分の喉元の赤鬼の手を両手でしっかりと押さえました。そして、一気に反動をつけると、背中側から大きく一回転しました。 手を押さえられた赤鬼は思わず桃太郎の喉元から手を離してしまいました。そして勢いそのまま、赤鬼の頭上に回った桃太郎は、勢い勇んで叫びました。
【第零章 “見えざる怪物”の巻】むかしむかしあるところに、人間だけではなく、オニや、半人半動が暮らしている世界がありました。 皆が平和に暮らすために、それぞれの領域を犯さないよう、人間は人間の、オニはオニの、半人半動は半人半動の村を作って生活していました。 そんなある時、心優しきオニの青年が狩に出かけている時に、足を滑らせて崖から落ちてしまいます。 一命は取り留めましたが、気がつくとそこは遥か下流にある人間たちが住む村でした。 早くここから立ち去らなければいけないと思いま
【第十八章 “死闘”の巻】赤鬼はゆっくりと戦闘態勢を取りました。 それを見た桃太郎も刀を抜くと、静かに構えました。 究極の緊張感が支配するこの状況に、その場にいる誰一人として、声はおろか物音ひとつたてません…。 …、 ……、 ………、 …………、 ……………ぴちゃっ 『…っ?!?!』「…っ?!?!」 岩場の露が落ちた音をきっかけに、桃太郎と赤鬼はお互いに踏み込みましたっ!?! 一瞬のうちに交錯する二人っ?! 赤鬼はその破壊的な拳を振るい、桃太郎は研ぎ澄ま
【第十七章 “覚醒”の巻】桃太郎は抱えていた手負いの猿、犬、雉をそっと地面に寝かせました。 『…おっ…、…お前…?』 『…えっ…?』 『…っ……?』 猿、犬、雉は桃太郎の姿を見て驚きました。 「…体から放つ“気”が明らかに変わったな…。」 赤鬼は言いました。 「“気”だけでなく容姿や雰囲気も、先ほどとは異なる…。いったいどういうことだ…。」 それを聞いた桃太郎は、自分の手や腕を見ながら静かに答えました。 『…何だか身体の奥底から力が湧き上がってくる様だ…。』
【第十六章 “赤鬼との決戦”の巻】 紅蓮の洞穴を抜けた先には、真ん中に開けた場所がありました。 桃太郎一行が今入ってきた入り口のちょうど真正面の奥には、数段の階段があり、その先に、それはそれは大きく立派な椅子があり、その周りの壁沿い全てが、下が見えないほどの崖になっていました。また、その椅子の後ろには、それはそれは綺麗な“藤の花”が咲き誇っておりその中央に、古びた“着物”が飾られています。 そして… 椅子には、今まで感じたことのない様な、一種見惚れてしまうほどの狂気に満
【第十五章 “合流”の巻】 桃太郎が洞穴の奥に進むと、青鬼との戦いの場の半分ほどの大きさの開けた場所に出ました。 そして、またその奥には紅蓮の炎の様に真っ赤な洞穴がぽっかりと口を開けています。 桃太郎があたりを観察していると 『…桃太郎っ!!』 突然後ろから声をかけられました。 『…犬っ?!?!?!無事だったのかっ?!?…っ??…その腕は…。』 桃太郎は犬の左腕を見て言いました。 『…黒鬼との戦いでな…。…子イヌの仇はとった…。』 その時、 『桃太郎ぉー?!?
【第十四章 “桃太郎 対 青鬼”の巻】桃太郎と青鬼は激しく戦いました。 青鬼はその指から放たれる“糸”を鞭の様にしならせて、自由自在に操ることにより、桃太郎に襲いかかります。その早さと切れ味は尋常ではなく、大きな岩も一刀両断するほどの鋭さでした。 しかし桃太郎も宮本武蔵との修行によってかなり腕を上げています。 「…ほう…。」 峠の村では青鬼の攻撃すら見えなかった桃太郎ですが、今はしっかりと攻撃をいなし続けています。そして、機を見計らって青鬼の間合いに入り切りつけました
【第十三章 “犬 対 黒鬼”の巻】犬と黒鬼は激しく戦いました。 黒鬼はその手に持つ“琵琶”をかき鳴らすことにより、空気中に真空波を巻き起こし、その空気の刃で攻撃を繰り出してきます。その鋭さは尋常ではなく、少し触れただけでも真っ二つになるほどの切れ味でした。 『…これで…。この刃で子イヌは…。』 犬は黒鬼の攻撃を見て全てに合点がいきました。この黒鬼こそが“子イヌの仇”なのだと。 『…お前…、…四年前…森で子イヌを殺ったな…。』 それを聞いた黒鬼は答えました。 「…覚
雉と緑鬼は激しく戦いました。 緑鬼は両の手にある“目”の術により、数多く置かれた鏡の中を行き来しながら、腕に付けた鉤爪で攻撃を繰り出して来ます。鏡はざっと数えても百はあり、緑鬼がどこから出て来て、どこに消えていくのか見当をつけるのも難しい状況でした。 しかし、雉は半人半鳥の国で学んだ鳥の能力の一つでもある、視野の広さを遺憾なく発揮し、次々に緑鬼の攻撃を避け続けるのでした。 「…ほほう…。王女様は随分と鬼ごっこがお得意のようですね…。」 『…そうねっ、このくらいの間合い
猿と黄鬼は激しく戦いました。 黄鬼は両の手に持つ、五寸(10cm)程の大きさの、特殊な手毬を投げて攻撃を繰り出して来ました。そうです、ボスザルは猿村で、北の山から放たれた黄鬼のこの手毬の攻撃によって命を落としたのです。 その速さは尋常ではなく、常人の目では到底追えるものではありません。 しかし、猿は忍者の郷での厳しい修行によって相当な身軽さを得ています。その攻撃を軽々と避け続けるのでした。 「…ほう…、ちょっとは出来るようだなっ!」 『…けっ!?!こんなもん目をつぶ
“鬼岩城” 黒く硬い岩で覆われた鬼の巣窟。“城”と言う名前がついてはいるが、自然にできた洞窟を開拓して造られており、内部は日の光がほとんど入ってこないため薄暗く、今桃太郎一行が立っている入り口の奥は、どうなっているか推測が及ばないほど、漆黒の闇が支配している。 『…なんか…、いかにもって感じだなぁ…。』 『…本当…。薄気味悪いったらありゃしないわね…。』 『…そこらじゅうから…乾いた血の匂いだ…。』 『…とりあえず細心の注意を払って行こうっ…。』 四人は慎重に慎重
桃太郎一行は南西の岸より鬼ヶ島に上陸しました。 広くひらけた荒野のその先には、漆黒の闇よりも黒くゴツゴツとした岩で出来た鬼の住処 “鬼岩城” が静かに鎮座していました。 『みんな…、ここからは“鬼の領域”…。今まで以上に気を引き締めて行こうっ!!』 桃太郎はそう言うと、鬼岩城に向かって歩を進めるのでした。 その瞬間、四人は同時に気配を感じとります。荒野の先から、万は超えるであろう大量の鬼の姿を見つけるのです。 『早速お出ましみたいね…。それにしてもすっごい数っ!