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感性を磨く、自分と向き合う。 - 『13歳からのアート思考』でアートの見方が変わる

日々忙しく生活をする中で、「自分はどう感じるのか」「自分はどう考えるのか」を見失ってしまっていると感じることはありませんか?

末永幸歩氏による「13歳からのアート思考」は、アート作品を通して「自分だけの視点」で物事を見る方法を教えてくれる一冊です。

僕がこの本から最も深く学んだのは、「作品は花にすぎず、アーティストには根っこがある」という視点でした。作品を前にしたときに何を感じたらいいのか途方に暮れてしまう時がありますが、それはアーティストの世界観のほんの一部のみを見ているからです。

アーティストの根っことは、彼らの好奇心、問題意識、そして世界を見る独自のフレームです。この根っこの部分に思いを馳せることで、作品同士の繋がりや、アーティストが表現しようとした世界観がより鮮明に見えてくるのです。

そして、この「根っこ」の視点は、単にアーティストに留まりません。鑑賞の際に自分が感じたことを言語化していく中で、私たちは自分自身の「根っこ」にも気づき始めます。「なぜこの作品に惹かれるのだろう?」「この作品の何が私に響くのだろう?」といった問いを通して、私たちは自分自身の価値観、経験、そして世界の見方と向き合うことになるのです。

つまり、作品との対話は、アーティストの根っこだけでなく、自分自身の根っこをも探る旅となるのです。

例えば、ある作品の色使いに注目したとします。単に「赤い色を使っている」と認識するだけでなく、「なぜこの色を選んだのだろう?」「この色を通して何を表現しようとしたのだろう?」と、アーティストの意図や背景を想像することで、作品はより豊かな意味を持ち始めます。

同時に、「この赤色を見て私はどんな感情を抱くのだろう?」「過去に同じような赤色を見た時にどんな経験をしただろう?」と、自分自身の経験と照らし合わせることで、作品との個人的な繋がりが生まれます。

それは、まるで一本の花を見るだけでなく、地中に広がるアーティストと自分自身の根の存在を感じ取るような体験です。

この「根っこ」の視点は、アート鑑賞だけでなく、私たちが何かを表現する際にも重要な示唆を与えてくれます。

私たちはつい、目に見える「花」、つまり作品の完成度にばかり目を奪われがちです。しかし、本当に大切なのは、その花を支える「根っこ」を育てること、つまり、自分自身の好奇心を追求し、問題意識を深め、世界を見る独自のフレームを構築することなのです

「13歳からのアート思考」は、単にアート作品の鑑賞方法を教えてくれるだけでなく、自分自身の内面を見つめ、創造性を育むためのヒントを与えてくれる一冊です。

作品という花を通して、アーティストと自分自身の根っこに触れることで、私たちはより深く世界を理解し、自分らしい表現を見つけることができます。経営とアートの関係などを取り上げる書籍などが話題になる昨今ですが、「アートとは何か?」「アート思考を鍛えるとはどういうことなのか?」に対して一つの見方を与えてくれる素晴らしい本でした。

ぜひ皆さんも一読してみてください。


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