ロンドンで主夫になって2年が過ぎたので振り返ってみる
僕がリクルートを辞めて妻の海外駐在についていく為に息子2人と共にロンドンに渡って来たのが今からちょうど2年前。満杯の段ボール6個とスーツケース2個を抱えて空港からタクシーに乗り、朝6時半に辿り着いた宿はドアが開かず、管理会社の人がバールと金槌を持ってきてドアを壊し開けてくれるところから始まったイギリスでの主夫生活も3年目に突入した。
仮に「主夫力」という力があったとして、それを構成する要素は何か。
料理や洗濯といった家事全般をこなす能力か?恐らくそれも構成要素だろう。
実際、家族4人でラーメン屋に入ると1万円以上の出費を覚悟しなければいけないロンドンの外食事情を考えると、駐在員とはいえ妻一人の稼ぎで生活していくためには日々の食事は3食自炊することが前提にはなる。元々ほとんど料理をしなかった私も、イギリスで暮らす2年間を経て「冷蔵庫の余り物」で晩のおかずを用意できるくらいには料理の腕は磨かれた。
しかし、おそらく主夫力を構成する中心の要素は料理を含む家事全般の能力ではない。
主夫に必要とされる力。
それは自分を見失わないこと、もしくは見失ったとしても問題ないという胆力である。
〜〜〜この文体はここまで〜〜〜
というわけで(?)前回noteを書いてから1年ぶりです。140字以内で適当なことを呟くことに興じ続けた結果、ついに長文の書き方がわからなくなりました。長文の書き方がわからなくなる前、2年前ロンドンに来たばかりの頃書いたnoteはこちらです。
35歳の会社員だった僕が仕事を辞めてロンドンに来てみてどうだったか。
結論としては来てみて大正解。駐在の辞令と家族の大黒柱という重責を引き受けてくれた妻、そして一緒について来た息子たち(と決断を下した自分自身)のことを誇りに思います。
渡英して良かったこと
息子たちはバイリンガルに…
渡英時に6歳と4歳だった息子たちは英語については特別な教育はしていませんでした。にも関わらず、長男は1年もかからずに英語力は現地の子供達に匹敵するレベルに至り、次男も日本ではまだ年長さんの年齢だが英語で読み書きができるようになりまして。もちろん、突然ロンドンに引っ越して英語ができないまま現地校に通学する日々は子供達にとっては中々にハードだったはずですが、今現在楽しそうに学校に通う彼らの成長は頼もしく、「子供の英語教育」というイギリスで暮らす目的の一つは文句なしで叶えられています。
価値観の変化
新卒で総合商社に入り、転職してリクルートに入る時、自分としては思い切ったキャリアチェンジをしたと思っていました。年収は大きく下がるけれど、やりがいを求めて全く違うカルチャーの会社に飛び込んだと。
日本から遠く離れたイギリスで主夫になってみると、最初の転職は「日系大手の一企業から、日系大手の一企業に移ったに過ぎなかった」と思うようになりました。それくらい、自分を取り囲む状況は変わったし、自分自身がいかに出世欲のような感情に突き動かされて生きていたかを客観的に見れる時間が多くあったなと。
転職エージェントとして色々な人と会って話をする仕事に就いていたと思っていたのですが、それでも「日本のサラリーマン」という、世界で見ると限られた種類の価値観に囲まれていたのかもしれないなと、異国で生活する中で感じられるようになりました。
自分の色眼鏡を認識すること、色眼鏡を外すこと。聡い人であれば想像が及ぶことなのかも知れないけれど、自分にとっては会社員という立場から離れて時間を過ごすことで、色々な生き方があるとようやく腹落ちして来た気持ちです。
ロンドンだから逢える人たち
こちらで会えた一番の有名人はとにかく明るい安村氏。毎週TVerで有吉の壁を観ることを楽しみにしている我が家にとって、ロンドンのジャパン祭りで本人に会えたのはよい思い出です。
舞台「千と千尋の神隠し」のロンドン公演では橋本環奈や上白石萌音を観ることができたし、逆に日本にいると見れない(会えない)芸能人に会えるってのはあるっちゃある。あるっちゃあるけどここで言いたいのはそういう有名人に会えるって話ではなくて、昔の友達だったり、ロンドンにいる日本人の人たちのことだったりします。
2年と言う短い間でも、ロンドンに旅行に来るついでに会いに来てくれる友人もいました(ほんとに嬉しい)。日本にいたらわざわざ声をかけて貰えなかったかもしれないけれど、せっかくロンドンにいるなら会おうよということで、旧交を深められた機会はよい思い出になってます。
また、同じ日本の国に生まれ、時を同じくしてロンドンに居るもの同士というのもご縁だと感じていて、こちらで出会った在英邦人の方たちとも帰国した後にも末長くつながっていけたらなと思うのだけれども、その点SNSの発達はとてもありがたいなと思ったり。
意外だったこと
自分の心がすぐに折れかかったこと
