複雑な心境

明日、キンプリのコンサートに行ってきます。

3人の脱退直前、ベストアルバムのファンクラブ限定版を買うために作ったばかりの次女名義のアカウント。着席ブロック希望で、どうせ当たらないだろうとかなり気軽に申し込んだらまさかの第一希望当選にしばし絶句したあと、とりあえず友人にメールで報告し、次に職場に宣言し(そして若干引かれ)、帰宅後は元ティアラのママ友に指南を仰ぎ、驚いたり焦ったり浮かれたり心配したりと気持ち的に大忙しの午後だったことを覚えている。
帰っても次女本人にはすぐには言わず、とりあえず夏休みいっぱいは隠しておくことにした。帰省などのたびに言いふらされたりしたら面倒だと思ったからだ。

子供には秘密にしておきつつも、準備だけは着々と進めていった。まずはグッズ購入。元ティアラママによると、とにかくペンライトだけは持って行けという。しかし当選発表の時点で初回販売分はすでに売り切れていた。軽く落胆しつつも、ショッピングバッグやら顔写真入りのうちわやら、パンフレットという名の写真集もとりあえず買っておく。ペンライトは第2回の販売が始まり次第注文することにした。

次はうちわ。アイドルのコンサートといえばうちわ。名前やメッセージを入れたあの大きな黒いうちわを、用意すべきかどうか。がんばれば100均の材料で手作りできるらしいが、私にそんな器用さはない。それならとネットを見てみると、文字シール片面だけで1,000円前後と、決して安くはない。ちょっとしばらく悩むことにする。

そうこうしているうちに、グッズの再販開始日を迎えた。朝から何度かサイトをチェックし、注文できる状態になったのを確認するとすぐにペンライト、ついでにTシャツもカゴに入れ、いざオーダー。10月以降の発送になるかも、という注意書きがあったけど、コンサートは10月の下旬だし、再販初日に注文すればさすがにそれまでには間に合うだろうとたかをくくっていた。

夏休みが終わり、学校が始まると、なんと次女のクラスメイトも別の公演に当選していたことが発覚。うらやましそうに報告してくる娘に、サプライズで当選の事実を伝える。期待したほどのリアクションではなかったものの、確実に喜んでいる。とりあえずよかった。
当日どんな服装をしていきたいか聞いてみると、黒いワンピースとのこと。さすが強火永瀬廉担。卒園式で着た一張羅の黒ワンピースがまだサイズアウトしていないことがわかり(1年半も経ってるのに)、ありもので済ませられることになって一安心した。

このへんまでは、純粋に娘と行く初めてのアイドルコンサートをいかに振り切って楽しむかということだけを考えていれば良かったので、気が楽だった。
しかし9月のあの日以降は、なかなかそういうわけにもいかなくなってしまった。

歴史に残るかの会見のあとも、彼らはそのことには一切言及することなく、通常モードでキラキラニコニコふわふわと仕事をこなしている。まあ、当然といえば当然、彼らはプロアイドルとしてプロの仕事をしっかりこなしているのだということはわかるのだけど、やはり以前と同じように純粋に楽しむのは難しい。コンサートのことを考えるのもちょっと嫌になる時期もあった。
しかし世間の風当たりの強さとは裏腹に、秋に発売される新曲のプロモーションが始まり、それをみる限り本人たちはどんどんグレードアップしている。若い2人が逆境の中がんばっているという事実に、おばさんはまたも白旗を上げざるを得なかった。事務所についてはいろいろ思うこと言いたいことはあるけれど、タレントに罪はない。ここを混同してはいけない。私たちが応援しているのはあくまでKing&Princeというグループでありそのメンバーなのであって、事務所ではない。そのことを胸に深く刻み、モヤモヤはなんとか頭の隅に追いやって、とにかく10月のコンサートまではこのモードを継続することを決意した。
「嫌いにはなれないし否定もしたくないんだ」。
図らずも今回のツアータイトルアルバム1曲目の歌詞が心に響く。

決意が揺るがないうちに…ということで、うちわもバッチリオーダーした。推しへの愛をストレートにぶつける次女のうちわと、ついでにふたりを応援するメッセージを入れた自分のも。さすがに浮かれ過ぎではと思わないでもなかったけど、たぶん一生に一度のアイドルコンサート、しかも娘と2人。あとから悔いることのないように、万全の準備で臨みたい。

次女はというと、学校では例のクラスメイトとコンサート準備の情報交換をし、宿題の日記には当選の喜びを綴り、さらに学習塾の作文課題でもやはりコンサートに当たったことを自慢し、こちらが案じていた通りの浮かれよう。ちょっとうざくはあるものの、共通の趣味を通じて友達との仲が深まったり、作文力の向上につながったり(?)しているのだからよしとする。

