#42
道に迷うのが好き。
知らない道に迷い込むことこそ、散歩の極意な気さえしている。
より魅力的な道を選んで、どんどん知らない場所へ。
線路沿いの道から路地裏。
乗るはずだった色の電車がもう何本も通り過ぎていった。
知らない路地の知らない建物を眺めるのも良い。
自然美と同じくらい、人工物が織りなす不思議な美しさが好き。
時代に取り残されたような、
廃墟めいた団地の規則正しい窓の配列。
今はもう誰もいない病院のロビー。
低い建物のノスタルジックな貯水タンク。
夕日を映す、倉庫のような量販店の衛生的な白も。
近代的な建物も大好きだけど、
今日はなんだかノスタルジーな気分だったみたい。
ふと振り返ると、なんだか懐かしく感じるような
通りの抜け感に心がキュッとなる。
知らない道を歩くことは、
まだ眠っている自分の感受性を引き寄せるような気がする。
知らない景色の数だけ、
私の中にきっと言葉が眠っているんだね。
今日はどんな日でしたか?
また明日。
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