ハイドン：交響曲第6番 ニ長調「朝」 Hob I:6
04:29 II. Adagio: Andante
11:45 III. Menuetto: Trio
16:36 IV. Finale: Allegro
再生時間 20'' 12'
ハイドンの交響曲第6番 ニ長調「朝」 (Hob.I:6) は、彼の初期の交響曲のひとつで、通称「朝」という名前で知られています。この交響曲は、交響曲第7番「昼」および交響曲第8番「晩」とともに、いわゆる「時間交響曲」三部作の一部を形成しています。これらの作品は、ハイドンが1761年にエステルハージ家に仕えて間もなく作曲したもので、彼がこの新しい職場で音楽監督として自らの能力を示すために書かれたと考えられます。
### 作曲の背景
1761年にハイドンは、ハンガリーの名門エステルハージ家の副楽長に任命され、まもなく楽長に昇進しました。彼の役割は、エステルハージ家の宮廷楽団を指揮し、さまざまな音楽作品を提供することでした。交響曲第6番「朝」は、エステルハージ家の宮廷で最初期に演奏された作品の一つであり、当時の楽団員たちの技術を活かした構成になっています。
### 楽器編成
交響曲第6番「朝」は、次の楽器編成で書かれています：
- フルート1
- オーボエ2
- ホルン2
- ファゴット1
- 弦楽合奏（ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）
- 通奏低音（チェンバロ）
この編成は当時の標準的なもので、各楽器がソロとして際立つ場面も含まれています。
### 構成
交響曲は4つの楽章で構成されており、それぞれが異なる時間帯や雰囲気を表しているとされています。
#### 第1楽章: Adagio - Allegro
冒頭のAdagioは、ゆっくりとした静かな導入で、一日の始まりを象徴しています。フルートやヴァイオリンのソロが美しい旋律を奏で、徐々に活気が増していきます。その後のAllegro部分では、朝の活力が表現され、躍動感のある明るい主題が展開されます。この楽章はソナタ形式で書かれ、ハイドンの巧みな対位法が光ります。
#### 第2楽章: Adagio - Andante
第2楽章は静かで内省的なAdagioで、チェロのソロが中心的な役割を果たします。この楽章は牧歌的な雰囲気を持ち、ゆったりとした旋律が続きます。対話的な形で展開されるチェロと他の楽器のやり取りが特徴です。
#### 第3楽章: Menuet & Trio
メヌエットとトリオの形式をとる第3楽章は、優雅なダンスのリズムを持ち、エステルハージ家の宮廷生活における社交的な一面を反映しています。トリオ部分ではファゴットのソロが際立ち、独特の風味を加えています。
#### 第4楽章: Allegro
フィナーレとなる第4楽章は活気に満ちたAllegroで、一日の終わりに向けたエネルギッシュな展開がなされています。この楽章は、軽快なリズムと生き生きとしたメロディーで構成され、交響曲全体を締めくくります。特にホルンのソロや弦楽器の技術的なパッセージが魅力的です。
### 音楽的特徴
ハイドンの交響曲第6番「朝」は、楽器のソロに焦点を当てた独創的な作品であり、各楽器がソロとして活躍する場面が多く見られます。特にフルート、ヴァイオリン、チェロなどが頻繁にソロとして演奏されるのが特徴です。このような編曲は、ハイドンがエステルハージ家の楽団員たちの才能を活かすために作ったものと考えられます。
### まとめ
交響曲第6番「朝」は、ハイドンの初期の交響曲の中でも特に創造的で色彩豊かな作品です。彼の楽団員の能力を最大限に引き出し、ソロと合奏が絶妙に絡み合った構成は、後の交響曲にも通じる要素が見られます。作品全体を通じて、一日の始まりから終わりにかけての情景が描かれ、ハイドンの作曲技術と想像力が遺憾なく発揮されています。
マックス・ゴバーマン（Max Goberman）が指揮し、ウィーン国立歌劇場管弦楽団（Vienna State Opera Orchestra）が演奏した1960年から1962年に録音されたハイドンの交響曲第6番ニ長調「朝」（Hob.I:6）の演奏に関して、まずゴバーマンとオーケストラの詳細な背景を解説します。
### マックス・ゴバーマンについて
マックス・ゴバーマン（1911年–1962年）は、アメリカの指揮者で、特にバロックと古典派音楽の専門家として知られています。彼はフィラデルフィア生まれで、ジュリアード音楽院で学びました。彼は主にバレエやオペラの指揮で活躍し、また、フリッツ・ライナーやオットー・クレンペラーと共に研鑽を積みました。
ゴバーマンの功績の中でも特に注目すべきは、ハイドンの交響曲全集の録音を試みたプロジェクトです。この試みは、交響曲全集の最初の録音のひとつであり、特にハイドン研究の進展に大きく寄与しました。残念ながら、彼の突然の死によりプロジェクトは完遂されませんでしたが、彼の録音はハイドン演奏の新しいスタンダードを確立しました。
### ウィーン国立歌劇場管弦楽団について
ウィーン国立歌劇場管弦楽団は、ウィーン国立歌劇場の専属オーケストラとして知られていますが、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団としても活動しており、クラシック音楽界で最高峰のアンサンブルの一つです。歴史と伝統に支えられたそのサウンドは、特にモーツァルトやベートーヴェンなどの古典派音楽において評価が高いです。
### ハイドンの交響曲第6番ニ長調「朝」について
ハイドンの交響曲第6番「朝」は、ハイドンが「朝、昼、晩」の三部作として作曲した交響曲のひとつで、オーストリア・エステルハージ家に仕えていた時期（1761年）に作曲されました。宮廷楽団のメンバー一人一人に光を当てるような楽器編成が特徴であり、特にソロ部分が多く含まれている点が際立っています。
ゴバーマンの録音は、時代楽器ではなく現代楽器を使用しているものの、古典派の様式に忠実な解釈が施されており、テンポやダイナミクスにおいても洗練された解釈がなされています。ゴバーマンの指揮とウィーン国立歌劇場管弦楽団の見事なアンサンブルは、楽器のバランスや透明感のある音色が際立ち、特に弦楽器の響きが軽やかでありながらも豊かさを持っています。
全体として、この録音はハイドンの交響曲の初期の録音としては非常に高い評価を得ており、現代のハイドン演奏の基盤となるものです。
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