マック・ミラーとjuice WRLDに今年は救われた
ヒップホップやラップは、私にとってまだなんとなくハードルが高いというか話題にしてよいか迷う音楽ジャンル。
10代から聴いてきたのは圧倒的にロックやポップが中心で、R&Bやヒップホップはヒットチャートで耳にしたり気に入ったアーティストしか聴かずにきたので、歴史や今のシーンもそこまで把握できていない。
それでも、ここ数年は自分なりに気になった作品や話題作やアーティストを追いかけて聴いてみています。(きっかけはまた別に話せたら。)
そんななか、今年見事にハマったのはこちらの二人のラッパーの作品。
マック・ミラーとjuice WRLD。
この二人のラッパーの作品にこんなにハマることになろうとは、ほんの1年前には考えもしなったですが、今やどちらのアーティストにも出会えて感謝しています。
まずは今年1月に発表されたマック・ミラーのこのアルバム。
「Circles」 Mac Miller
今年上半期のベストでも取り上げていますが、このアルバムは普段私が持っていたラッパーのイメージと大きくかけ離れた印象のアルバムでした。
こんなラップのアルバムは今まで聴いたことがなかった。いまでも「これはラップなのかな」と聴いてて不思議に思う時があります。
前作「Swimming」からそうだったのですが、ラップというより力を抜いて歌うようなマック・ミラーの声の独特の優しさとトラックのぬくもり。
プロデューサーのジョン・オブライエンが恐らくトラック作りにも深く関わっていると思いますが、バックのバンドの音がすごく良いんです。
まるでハグされているような温かさが曲や声や演奏から伝わって安心すると共に、でもなぜかすごく切なくなる。
絞り出すようなマックの声に絶妙なバンドの雰囲気のトラックが重なって、キュッと胸が苦しくなると同時に、でもどこか落ち着く気持ちになります。
特に「good News」という曲は歌詞を知る前からなんか聴いているだけで泣けて、歌詞を知ってからはイントロ聴くだけでうるっとしていた時期がありました。
疲れ切ってしまったマックの独白のようなラップがとてもリアルです。
コロナやBLMなどいろんな事で世間や自分が「ちょっと不安定になってるな」って時に、夜寝る時などこのアルバムとこの曲に頼らせてもらっていました。
このアルバムを聴く時はラップだロックだののジャンルを忘れて、ただひたすら音と声を聴いてます。
先日マックが出演したTinyDeskの動画を見つけて。2年前の動画ですね。
このスタイルでラップするマックを観て、音楽に対する愛の深さがとてもよく分かりました。この動画もとても気持ちいい。
マックがこの演奏をとても楽しんでいるのが分かります。サンダーキャットと共演してとても嬉しそうですね。
もう1枚はjuice WRLDのこのアルバム。
「Legends Never Die」juice WRLD
juice WRLDについては、Spotifyのチャートによく出てくる存在で「人気のラッパーなんだ」くらいの認識で曲を聴き込むことは今年までありませんでした。
エモラップというジャンルで語られることが多いと思うのですが、正直エモラップって誰が何だか私には違いがよく分からなくて、特に聴きこむ感じがなかったんです。
それが変わったのはこの曲を聴いてハマった事がきっかけでした。
この「Righteous」のギターのイントロからjuice WRLDの歌い出しの曲の雰囲気に凄く惹かれて。
この曲は見つけたとたん1ヵ月くらい毎日のように聴き続けました。
7月にこのアルバムがリリースされた週の海外のチャートはjuiceWRLD祭り状態。しばらく続いていたと思います。私もとても気になってましたが、ちょうどk-popの聴き込みにハマってた時期で、「k-popの波がひいたらちゃんと聴きたい。今は集中できないな。」と思って聴かずにいました。そして今月やっと聴いてみたのですが。
このアルバム、22曲もあるのにまるで1つの歌を歌ってるように聴こえて、なんとも離れ難くなる感覚でした。とにかくトラックとjuiceWRLDの声が秀逸で、the weekndなどの客演もとても心地よく聴こえます。
juice WRLDの声は哀愁と共に不思議な力強さがあって。聴き手の私の心にまっすぐ届くような感覚がありました。
人気なだけあり、日本でも検索するとたくさん歌詞の和訳が出てきます。ありがたい。日本でも強く共感してる人いるんじゃないかと感じました。私はこのアルバム、街の喧騒の中で大音量で聴きたいなって思いました。
juice WRLDについてはこちらの記事がとても分かりやすく書いてありました。
世界中、とりわけアメリカの若者に聴かれまくってる事が、彼の才能の何よりの証明なのかもしれません。やっぱり個人的には「righteous」が凄く胸に迫ります。
この二人のとても悲しい共通点はもうこの世にいないこと。
二人ともドラッグの過剰摂取で亡くなっています。まだ20代の若さで。
どちらのアルバムも本人達が亡くなってから発表されたアルバムです。
やりきれない。こんなに才能があるのに。
二人ともドラッグについて正直に歌っています。中毒について。ドラッグを手放せない苦しみ。孤独。
この正直な言葉や曲が誰かの心に届いて、誰かを救うのかもしれません。少なくとも私は今年、彼らの素晴らしい作品に出会えてとても感謝しています。
juice WRLDのアルバムの感想をツイートしたら、予想してなかった多くの「いいね」をもらい、この記事を書こうと思ったきっかけになりました。
ありがとう。どうか安らかに。
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