主夫になってすぐのアイデンディティの揺らぎについてはnoteにまとめています。どん底だったこの時を経て凄く生きやすくなった実感を持ってます。
こんなに簡単にしんどくなるのかと驚いたし、その時の辛さが産休・育休で仕事を休む女性のしんどさと構造的には似てるだろうと感じ、みんなめっちゃ苦しんでるのでは!?と思いを馳せる機会にもなりました。
気の持ちようで乗り越えることもできた経験は、その後コーチングを学んで人と対話する仕事に取り組んでいこうと思うきっかけの一つにもなっています。
日本食が簡単に手に入る(ロンドンの場合)
これは海外暮らしでも西洋の場合にはロンドンのような大都市に限った話だと思います。僕が住んでる地域には日本食材が帰る店が多く、現地のスーパーでも醤油やのり、蕎麦、餃子など日本では見たことも聞いたこともない日本食メーカーの商品が割と手頃な値段で手に入りまして。当然、ワンコインで腹一杯になる吉野家の牛丼や一皿100円台の回転寿司が恋しくて気が狂いそうになることはたまにあるものの、「日本食が恋しくで帰りたい」と思うことはすっかりなくなって、食べたかったら作るか〜という具合にとんかつやかき揚げも自作している次第。
料理ができるようになったというのは今後の長い人生を考える上でも、主夫を経験して良かったことの一つです。
気づいたこと
駐妻って、舐められすぎでは?
X(旧twitter)上で度々話題になる駐在妻。当事者が「そんなに贅沢もできないし、言われてる程いいもんじゃないよ〜」的なことを呟けば、やれ「そんなはずはない!」だの「いいご身分だ!」といった批判的なコメントが並び、ちょっとした論争が繰り広げられる。
私は駐妻と性別が入れ替わっただけの同じ立場(駐夫)なので、駐妻の人たちがいかに実態にそぐわない、各々が好き勝手にイメージする像を投影されて語られているかがよくわかる。世間の駐妻に対する解像度、いくらなんでも低すぎると。
百人百葉とはよく言ったもので、人の数だけ異なる背景があって、「駐妻」というカテゴリで括っても何も理解することはできないです。
もちろん、駐在員の配偶者として海外暮らしをすることが夢だったという人もいるだろうけれども、そのような人は割合で言うと非常に少ないものと感じてます。
この場でどんな人に会って来たかを細かく記載するつもりはないです。ただ、駐妻と呼ばれる多くの人が、配偶者のキャリアと家族の生活を優先し、自分のキャリアを中断して海外暮らしをするという決断を経ていることについては思いを巡らせても良いのではないかと思うのです。
地球は思ってるより小さい
X(旧Twitter)を使っていると日本のおそらくとても偏った情報がオンラインで入ってくるし、昨今はZoomやGoogle Meetsなどオンラインで対話するツールには事欠かない。もともと転職エージェント時代に海外駐在中の人たちと電話やオンライン面談で話をしていたし、今でもオンラインコーチングのお客様はほとんどが日本在住の方たちです。(私のコーチも日本に住んでいて、約2年間ずっと日本から伴走してもらっています)
私自身はコロナ禍で家に閉じこもらざるを得なかった時期も、会社の同僚や友人とオンラインでのみ繋がっている状況でも中々ご機嫌に過ごすことができていました。今でもオンラインのやり取りだけで中々に濃いやり取りができていて、海の反対側の相手とも心を通わせることができる時代になっているのだなと実感してます。
今後のこと
渡英する時は日本に帰ったらまた転職エージェントに就職すると思っていた。2年間は羽を伸ばして自由気ままに勉強や遊び、家族と過ごすことに時間を使ってまた会社で働こうと。
2年が経って、今までに累計300時間以上のコーチングを提供して来た。国際連盟の資格を取得してからは200時間、気づいたら中々積み上がっていました。
最近では法人のお客様向けに組織開発や管理職のコーチング、メンタリングなどのサービスを提供する事業にも挑戦しています。帰国後には自分の会社を作りたいと考えていて、その準備を着々と進めています(と言えば聞こえは良いのだけれども、探り探り、自分のペースでゆっくりとやってます)。
上述の通り、キャリア形成において少しだけ珍しい決断をして、ちょっとした挑戦に取り組んでいる私ですが、普段は日本のビジネスパーソン(経営者や管理職を中心)にコーチとして伴走し、人生やキャリアの目標設定と達成をサポートしています。
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ほんのご参考まで、以下は私のコーチングのお客様へのインタビュー動画です。
以上、一気に書き上げたので過去2年間を全然網羅することはできていない気がしているので、またなんか書きます!
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます!!
せっかくここまで読んでいただいたので、忘れずにスキ♥して行ってくださいね!!!
以上