#247 犯罪者が元登記名義人は瑕疵?
先日、ある不動産会社から聞いた話でした。
概要としては、その不動産会社が物件情報をもらい、買取に向けて取り組んでいたが、現在は所有をしていない元登記名義人が窃盗の容疑で逮捕された物件。(容疑者は現在の所有者の元旦那という立ち位置です)
これが心理的瑕疵にあたるかどうかという判断の話です。
ちなみにその会社さんは、この事実が発覚してから、買取を断ったそうです。
理由は、買取後に再販をして、次の購入者がこの事実を知った時に、「知ってたら買わなかったよ」と言われ後々揉めるリスクがあると判断をしたからです。
その会社さんは、この事実を瑕疵と判断はしなかったそうです、そのためその事実を買主に伝えなくてもいいことではありますが、物件はマンションということもあり、管理人さんやマンションの住人がその事件のことを知っていた場合、購入者の耳に入る可能性は高いと思ったそうです。
不動産における瑕疵
瑕疵とは、「目に見えないキズ」と呼ばれます。
瑕疵にはいくつか種類があります。
◆物理的瑕疵
雨漏り、シロアリ、地盤沈下、アスベストの使用等、不動産そのものに重大な破損などがあるもの。
◆心理的瑕疵
その物件内で事件や事故などが発生したもの。例えば自殺、殺人など。事故物件と呼ばれるものはこれです。
◆法律的瑕疵
建物を建築する際の建築基準法という法律などに抵触しているもの。この地域だと3階まで建てていいですよ、と定められていますが、4階まで建てられちゃってる、というイメージです。
◆環境的瑕疵
対象不動産周辺に、居住をするのに嫌悪をするような施設があるもの。例えば、火葬場、墓地、工場など。心理的瑕疵に含まれる場合もあります。
心理的瑕疵に含まれる?
話しは少しそれますが、不動産の売買のみならず、取引の大原則としては「知ってたら買わなかったよ!」ということではないでしょうか。
例えばあなたが欲しいと思っていたものがフリマサイトに出品されていました。
購入して、手元に届きましたが、商品の一部が破損しているものでした。
もしあなたがこの体験者だったら、どのような気持ちになりますか?
不動産の取引も同じであり、雨漏りが発生しているって聞いてないのに、住んでみたら発生してるじゃん!知ってたら買わなかったよ!となるわけです。
不動産の場合、金額が大きい為、その怒りはかなり大きいものと考えられます。
今回の冒頭で触れた件は、ここの部分の話についてです。
今は所有者じゃないけど、窃盗の容疑で逮捕された人がもと所有者で、その奥さんが現在の登記名義人となっている物件、知ってたら買わなかったよ!となるのか、そんなの気にしないよ、となるのか。
判例
気になる判例に関する記事を見つけました。
購入した中古住宅の前所有者は現在、殺人罪で服役中と判明した。
その事実を知っていたら、当然に購入などしなかった。
説明義務違反であり、契約の解除及び支払金員の全額返還とともに、損害金を支払えと売主の不動産業者に請求。
登記の流れとしては、前所有者の奥さんから相談を受けた不動産業者が買取り、リフォーム後、現所有者に売却をしたとのこと。
つまり、服役中の方の奥さん→不動産会社→現所有者という登記の流れになります。
このケースの場合の判例は、前科や犯罪歴は人の名誉、信用に直接にかかわる事項であり、前科等のある者もこれを公開されないという法律上の保護に
値する利益を有する。
要するに業者にはその説明義務はないとの判断でした。
しかし、不動産会社が自身の身を守る(その後揉めないとか)ためであれば、説明義務はなくとも事前に伝えておくことが吉ではないでしょうか。
だって、「元所有者が窃盗の容疑で捕まっています」と聞いて、いい方向に転ぶことはないですもんね。