おかえり組!MGMT6年ぶりの「Loss Of Life」は深みと美しさが増したダークアコースティックアルバム
今年の前半に大好きになったアルバムについて。続いては
MGMT「Loss Of Life」
アメリカ・ブルックリンの人気インディー・ロックバンド、MGMTの6年ぶりの最新作です。6年って
準備期間長すぎじゃね?
と思わなくもないですが(笑)。でもほんとロックバンドってそういう傾向ありますよね。「あれ?前作の時に生まれた子供がもう小学生なんだけど」みたいな(笑)。久しぶりの新作で「あら、おかえり」と。MGMTといえば
やっぱりこの「Kids」や「Time to Pretend」、「Electric Feel」といったキラーチューンが詰まった1stが印象的ですよね!「Time to Pretend」の謎のMVとか(笑)。私もリリースされた2007年から聴き倒しました。サイケデリック色の強いサウンドに絶妙なポップ感をまぶしたような曲達が本当に魅力で、今でも全然聴いてるんです。
ライブもこんな感じ。めちゃくちゃ人気でしたね。
その後も複数枚アルバムを発表。1作1作の間が長いものの、リリースされたアルバムは枚作聴いてました、2010年代は。
2020年代になると、なんでか全く記憶になくて。で、今年に新作が出るとのことで、「あら!久しぶりじゃん」と思って見てみたら
6年ぶりだから2020年代はアルバム出してなかった(笑)
2018年にFUJIROCKにも来てたんですよね。ごめん!全く記憶にないんだけど(笑)、いやほんとごめんだけど!!でも好きだったよ!それこそ、今大人気の
tame impalaにも通じるようなセンスあるサイケデリックロックで、インディロック界の星だったんだから!
でもなんか、「いつの間にか現れては消え」みたいな感じで。
そんな彼らの久しぶりの新アルバム。先行リリースされた曲を耳にすると
やっぱいいじゃーん!
となりまして。特に私が刺さったのは
深みあるアコースティック感
ダークさを秘めているような温かみがあるサウンドと曲の美しさで、ボーカルもあって、先行シングルから惹かれていました。
1曲目の「Loss Of Life(Pt.2)」のイントロから彼ららしい独特のメロディと懐かしさを感じるような高めのシンセの音。うーん、なんか切ない。リコーダーみたいな音も入ってきて、これだけで「なんか好き」となり。
2曲目はシングルにもなった「Mother Nature」この曲から、「あーやっぱいいな!」とすぐに彼らにハマっていた時の感覚が戻ってきました。優しい声のボーカルが歌うメロディはキレイなんだけど、どこか冷たくて、暗みがあって、そこから怒涛のロックギターが鳴る激しいアレンジに変わっていきます。そこもやっぱりセンスがいいんです。
3曲目もシングルとなった「「Dancing In Babylon」。この曲は
フランスの先鋭的な魅力が人気のシンガー、Christine and The Queensをゲストに迎えています。いかにもMGMTらしいゆがんだ電子音から始まるこの曲は軽快なサウンドが魅力で、アンドリューの声とクリスティーンの絡みがとても心地よい曲。途中からピアノの展開が曲の美しさを増していきます。
この曲、MGMTとクリスティーンの体を使った表現の素敵なバンドシーンと男性同士の愛を描いたミックス感のMVも素敵なので、ぜひ観てみてほしいです!
私がこのアルバムで大好きでたまらない曲が「Nothing To Declare」。MGMTのフォークソングと私は受け取っているのですが、この曲の素朴さと美しさ、そしてやっぱり入るエレクトリック音の心地よさが凄くグッときました。とても素敵な曲で、若い女の子が一人旅をしながら自分探しをしているようなMVも好きです。今回のアルバム、MVがどれも好きなんですよね。
「Nothing Changes」は6分半にも及ぶ曲。アコースティックな演奏のバラード曲ですが、途中からホーン隊の音が入ってきて私にはMGMTの曲に今まで無いようなちょっとした新しさを感じました。
後半のゆったりとしたバラード曲は、どの曲も少し憂いというか、前半にも書きました暗みがあるような感覚で、この「I Wish I Was Joking」からもそれを感じました。「冗談だと思いたい」というタイトルもですが。
ラストはOPにもあった「Loss Of Life」のメロディを歌って終わります。ちょっと抽象的な歌詞をのせて、静かに歌われます。
全体的に独特のエレクトロ感と生音の融合感は健在ながら、より温かみと暗みが心地よいメロディが秀逸な曲達を集めたような今回のアルバム。私はとても好きでして。
サイケ色と毒ありながらも華やかに感じられた1stからまた違うお気に入りの作品ができたと思いました。
ちょうど同時にリリースされた、Kacey Musgravesのアルバムと並べて聴く機会が多かったのですが、陰と陽のような感じでどちらもお気に入りで聴いています。
インディーロック界を支えてきたバンドというと、今年はVampire Weekendも久しぶりの新作をリリースして大好評を得ています。私もこのアルバムもとても好きで聴いていますし、
Cage The Elephantの久々のアルバムも成熟を感じさせる内容で、嬉しいものでした。
そしてUKですが、私のめちゃ大好きだったcatfish and bottlemenも久々のシングルをリリースしイギリスの私の大好きなフェスリーズ&レディングフェスでのトリ、そして世界ツアーを発表しています。これにはテンションぶちあがりでした!(笑)
MGMTと同じアメリカ出身で2010年代に人気だったfoster the peopleも新曲を最近リリースしてジワジワと人気を再燃させている感じがあります。
そんなインディーロック系バンドのおかえり組が多い中、MGMTの新作が私にピッタリとハマったのは、PDのPatrick Wimberlyの力もあるかなと思います。
昨年に劇的な方向転換で音楽界を脅かせたのLil Yachtyのアルバムや、過去にはソランジュのアルバムも手掛けていた彼は
アメリカのインディーエレクトロポップの歌姫で昨年来日ライブも果たしたキャロライン・ポラチェックと「Chairlift」というユニットを組んでいました。生音とシンセを組み合わせた独特の洗練感が得意だった彼らの音は、「確かにこのMGMTの新作にも感じられるな」と。素晴らしい仕事ぶりですね!
MGMTは最近Tiktokでこの過去曲「little dark age」がヒットになったり、ライブ映像を漁ると私は
過去のCoachellaのライブでこのKid Cadiがたまらず踊りながらライブに入ってきちゃったシーンが大好きで(笑)。
ぜひとも日本でもライブを観たいところです。おいでよー!!
気になった方はぜひ聴いてみてください♪