音楽紹介: "Milonga del ángel" ー Jeroen van Veen
通常この種のスロータンゴにはバンドネオンやボタン・アコーディオン等がトップを取ることがデフォルトだが、このバージョンでは淡々とピアノの音色だけが進行して行く。それがとてつもないノスタルジーを想起させ、未だ見ぬアルゼンチンのナイトクラブが脳裏に浮かび上がって来るようだ。
名曲と呼ばれるものの条件は、誰しもが理解出来る普遍的で平易な主旋律が存在することにあると、私は思っているが、この曲もその条件を見事に備えている。
ポップス畑の人にとってはこの旋律が決して平易には聴こえないし、記憶もし辛い‥ と言う声も届いては来るものの、これまでの「音楽は歌ありき」の歪んだ常識を堂々と打ち破ってくれるこの作品は、きっと長く後世にその存在を知らしめ続けて行くだろう。
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ピアニストのJeroen van Veen自身の楽曲も知りたかったので、YouTubeで検索したら、[24 Minimal Preludes]がヒットした。
⇨ https://www.youtube.com/watch?v=7RjTQcY9VQg
全曲を通して聴いてみたが、私が上に書いたような「後世に遺る音楽」の条件は残念ながら満たしていなかった。作曲家として彼が長く地球上に残って行けるかどうかは正直微妙である。だが彼はとても綺麗な音色を持っており、何より比較的俗世間に染まっていない彼の感性に、私は個人的には好感が持てた。
Written by Didier Merah
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