#167 プロが教える不動産売却で損をしない方法~仲介~
不動産の売却を経験したことがある人はほとんどいません。
つまり、不動産を売却する時は初めての経験となる人ばかりです。
金額が大きい売買となるため、慎重になってしまうこともあるでしょう。
逆も然り、もっとよく情報を仕入れてから売却をした方が損をしなかったかもしれない、ということもあるかもしれません。
この記事では、初めて不動産を売却する人、現在売却活動をしている人、将来的に不動産を売却する予定のある人、全ての人の参考になればと思います。
不動産売却の方法は、大きく分けると2つあります。
仲介:個人の買い手を探す
買取:不動産会社が直接購入する(買い取った不動産は業者がリフォームして再販売する)
今回は仲介について。
仲介とは、不動産仲介会社と媒介契約を締結し、その仲介会社がホームズやSUUMO等のポータルサイト、不動産会社だけが閲覧できるレインズに物件情報を掲載して個人の買い手を募ります。
仲介について、あの時こうしておけばよかったという事例を踏まえて、今後の売却の参考にしていただければと思います。
・高い査定額を出したところに依頼をしたが全然売れなかった
「マンションの売却を検討していました。
売却を考えた時に起こした行動は、一括査定サイトを利用して、まずは金額を把握することだと思い、早速インターネットで申込をしました。
6社から査定額をいただき、一番高い査定額(6,500万円)を出した会社と媒介(売却活動の依頼をすること)を締結し、売却活動をスタート。
しかし、中々買い手が付かなかったため、仲介会社のアドバイスもあり、販売開始の3ヵ月後に値段を5,700万円に下げたところ、すぐに買い手がつきました。
結局、5,700万円という値段は他社が査定した金額と変わらなかったため、初めからこの値段で売りだしてたらもっと早く売れたのではないかと思ってしまいました。早く売れた可能性があったにも関わらず、売却までに時間を要したため損をした気持ちになりました。」
売却を検討するときにほとんどの方が最初に起こす行動は、査定の依頼ではないでしょうか。
この方は一括査定サイトを利用をし、複数の会社から査定額が届きました。
各社から査定結果を受け取った後、次に考えることは、「どの会社と媒介契約を締結しようか」ということです。
大手に任せた方がいいのか、地元に強い不動産会社に任せた方がいいのか等、売主様によって様々な判断基準があります。
そんな中で、一番高い査定額を出してくれた不動産会社を選択する、という方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
しかし、ここで大事なことですが、仲介の査定はあくまでも、「売れる可能性がある金額」であって、必ず売れる金額ではありません。
この体験談のように、値段を下げたらすぐに売れた、ということは、結果論ですが下げた後の金額が適正な金額であったということです。
どの会社に売却を依頼するか悩んだ時には、高い査定額に注目すると同時に、複数の会社の査定額を鑑みて、価格の整合性を確認してみてはいかがでしょうか。
例えば、今回の体験談に基づいて、下記のような査定結果が届いたとしましょう。
A社 6,500万円
B社 5,800万円
C社 5,700万円
D社 4,900万円
E社 5,500万円
F社 5,000万円
上記の例だと、A社が圧倒的に高い金額を提示しており、他の会社はA社程の査定額を提示していません。つまり、不動産のプロが出す査定額として、群を抜いて高い査定額が適正な金額であると判断をすることができるでしょうか?
「A社だけ群を抜いて高いけど、他の会社は5,000万円中盤くらいの金額が多いな。ということはここの金額帯が相応の相場なのかな。」と判断をすることもできると思います。
これが価格の整合性という観点です。
また、相場からかけ離れた高い金額で市場に出すことは、販売の長期化というリスクを孕んでいます。
例えば下記のように同じマンションにて別の部屋が売りに出された場合。
405号室 6,500万円
404号室 5,800万円
※間取や部屋の作りは同じものとする。
※リフォームはなし。
このマンションで購入を検討している方がこの2部屋を見たら、まずどちらのお部屋に注目するでしょうか?
おそらく、5,800万円の404号室に目を向ける方が多いでしょう。
なぜなら、同じ部屋の作り、同じ間取で700万円も安いためです。
つまり、売却活動をする上では、同じマンションや同じ地域の売出物件が競合となるため、その競合物件と比較検討をされることになります。
さらに、販売が長期化することによって「いいマンションだけど3ヵ月売れていない」という見方をされてしまいます。「いいマンションなのに売れていない」というのは、何か問題があるのでは?と、購入検討者に敬遠をされる要因にもなってしまうおそれもあります。
また、似たような事例として、大手仲介会社に任せれば大丈夫と安心していたが、最終的には地元の不動産会社を通して売買契約が成立したというケースもあります。
「大手仲介会社の方が安心だと思い、専任媒介で売却活動を依頼したが、その後売れる見込みが立たなかったため、媒介契約後3ヵ月の更新のタイミングで、地元の仲介会社1社を加えた一般媒介に切り替えました。
そうすると、後発の仲介会社からすぐに買付が入り、売買契約に至りました。」
たしかに、大手仲介会社にはネームバリューがあるため安心感がありますが、ネームバリューのみで仲介会社を選択することが正しいとは言えないというケースが多々あります。
例えば、ポストに「あなたの家を買いたい人がいます」という内容の大手仲介会社のチラシが入っており、それを信じて媒介契約を結びましたが「その買主様は別物件を購入してしまいました。」という結果になってしまった、という話もあります。もちろんこれは大手仲介会社に限りません。
大手の仲介会社だから、大手じゃないから、という選び方ではなく、信頼のおける担当者であるかの視点で選択してみるのもひとつです。
なぜなら、仲介の売却活動は平均的に3ヵ月から半年かかると言われています。
その間、買主様が内見にきたり、いつ売れるか分からない状況が続くため、精神的にストレスを感じることもあります。
長い期間を担当者と共にするため、感性やフィーリングが合うか、信頼のおける担当者であるか、一緒になって売買契約までの道筋を立ててくれる担当者であるかも売却活動における重要なポイントになります。
まとめ
仲介で売却活動をすることは、いつ売却をできるか分からない道を進むことになります。
ある物件では、販売開始後1ヵ月で買主が現れたケースがあれば、3ヵ月で売れた事例があるマンションにもかかわらず1年間売れなかったというケースもあります。
不動産の売却・購入が「ご縁」と呼ばれる所以はそこにあり、コントロールできないタイミングに左右されることが非常に多いです。
我慢強く一人で頑張るのではなく、寄り添ってくれる担当者に巡り合うことが売却の秘訣になるかもしれませんね。