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Röntgen
セピア色の福音に、透ける月をみている、水溶日。
つよい月光がこの夜を可視化する
静かに浮かぶこの世界の果て。
夜の温度と同じになって、
世界の秘密そのもののような私の生命は、
あなたとも言葉とも景色ともひとつになって
この夜に溶けていく。
透けた月の輪郭線。
その全てがレントゲン写真に写ったあなたの中身のようで、
私はこの上なく 愛おしいと思った。
腫れ上がった傷口
綺麗な色の痣
洗礼の恵み
ただ、焦がれて、見上げているのは
遠い場所へ繋がれるような気がしていたから。
体と乖離した心を差しだしたら、
どんな色をしているだろう。
月光に染まった心が少しでも、
あなたと同じ色を共有していたならいい。