GREEN LEAVES
(※予め言っておくと、今回の話題は私より年下の方には通じないかも知れない。)
読者諸賢はひと昔前に放送されていた「笑う犬の冒険」というフジテレビのバラエティ番組を覚えているだろうか。今は大御所となったウッチャンナンチャン、ネプチューン等々の芸人さん達によるコント番組である。
そしてその中に「はっぱ隊」というコントのシリーズがあった。内村さん演じる何らかの失敗で落ち込んでいる主人公の元に、(※テレビ的に一応白い下着も着用しているが)裸に葉っぱ一枚のみを纏った男の集団「はっぱ隊」がやってきては、何の解決にもならない励ましをするのが恒例の流れである。
そんなはっぱ隊が主人公を励ます際に連呼するのが「やった!やった!」というフレーズ。そして躍進するはっぱ隊は後に『YATTA!』というタイトルのオリジナルソングまでリリースすることとなる。それはそれはとても明るい曲調で、大人になった今改めて聴くとじーんと沁み入るような良い歌詞もあるので是非諸賢にも一度聴いて頂きたい。
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閑話休題。私の職場には業務用のでかい掃除機がある。途轍もない吸引力を誇る代償に、馬鹿でかいモーター音を轟かせる代物である。私は毎日お店のオープン前、その掃除機を掛けている。
数日前、その日も私は掃除機を使って床の掃除をしていた。その日の私はとても機嫌が良かったので、歌を口ずさみながらノリノリで掃除をしていた。選んだ曲はそう、はっぱ隊の『YATTA!』である。
心のどこかで無意識に「どうせ掃除機の音がでかいから周囲には聴こえていないだろう」と思っていたのか否かはわからないが、私はとても元気に歌っていた。塵をぐんぐん吸い取る掃除機。ピカピカになる床。ご機嫌な私と、私の脳内で舞い踊る裸に葉っぱのナンチャン、潤ちゃん、原田泰造(敬称略)。そして曲はサビに差し掛かる。
ッッアァーーーーーイ!!
やった!!!!
やっっ……
……た……?
一体いつからであろう。ふと私が振り返ると、その静けさと気配の無さ(失礼)から「アサシンではないか」と従業員からまことしやかに噂される(超失礼)、氷の配達員さんが無表情で立っていた。
「ア"ッッ……オ、オツカレサマデース!イツモ配達アリガトウゴザイマース!ハハハ……!(裏声)(早口)」
途端によそ行きモードになる私。相変わらず無表示の配達員さん。冷汗をかいてしどろもどろになりながらも私が納品書にサインをすると、彼はボソッと「ありがとうございまーす」と呟いて店を後にした……うん、いや、きっと掃除機のモーターがうるさくて私の歌は聴かれていなかった筈、大丈夫……でも、もし、万が一聴かれていたら……は、恥ずかしいっっ!!
配達員さんが帰った直後、速攻私はお手洗いの掃除をしていた先輩(ほぼ同世代)に今しがた起こった出来事を話した。すると先輩は案の定「もー!やめてよー!変なお店だと思われちゃうじゃーん!(笑)」と仰りつつ死ぬほど笑っていた。
とにかく、めちゃくちゃ恥ずかしかった。これを世間では「赤っ恥」と言うのであろう。
でも大丈夫。配達員さんにご機嫌な歌を聴かれても、先輩に笑われても、それこそはっぱ隊の言葉を借りれば
【生きているからLUCKYだ】
ということなのだ。生きているだけで幸運。
多分、社会的には死んだけれど。
……それでは本日はこの辺りで。バイQ。