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#346 サテイノイギ
不動産の査定ポータルを運営していると、いやが応でも「金額だけを知りたい」というユーザーに接触をします。
この「金額だけを知りたい」という背景には色んなものがあれど、結局は今すぐに売却をするわけではないのです。語弊を恐れず言えば、真剣に売る時にもう一回査定をするんだから今金額を知ったところで大した意味はないんです。
まぁ、「だいたいの金額を把握できる」ことにおいては意味があるんですが、それだったら流行りのAI査定とか、自分で路線価調べるとか地価公示調べるとかやりようはいくらでもあります。
しかしやはり「不動産のプロが作った査定書」の方が心理的に安心をできる材料になっているんだと思います。
ですが、不動産会社側としても「今すぐ売る気がない客」の相手をするのも捉えようによっては時間の無駄と考える会社もあります。
「売るのは5年後だけど今の金額を知りたい?なんで?」
「5年後なんですね、それでも弊社は査定をさせていただきます」
ここは会社の方針によりまちまちなので、話はここまでとします。
noteでも声高らかに何度か書き上げていますが、「査定は慈善事業ではない」ということです。
「無料査定!」という言葉が拍車をかけるように今となっては不動産の査定は無料でしてもらえるという認識になっています。
査定は無料が当たり前。
この習慣がジレンマを生んでいるのが現在の業界です。
「5年後に売るとは言ってたけど、査定額を見せたらすぐに売却に動き出す可能性もある」
そんなことが脳裏に残っているので、唾をつける意味でもとりあえず査定をしてみたはいいけど、なんだやっぱりみんな売らないじゃんか!
でも次の売主は本当に売却をするかもしれない、次は・・・次こそは・・・と、例えるならパチンコの演出に引っ張られて次こそは当たりが来そうだというあの脳内麻薬の感覚に近いのではないかと近頃は感じています。
このジレンマ解消には、もしこれができたらいいなというポイントがいくつかあります。
①売主が最初から心を開いて全て本音で話してくれればいいな。そしたら本当に不動産を売却したい売主には全力で向き合えるから。
②5年後に売るなら、5年後にまた来てくれたらいいな。そしたら今ではなくその時に全力で向き合えるから。
もしこの2点が確約できるような世界観なら不動産会社側は何一つ不満は出ないと思います。
あと最近考えたのは、売る気が無い売主の不動産を査定するからさ、その代わり会社の広告をしてよ!ということ。
Twitterにつぶやく、noteに書いてみるとか。どんな些細なことでもいいと思うんです。
そんな交換条件が成立するなら、すぐに売らない売主は査定額が分かってメリットと感じるし、査定をした不動産会社は広告をしてくれることがメリットになるじゃないですか。
「でも査定をするのが仕事なんだからそれくらいやってくれてもいいんじゃない?」
いいえ、例えば仲介会社であれば査定をするのが仕事なのではなく、売買契約の橋渡しをするのが仕事です。
買取会社であれば、不動産を買い取って再販をして利益をあげることが仕事です。
その入り口が「査定」なのであって「査定」自体が仕事ではないんです。
もっと極端に言うと、査定をしなくても売りに出すことはできます。
売りに出すための参考材料として「査定書」が存在するだけで、メルカリのように自分の希望金額で売りに出すことはできます。(その金額が相場に近いのか、買主が現れるのかは一旦置いておきます)
査定って本来そういうものじゃないですか。
売りたいからいくらなのか調べてもらう。
益々シンプルで明確な業界にしていきたいと思っています。