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音源分離のススメ(耳コピが苦手な人も、そうでない人も)
作曲を進めるにあたって、「好きな曲やジャンルを耳コピしなさい」というアドバイスを耳にしたことがある人も多いでしょう。耳コピをすることでメロディやコードの理解が深まると言われます。しかし、音感がない人にとってこれは容易なことではありません。私自身耳コピは苦手です。一曲全体なんて日が暮れても終わりそうにありません。やらなければとは思っていますが、いかんせん宿主の音感がなさすぎます!!! 自分で呟いたメロディすら解析にかけてデータに変換しようとする始末ですからまぁ遅い。
また、演奏技術を向上させるために巨匠の真似をすることも推奨されます。特にジャズや伝統音楽の分野ではその傾向が顕著です。しかし、音感がないと「何をしているか分からない」状態に陥り、真似をすることすら困難です。
この記事では、作曲と演奏の二つの方向から音源分離の使い方やその恩恵、自分なりの使い方について紹介します。音感を鍛えたとしても耳コピには時間がかかりますし、トレーニングの効果が出るのは先の話です。今すぐにでもあの曲の秘密を解き明かしたい。あの素晴らしい演奏を真似したい。そんな私や同じ悩みを抱えるあなたを救うかもしれないのが音源分離です。耳コピが得意な人にもきっと役立つ内容ですので、ぜひ最後までお読みください。
音源分離とは?
音源分離とは、楽曲に含まれるボーカル、ドラム、ベース、その他のパートを分離する技術です。有料ソフトに限らず、ブラウザやスマホアプリを使って、各パートを個別に抽出できます。たとえば、ボーカルだけを抽出してメロディを聞き取ったり、逆にボーカルを抜いてカラオケ音源を作成することも可能です。リズム隊だけを分けたり、コーラスのみ聞くこともできます。
操作は非常に簡単で、大抵の場合は音源を読み込ませて実行するだけ。以下では、音源分離の具体的な活用方法を紹介します。
音源分離でできること
1. 耳コピや学習のサポート (作曲・演奏)
音源分離を利用することで、耳コピが格段に簡単になります。本当にめちゃくちゃ違います! これはメインメロディに限った話だけではありません。他にも、ドラムをシンバル・スネア・キックに分けたり、リズム隊だけを抽出してボーカルと合わせることで、楽譜に起こすのはもちろん歌唱リズムや微妙な拍感を理解しやすくなります。リズムのニュアンスは言葉で説明するのが難しいものですが、分離された音を聞くことで感覚的に捉えることが可能です。
2. 音楽分析の効率化 (作曲)
1番と重複する話になりますが、各楽器の音量レベルやパン(左右どちらからどれくらい音が出ているか)がよりわかりやすくなります。聞き取りづらい小さな音も分離して大きくできますからね。特に効果があるのはやはりドラム。スネア(タイコ)なんかは複数の音を重ねて1つの音にすることがよくあります。抽出してEQや波形を見ることで、音色に対しての分析も圧倒的にやりやすくなるはずです。
3. リミックスやアレンジ (作曲)
特定の楽器パートだけを抽出し、リミックスやアレンジに活用できます。例えば、ボーカルだけを取り出して別の楽曲に重ねたり、逆に楽器パートを編集して独自のアレンジを加えることが可能です。オリジナル曲ではないでしょうが、自分なりに伴奏をつけてみたり、新たにエフェクトをつけて変化を実験してみたり。私はAIに作曲をさせてリミックスに挑戦しています。
4. カラオケ音源の作成 (演奏)
特定のパートを抜くことで真似をしたり、伴奏やリズムに合わせて演奏をすることができます。JAZZの巨匠たちは曲をかけながら演奏をして練習したということもよく聞く話です。下手くそなのはわかっていますが、一緒に演奏している雰囲気があり楽しいですよ。
実際の活用例
1.曲の分析(作曲)
自己紹介でお伝えしたとおり梶浦由記さんのファンなので、耳コピにトライしていますが、コーラスや伴奏が複雑で難易度が高いです。しかし音源分離を使用するだけで、どのタイミングで何が鳴っているかよくわかります。それだけでも作り方の大変な参考になりました。
2.リズム用練習音源(演奏)
ドラムやベースラインを分離して、自分の演奏練習用の伴奏音源をってます。私はVRチャットでのバンド活動に役立てています。ドラムを担当していますが、ただドラムoff音源を作るのではなく、Voとドラム・ベースだけで聞くことも多いです。その曲のリズムのノリ、演奏上の細かいところが分かる気がします。
3.アレンジ(作曲)
SunoAIに作曲してもらった曲を音源分離しボーカルや特定のパートを抽出し、テンポやピッチを調整してNightcore化をしてみました。
まだ始めたばかりなのですが、今度はフィルターを掛けたり、カットアップをしてブレイクを作りたいと思っています。詳しい作り方は次回の記事で紹介したいと思います。
音源分離の今後
アレンジの項目で書いたようにAIが出力した音源を分離することで、疑似的にパート事に出力させることが現状でもできています。また、他のソフトを組み合わせれば音源データをMIDI化、鍵盤データ化することもできます。勿論両方とも精度の問題がありますが、今後はどんどん改良されていくでしょう。人間はもちろんAIの作曲したデータさえ、自由自在に操れるようになっていくかもしれません。演奏する側、作曲する側共に練習や研究がより簡単かつ深くできそうです。
音源分離は、単なる技術ではなく、創作を助ける強力無比なツールです。(もしなかったら音感のない宿主をどうかしてしまっていたかもしれません)もし興味がわいたらまず無料のサービスから使い始めてみてくださいみてください。有料のソフトについては定期的にセールがありますのでその時期を狙うことをお勧めします。それまでは都度課金で様子見がお勧めです。また、私も使っているStadioOne7には音源分離の機能が付いてます。音感のあるなしに関わらず、今までやってきたことが短時間でできるようになったり、もっと分かりやすくなると思います。
次回の記事は音源分離を使用しAI作曲から一歩踏み込んだアレンジの実践方法です。ピッチやテンポアップ、エフェクトの使い方などご紹介します。音楽制作への新しいアプローチにどう感じるか、ぜひ感想を貰いたいです!