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12歳の娘への手紙
今週は、姪の受験の出願がありました。いよいよスタートします。今まで勉強してきた成果を出して良い結果となることを心から祈っています。
こうした教育の話題を聞いて、ふと気になったことがありました。「皆、家の教育方針をどのように子どもに伝えているのだろうか?」と。
自分を振り返っても、親からきちんと伝えられたことはなく、妻も同様でした。ただ、あとから、君のこんな進学は望んでいなかったと親から言われるのは子どもも不本意だと思いますし、親がこう考えているよ、と子どもに伝えるのは大事だと思うのです。
そのため、今回は、12歳になった子どもあてに、親としては、こんな風に考えているよと、手紙形式で伝えてみようと思います。
今、娘が9歳なので3年後にお披露目となるかもしれません。今、私たちが考えていることを残しておいて、覚えていたら、そのまま娘に伝えてみようと思います。
12歳になる君へ
12歳の誕生日おめでとう。早いもので、小学校6年生になって、ついに最高学年だね。卒業まで1年を切った。ここまで、無事に健康で過ごしてくれて何よりだし、本当に嬉しい。
12年間、色々なことがあって、話そうと思えばいくらでも語ることはできる。ただ、今の君は大人と子どものちょうど真ん中にいる年齢でとても微妙な年ごろだと思う。もしかしたら、お父さんやお母さんのいうことなんて耳にも入れなくないと思っているかもしれない。
ただ、12歳になった君に今日は特別に伝えたいことがある。お父さんとお母さんが考える君の今後についてだ。
小学校6年生になったけれども、君の周りも中学受験をする子が何人かいるのではないかと思う。私たちの住んでいるところは都会ではないから、そんなに受験者は多くないだろうが、地元の公立中学校に行かない子も何人かはいるのではないかと思う。
12歳になって、君は初めて自分の意志で周りとは違う道を歩もうとする友達を目にすることになる。君は、中学校受験をしないと言っていたから、今もその気持ちに違いがないならば、君の最初の進路の決断は3年後に先送りになったのだろう。
別に、中学受験をすることが偉いわけでもなければ、君の判断が間違っているわけでもない。ただ、君もいつかは自分の行く道を自分で決めることになる。そして、おそらくは、まず3年後の15歳になった時、高校受験をする前に、自分がどのような道を歩みたいのか悩むことになる。
もちろん、中学を卒業して、すぐに働き始める人もいるし、君がそうなることも考えられる。それはそれで君が決めたことならば、正しいと思うし、応援したい。
ただ、世の中の人見ていると、君の好きな従姉妹のお姉さんのように高校に行き、卒業してから働くか、大学に行く人が多いように思う。そのため、君はきっと高校に行くだろうと想像している。
3年後、本格的に進路を決めるときに言えばいいのかもしれないが、考え始めるきっかけは早い方がいいと思う。
前置きが長くなったけれど、今日は、君が将来のことを考え始めるきっかけになればと、父さんと母さんが君に願うことを記しておきたい。
一番伝えたいことを言おう。父さんも母さんも、君が自立した人間になることを願っている。大人になり、自分の力で生活をして、家族を持ったりして、幸せになってほしいが、そのためには自立することが必要だと思っている。
大人になるのはいつなのか、今の日本では18歳になったら成人として扱われる。つまりは6年後だ。高校受験が終わったと思ったら、すぐ2年後には君は大人になり、これからどう生きていくのかを考えなければいけない。
光陰矢の如しとはよく言ったもので、月日が経つのは非常に早い、おそらく高校に入学したら、卒業まであっという間だろう。「大人になって何をすればいいのか」「どうやって生活したらよいのか」そんなことを考える時間があるかもわからない。
しかし、お父さんもお母さんも、君が18歳になったら対等の大人として扱うつもりだ。つまり、今のように君の将来のために何かを買って上げたり、とことん世話を焼いたりすることは少なくなる。18歳の君は自立した個人で、もはや「弱いものだから守る」対象ではないからだ。
