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2021年1月の記事一覧
【連載小説】新説 桃太郎物語〜第十三章 (毎週月曜日更新)
【第十三章 “犬 対 黒鬼”の巻】犬と黒鬼は激しく戦いました。
黒鬼はその手に持つ“琵琶”をかき鳴らすことにより、空気中に真空波を巻き起こし、その空気の刃で攻撃を繰り出してきます。その鋭さは尋常ではなく、少し触れただけでも真っ二つになるほどの切れ味でした。
『…これで…。この刃で子イヌは…。』
犬は黒鬼の攻撃を見て全てに合点がいきました。この黒鬼こそが“子イヌの仇”なのだと。
『…お前…、
【連載小説】新説 桃太郎物語〜第十二章 (毎週月曜日更新)
雉と緑鬼は激しく戦いました。
緑鬼は両の手にある“目”の術により、数多く置かれた鏡の中を行き来しながら、腕に付けた鉤爪で攻撃を繰り出して来ます。鏡はざっと数えても百はあり、緑鬼がどこから出て来て、どこに消えていくのか見当をつけるのも難しい状況でした。
しかし、雉は半人半鳥の国で学んだ鳥の能力の一つでもある、視野の広さを遺憾なく発揮し、次々に緑鬼の攻撃を避け続けるのでした。
「…ほほう…。王女
【連載小説】新説 桃太郎物語〜第十一章 (毎週月曜日更新)
猿と黄鬼は激しく戦いました。
黄鬼は両の手に持つ、五寸(10cm)程の大きさの、特殊な手毬を投げて攻撃を繰り出して来ました。そうです、ボスザルは猿村で、北の山から放たれた黄鬼のこの手毬の攻撃によって命を落としたのです。
その速さは尋常ではなく、常人の目では到底追えるものではありません。
しかし、猿は忍者の郷での厳しい修行によって相当な身軽さを得ています。その攻撃を軽々と避け続けるのでした。
【連載小説】新説 桃太郎物語〜第十章 (毎週月曜日更新)
“鬼岩城”
黒く硬い岩で覆われた鬼の巣窟。“城”と言う名前がついてはいるが、自然にできた洞窟を開拓して造られており、内部は日の光がほとんど入ってこないため薄暗く、今桃太郎一行が立っている入り口の奥は、どうなっているか推測が及ばないほど、漆黒の闇が支配している。
『…なんか…、いかにもって感じだなぁ…。』
『…本当…。薄気味悪いったらありゃしないわね…。』
『…そこらじゅうから…乾いた血の匂