そんな時に開催された第2回の会見は、前回よりもさらに強いインパクトで私の決意を揺さぶってきた。いくら娘のためとはいえ、私はこのまま浮かれていていいのか?もちろん悪いのはあの人物でありそれを守ってきた事務所でありメディアであるんだけれども、そこに身を置き続けそれらに守られ、また彼らもその状況を守ろうとしているように見えてしまう今(そりゃ仕事であり収入源なんだから当たり前だけど)、私はこのまま突っ走っていってもいいのだろうか?自分の葛藤もさることながら、娘の将来にとってもよくないのではないか?いずれ詳細は知ることになるわけで、その最中に浮かれてコンサートを楽しんでいたという事実をどう捉えるのか?間違ったメッセージを受け取ってしまうことにならないか?悩みすぎて吐きそうだ。

しかし深呼吸して考える。今この状況で開催される公演だということ。過去にもこんなことはなかったし、おそらく将来も同じような状況というのはないと思う。この空気の中、この心境で、苦境の中精一杯の輝きを放つ若者たちの姿を至近距離で目の当たりにした時、何を感じるのか?この答えを知ることができるのは、今だけだ。あまりのオーラとかっこよさにそんなもの全部吹き飛んでガチで応援しちゃうかもしれないし、やはりそうはならないかもしれない。別にそれを確かめたところでどうなのかと言われたらおしまいだけど、確かめることができる状況にあるのは幸運と言える。

なんとか気持ちを立て直したあとは、ひたすら公演と会場の情報収集に励む。ネットで参加したみなさんのレポートを読み、セットリストや見どころを予習。会場もできたばかりということで、駅からのアクセス、入退場、トイレや売店事情も、いまやなんでもSNSから拾うことができる。どうやら難点も多々ありそうな会場で、子連れで行くためにはかなり入念な事前準備が必要なよう。SNS様様、投稿者様様だ。

公演直前、もう買うものもないだろうと思っていたら、元ティアラママから「オペラグラスは必須」とのアドバイスが。急いで駅ビルに走り、まずは100均を物色するも「安物だけにぼやけることが多々ある」という店員さんの一言に断念し、家電量販店へ。双眼鏡コーナーでいくつか試し、そこそこ見えてあまり高くないものを選択。いくら一生に一度を楽しみ尽くしたいとはいえ、予算に限りはある。というかもうすでにだいぶオーバーしている。ここは冷静に妥協点を探ったつもりだ。

夜、もはや日課となっているSNSでの情報収集をしながら、2人がMCをつとめる番組の録画を視聴していた。当たり前だけど、番組は何事もなかったように穏やかに進行し、出演者同士の交流とか事務所内での先輩後輩話とかを延々とやっている。正直、他のグループに興味のないおばさんからしたら退屈な内容なんだけど、娘の推しががんばっている姿が微笑ましいので毎回それなりに楽しんで視聴している。でも今回はいつもに輪をかけてテンションが上がらない。どの話もなんとなく白けて聞こえてしまう。なんだかもうお腹がいっぱいの気分だ。
これが一連のゴタゴタに起因するものなのか、はたまた単に私の中のアイドル摂取量のキャパシティーを超えてしまった結果なのか、どちらなのかわからないまま画面を見続けていたら、終盤のコラボレーション企画でとある歌手の曲を歌う場面があり、そこで一気に心が冷えてしまった。いくらタレントに罪はないといっても、番組スタッフはもう少し色々気にした方がいいんじゃないのかとか、だいぶ余計なお世話なことを考えつつ、頭の片隅に追いやっていたモヤモヤがまた脳内に広がっていくのを止めることができない。

そして迎えた前日。
まだ届かない、あれが。コンサートの必須アイテム、ペンライトが。そりゃあ、10月以降の発送って書いてあったけど。さすがに当日には間に合わせてくれるだろうと完全に甘く見ていた。当日使えなかったら、その価値は半分以下なんだけど…もうキャンセルはできない。トホホ。
仕方がないので当日は、こんなこともあろうかと元ティアラママから譲り受けていたファーストコンサートのペンライトで参戦することとする。6色あるやつ。全然新規なんですけどね。

当選した時には、まさか参戦までにこんなに心の紆余曲折を経験することになるとは考えていなかった。娘が初めて好きになった、そして私もなんだかんだだいぶハマっているアイドルを一緒に応援したい気持ちは本当。だけど2人をとりまく状況がどうにもすっきり割り切れずモヤモヤするのも事実。コンサート当選というめでたいはずの状況で、こんなに自分の中で行くための言い訳をいろいろ考えなきゃいけないなんて想定外だったし、ものすごく心が消耗した。だからこそ明日は、そんな疲労や迷いが吹き飛ぶようなものを目撃したいとおおいに期待している。


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