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どう考えてもあのビ◉ンセがモデル⁉ 「キラー・ビー」がとんでもない内容ととんでもない演技の紙一重ドラマだった!
先日、このドラマを観ました。
「キラー・ビー」
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あらすじ等はこちら
AmazonのPrimeVideoで昨年から配信が開始されたオリジナルドラマです。
このドラマは
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この俳優や監督、ラッパーの「チャイルディッシュ・ガンビーノ」でミュージシャンとしても活躍しているドナルド・グローヴァーが制作を務めているドラマ。彼が中心になって制作したドラマというと
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自身が主演しているこの「アトランタ」というドラマが人気で、海外ドラマファンの方の間では知られていると思うのですが、今回の「キラー・ビー」では彼は出演しておらず、制作、脚本、監督(第1話)をしています。
昨年公開されたこの「キラー・ビー」なのですが、いろいろと忙しくてオンタイムで観るのは諦めてて。でもなんとなく忘れられずに、今年になって時間が出来て観れそうだったので観てみました。
というわけで、観てみて「いろいろ考えさせられるかな」と思ってたら、考えるも何も「すげー!」ってことの連続であっという間に観終わったので、自分的に良かった点の感想を書いてみます♪
※ここから先は思いっきりネタバレしてますので、結末や詳細を知りたくない方はご注意ください。
※この作品には暴力的な描写がありますので、鑑賞にはご注意ください。
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このドラマ、原題は「Swarm」というタイトルでした。でも「キラー・ビー」の方が私は分かりやすくて好きです。
このドラマ、タイトルでも分かりやすすぎでもありますが(笑)、もうぶっちゃけ言うと
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アメリカの大スター歌手ビヨンセの、今時風に言うなら「有害ファン」を主人公にしたドラマで、連続殺人ロードムービードラマ的な感じ。
先に書いた「殺人者のパラドックス」も連続殺人の話なので、2月はほんと人殺しのドラマばかり観てたんですけど(笑)
で、ほんとどっちがどうって比べるのもなんなのですが、どっちが面白かったかって言うと私は圧倒的にこちらの「キラー・ビー」の方が面白かったです。なんでかというと
主人公の女の子、ドレを演じた
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ドミニク・フィッシュバックが凄すぎる!!
私、失礼ながらこの子のことを全く知らずに観てたんです。映画「トランスフォーマー/ビースト覚醒」の主演だったそうなんで、既に人気の子だったのかな?
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この子が凄いんですよね!最初はどこかおかしいけど、ちょっと冴えない程度の女の子で、でも
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スターのナイジャのチケットをネットで買うシーンからドラマが始まるんですけど、買い方が「ちょっとおかしいな」あたりから匂わせはあって、そこから
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姉(だと後から知った。私は途中まで友達だと思ってた)のマリッサと仲たがいの後に、姉が彼氏と喧嘩したのちに自殺しちゃって、心の支えだったドレの暴走がとんでもない方向へ行っちゃうのですが、この姉を演じているのは
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人気R&B姉妹デュオ「Chloe x Halle」のお姉ちゃん、クロエ・ベイリー(写真左)。
ビヨンセが運営するレコード会社の所属アーティストなので、「そっかビヨンセ公認」みたいな気持ちで観てたんですけど(クロエ姉ちゃんの演技も良かったです!)、
ほんとに公認ですか?
って気持ちに途中でなるほど内容がヤバ過ぎて、私は中盤からちょっと笑いさえ起きるようなぶっ飛びぶりで、「いやこれ笑うの不謹慎だと思うし現実的じゃないけど、でも笑っちゃうよー!」みたいな(笑)。
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このドレのキャラクターの不気味さと、殺しの動機が表面的かもしれないけど「私の神であるナイジャをディスるなんて許すまじ!」ってところで一貫しているのが、本当に怖いんだけど奇妙で。
なんていうか、このドミニクの演技がコミカルすぎでもシリアスすぎでもなくて絶妙で、でもやっぱり本当にクレイジーなので、凄く面白い効果が出ていて。
最初は「演出や脚本が面白いからかな」と思ってたんですけど、それだけじゃやっぱりこんなに惹きこまれないと思うので、これはドミニクの個性や演技力の力ではないかな、と思いました。凄かったです!!
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彼女は今後私の要注目女優の一人となりました。
そんなドミニクと演技でガチンコしているのが
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ビリー・アイリッシュ!!