だからこそ、12歳になった今から考え始めてほしい。どんな大人になりたいか、どんな生活をしたいか、どんな仕事をしたいのか、少しでも引っかかるものがあったら、そのために必要な勉強は何か、考え始めるのが良いだろう。
もちろん難しいことを言っているのは分かっている。正直、お父さんも12歳の時にこんなことは意識してこなかった。むしろ今は「なぜ勉強しなければいけないのか?」と悩んでいるかもしれない。
けれども、漠然と「将来のためだ。」と言われて勉強するよりは、「6年後に自立しているためだ。」の方が少しは具体的な目標になるように思う。
いやいや、12歳の何も定まっていない状態で、さあ6年後に自立しろと言われても困るというのはもっともだと思う。ただし、そうであるなら、今やるべきことがある。目の前にある小学校の勉強に一生懸命に取り組んだ方が良い。
今の日本は勉強ができる人が幸せになる可能性が高くなるような社会となっている。なぜなら「勉強ができる」というのは色々な側面を持っているからだ。
勉強ができるということは、「知識が豊富」ということでもある。色々なことを知っていれば、自分がやりたいことを見つけやすいし、君の話を聞きたいという人も集まりやすい。
そして「好奇心が強い」ということでもある。色々学んでみようと思う人は、様々なことにチャレンジするし、様々な人とつながって成功体験を得られることも多いだろう。
そして「頑張れる人」ともみなされる。勉強ができる人はきっと、凄い努力をしている人とみなされて尊敬されやすい。実際に労力をかけたかどうかにかかわらず、勉強ができる人は頑張っている人と思われやすい。
要は勉強ができるというだけで、人からも尊敬されるし、つながりも増えるし、自分の可能性も広がる。
やりたいことを見つける・自立を目指すにあたって、こんなに分かりやすい指標もなかなかない。既に何か確固たる「やりたいこと」があるわけでもないなら、とりあえず勉強するが良いだろう。
説教じみたことも言ってしまったが、君はまだ12歳で無限の可能性がある。お父さんが今からサッカーの日本代表になることは不可能に近いが、君は何ものにもなれる。医者もパイロットもパティシエも夢ではない。
当たり前だが、自分が公務員だから、君にも公務員になってほしいなどという思いはさらさらない。そもそも今世の中にある職業の中で君が幸せになれる可能性が高いものが何かは、古い考えのお父さんよりも君の方が詳しいだろう。
だからこそ、歩みを止めず今から将来の可能性を閉ざさないでほしいと願っている。
例えば、ずっとその日暮らしで努力もせず、やりたいことも考えず、「これからどうしたら良いかわからない。」と18歳間近になって言われた時は、「大人になるのだから自分で考えろ。」と言うだろう。もちろん、そのまま18歳になったら何でもいいから働きに出てもらうことになる。
一方で、将来についてさんざん悩み、色々と勉強もしたが、それでもやりたいことが見つからない場合は素直に言ってほしい。お父さんもそうだったから、怒りも見放しもしない。次やれることをともに考えたい。
または、運よく18歳までになりたいことが見つかったけれども、それには大学に行くなど更なる学びが必要というのであれば、もちろん相談に乗る。そして基本的には応援する。
どのように、これからの6年間を過ごすかは君次第だが、お父さんもお母さんも君の将来を邪魔するつもりは毛頭ないし、幸せを願うものとして応援・サポートしていくつもりだ。後悔の無いようにしてほしい。
ここまでの話をまとめよう。
お父さんたちは、君に自立してもらいたいと願い、同時に18歳になったら自立した大人として扱おうと思っている。
18歳間近になって急に言われても困るだろうから、12歳になったことを機に、大人になることを考え始めてほしい。
そうは言っても何をやるべきかわからないだろうから、とりあえず目の前にある勉強をやることが良い選択肢だ。
これからの18歳までの6年間を悔いなく過ごしてほしいし、できることをやった後で、どうしても18歳以降の将来について悩みがあるならサポートする。
こんなところだろうか、今のお父さんの考えをまとめたつもりだが、お母さんの考えとも、そんなに違いはないと思う。好き勝手言ってしまったが、将来について考え始める一助になればとても嬉しい。
改めて12歳の誕生日おめでとう。これからもどうぞよろしく。