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2016/12/3
ターミナル駅の改札を抜けて時計台の前を通り過ぎ、導線がはっきりしない疎らに混雑している階段を降りている途中、
秋も終盤の空気を含んだ冷たい風が、
首元に巻いているストールの裾を舞い上げた。
イヤフォンから体内へ流れ込むギターのリフは叙情的で、ぼんやりしていた思考回路に時の経過を感じさせる。
込み入ったドロリと濁って煮詰まる日々は何処かへ過ぎ去ろうとしている。
バラードの展開に合わせてスクロールされていくような緩やかな所作で、
身体の中身が入れ替わっていくような。
感情過多で、とびきり卑屈なあなたを好きだった。
面倒くさいなあと溜息を吐き出しながら、
そんな日常もきっと悪くはなかったのだ。
同じ道を何度も歩く度に、
私もあなたも違ってゆく。
これまでも。これからも。