このドラマ、彼女の女優デビュー(だよね?)作としても話題だったんです。でも1話だけどゲスト出演で、ビリーはビリーなだけで最高なので、特に「演技がどう」とか期待してなかったんですけど、彼女の出演回を観てたら
上手い!!
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ビリーのキャラの設定も凄い気持ち悪いんですけど(笑)。若い白人女性の謎コミュニティ(宗教?カルト?)の長みたいな。めっちゃ大きい屋敷で若い女の子達と住んでいるのですが、そこにドレがなぜか流れ着いて(その、そこで「セッション」とか言ってビリーと対峙するシーンがあります。このシーン、結構演技ガチンコシーンなのですが、
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こんな演技が面白いドミニクに対してビリーが全然負けてなくて、凄いシーンなんで、びっくりしてしまいました!ビリーの大物っていうか天才ぶりをさらに目の当たりにしたような気分でした。
私はビリーの音楽大好きですけど、あんまりアーティストがドラマとか映画に出るのってそこまで好きじゃないのですが(笑)、でもこの作品については「出て良かったんじゃないかな」と思いました。凄いね!!
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あとは語るも何も、もう解説とかもいっぱい出てると思いますし、私もそこまで詳しくないので、あんまりドラマのビヨンセネタをあれこれ言ってもアレなので割愛しますが、自分の知ってるネタが出てきた時の「うわー」って感じが、なんていうのか喜びでもないし嬉しいでもないけど、「わ、知ってる」みたいな感じがなんとも奇妙な感覚のドラマでした(笑)。
超分かりやすいところで言うと、「ナイジャが何回グラミー受賞したと思ってんの!?」っていうのがドレの定番のセリフなんですけど、これもビヨンセが過去最多受賞者ではあるんですけど、主要部門と言われている4部門は結局1回しか受賞していないという皮肉をそのたびに思い起こさせて「うわー」みたいな。
そういうネタのレイヤーっていうか、私も気づいていないところも多々あると思われるビヨンセネタの仕込まれ具合が思ってたより凄かったです。
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故に「ビヨンセはこれ本当に全OKしたのかな?」という気持ちがずっと続くドラマなんですけど(笑)。結構失礼っちゃ失礼な(笑)。でもビヨンセの懐の深さなのですかね~。
チラ映りするナイジャのMVとか本当にそれっぽくてちょっと笑えちゃうくらいの感じなのですが、当然それも狙って作っていると思うので、「やっぱビヨンセって凄いな」と感じました。(いや、この感じ方が正しいかは分かんないけど笑)
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それは横に置いておいたとしても、ドラマとしても精神的なトラウマが原因でおかしくなってしまった(はっきりとは描かないものの生い立ちなどが後から分かると気持ちが「ずーん」となる)女の子のシリアスキラーの旅物語として、そこに一人のアーティストにのめりこむあまりに現実と妄想の区別がつかなくなったり、とんでもなく凶暴な性格になってしまうあたりの怖さみたいなところも「良く描いているな」と思いました。
これはたまたま対象がスターにしてあるけれど、ソーシャルメディアだったり、他の何かに「ハマる」ということが人の心の傷や寂しさや空虚を埋める手段だったりもして、「それによって誰かの人生を変えてしまったりとかいう事もあるのかもしれないな」と。
ドレが殺したかったもの、埋めたかったものは本当は何なのか。
それは観た人それぞれが考えるべきなんだろうと思います。
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と長々と書きましたが、深く考えるというより直感で「どうなるんだろう」と話を追っていくうちに、気づけばいろいろと感じていたことを後から「こうかな」と思わせられるみたいなドラマでした。
説明的で分かりやすいドラマって感じではなくて、いきなり時間が飛んだり、1話だけドキュメンタリーみたいになったり、いろんな工夫がされているドラマでもあります。
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私はドナルド・グローヴァーが主演していたドラマ「アトランタ」は脱落組だったので(笑)、今作を観るのもちょっと不安でしたがこの「キラー・ビー」は波に乗って面白く鑑賞できました。短いのが良かったのかな(笑)。
そんなドナルド・グローヴァーは才能を買われて今Amazonと作品制作の独占契約しているんですね。彼の最新作は「Mr.&Mrs.スミス」のドラマ版で、これって
いろいろとこんな感じで制作の経緯があったと思うのですが、面白いのかな?ちょっと気になってきました!
というわけで、気になった方はぜひ観てみてください♪
おまけ
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このシーンはビリーのMVみたいな感じがしました(笑)
おまけ2
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はっきり描かれないとはいえ、この役大変だったと思う(笑)。おつかれさまでした。