阿呆猫くろっちょん
第五回 くろっちょんの天敵
くろっちょん、はじめの頃には天敵なんてありませんでした。
しかし猫生の途中から、天敵が登場したのでした。
ある日のことです。
脱走して朝帰りしたくろっちょん、なんだかヘンでした。
どうやら足を引きずってる様子。
近所の獣医さんに連れてくと、
「ほっときゃ治る」
とのこと。
獣医の先生、当時既にご老体で本来は牛や馬が専門のせいか、
テキトーに診察したようでした。
ケガは時間が経てば先生の言った通り無事治りましたが、
くろっちょんには大きな変化があったのでした。
ウチは民家ですから新聞配達や郵便局の人など、
ビジネスバイク(スーパーカブとかですね)に乗った人がやってきます。
そして通路は、くろっちょんを繋いでる桜の木のそばでした。
ケガをする前は、ただ通るのを大人しくくろっちょんは見てるだけでした。
しかしケガをしてから、くろっちょんはまるで別猫のようになりました。
くろっちょん、バイクの音を聞くや滅多にない大激怒!
「フーッ!」と威嚇の声を出しまくり、暴れまわります。
あまりに興奮して、錯乱状態になってました。
繋いでなければ、今にも襲い掛かりそうなほどのイキオイです。
郵便局のおじさんは、オカンに
「奥さん、奥さんとこのネコ、こぉっわいネコやな~!」
と言う始末。
くろっちょんのあまりの迫力に、
繋いでるそばを避けて通る人が続出してました。
ちなみに先ほどのおじさんは、
オカンにくろっちょんを押さえつけて貰って、通ってました。
確かに訪問先であんなネコに出くわしたら、怖いだろうなぁ。
イヌでもないのに。
原因を考えてみました。
どうやらくろっちょん、
足を引きずるケガの原因は、
新聞配達のバイクに撥ねられたからのようです。
時間的に言っても、新聞配達で間違いないと思います。
くろっちょん、その恨みを忘れていないようでした。
アホなんだか賢いんだかわからないネコですね。
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