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音楽は誰のもの?

えっっ……と、最後にnoteを更新したのは7月21日……?おお……かれこれ三ヶ月以上も更新をさぼっていた。もしかすると読者諸賢の中には私が死に失せたと思っていた方もいらっしゃるかも知れない。生きとるわ!!(逆ギレ)

何故に執筆をさぼっていたのか……言い訳をさせて頂くと、私はここ数ヶ月の間に新たな趣味を見つけたのである。そして今現在、すっかりその趣味の虜となっているのだ。その趣味とは一体何か?というと……そう、『テルミン』である。

「あれ?テルミン?そういえば三ヶ月くらい前に『ザ・ぷー』の街角マチオさんが凄いという記事を書いてましたよね?」とお思いになった方がいらっしゃるであろう。そうそう。書きましたとも。(※当該記事は下記↓)

そしてこちらの記事の執筆後間もなく、なんと私はマチオさんの相方である街角マチコさんが演奏する楽器『テルミン』を入手してしまったのである。更にその上、私の居住する地域には「テルミン愛好家サークル」なる同好会があることが判明し、何度か見学を申し込んで伺う内にいつの間にかぬるっと正式メンバーとなってしまった。何なら練習歴一か月未満で演奏会デビューも果たしてしまった。恐ろしや……

さて、といった所で話を少し変えて、今回の本題について書き記そうと思う。こうして私自身「音楽」という新たな活動をスタートさせた訳だが、その結果としてSNS等でありとあらゆる音楽活動をされている方の発言を目にする機会がぐっと増えた。そしてそんなある日、私はとあるどこかの誰かが、これまたとある誰か(演奏者)について糾弾している投稿を目にしてしまった。

その内容をざっと要約すると「明らかに練習不足で下手なのに人前で演奏している奴を見るとイライラする」という趣旨であった。どこの誰が、誰の、何の楽器の演奏を聴いて呟いた発言なのかは名誉の為に書き記さないが、どうやらその愚痴めいた投稿をした人は、とある場所にてお世辞にも上手いとは言い難い某楽器の演奏を聴いたらしく、演奏者について痛烈に批判していた。

なお、どうやら批判的な内容を書き込んだ人物は長年ずっと音楽に慣れ親しんできた人らしい。それ故その人物にはかなりの音楽的な素養や経験があるらしいが、一方で「練習不足」「下手」と手厳しく糾弾された奏者に関しては特に経歴の明記が無かった。

普段ならばそのような投稿を見ても「どこかの知らない誰かが、更にどこかの知らない誰かに対して呟いたものだから自身には関係ない」と受け流せたのかも知れない。しかし私がその投稿を目にしたのは気圧が低く天気の悪い日であった。そのせいでメンタルが弱っていたのか、何故かその刺々しい言葉は私の心にまで引っ掛かってしまった。

「いやいや、そんな厳しいことを言いなさんな……確かにあなたは相当な音楽経験者とお見受けするし、つい批判的になってしまったのだろうけれど、目の前の奏者があなたと等しい経験を持っているとは限らないだろうし、何ならもしかすると奏者には十分に練習時間を取る暇が無かったのかも知れないじゃん……音楽は上手く演奏できる人だけのものなの?」と、私は批判者に対して思った。そして「いや、音楽は完璧に演奏できて、理論を完全に理解している人だけのものではない!未成熟でも発展途上でも、誰しもが楽しめるものの筈だ!」とも思った……のだが、少し時間を置いて改めて考えた時に「『未成熟でも楽しめる』なんて、それを自分自身に対して言ってしまったら、それはただの甘えだよなぁ」と深く内省した。

私自身、新たな楽器を始めてサークルに入ったことによって「奏者」の側になった訳であるが、そうなると必然的に誰かの前で演奏する機会が訪れる。すると当然「全然練習していないし下手だけれど、皆さんの前で披露します!」などと抜かす訳にはいかない。その演奏会を楽しみに来てくださった方々を失望させる訳にはいかないし、その為にはある程度の修練も必要となる。

そう考えた時、私もつい数日前にとある演奏会に出演したのだが「もっと本番までに練習しておくべきではなかったか?」という疑念が(今更遅いけれど)頭を過った。なおその時は空模様のせいもあってか、メンタルがブルーを通り越して濃紺くらいになっていたので、ネガティブで卑屈な考えは留まるところを知らずにどんどんと溢れ出てきた。

思えば私は小さい頃にピアノを習っていたが、大の練習嫌いのサボり魔であった為に結局殆ど上達せぬまま辞めてしまった。中学の三年間は友人に誘われて吹奏楽部に入りチューバを吹いていたが、その時も「部活として皆と音楽をやっている故にせざるを得ない」だけであり、やはり練習があまり好きではなかった。その為、音楽をちょいちょいやって来たにも関わらず、私はパッと渡された楽譜を瞬時に読むことができないし、コード(和音)の理論等々も全くわかっていない。

果たして、そんな怠惰で不勉強な私が再び音楽を始めて良かったのだろうか。皆様の前で演奏したいなんて思って良いのだろうか。いつかどこかで学の無さ故に躓いて挫折してしまわないだろうか(そう思うなら今からでも勉強し直せという話ではあるが)。

そして何より一番、今現在一緒に活動しているサークルの仲間に不真面目だと思われて見限られてしまわないだろうか……

……そこまで考えて、私は自分で自分が嫌になった。最低すぎる人でなしだと思った。

私が所属するテルミン愛好家サークルのメンバーはそれぞれ楽器の種類や経歴の長さは異なれど、各々修練を重ねて数々の演奏会をこなしてきた方々ばかりである。その為、いつか私も先述のエピソードのように己の未熟さを百戦錬磨のメンバーに指摘されてサークルを追放されまいかと思ってしまったのだ。

勿論、決してメンバーの皆はそんな冷酷非道な方々ではない。寧ろ、音楽経験者のくせに対した知識も無い私を受け入れ「一緒に楽しもう」と言ってくれる、ものすっっっごく優しくて、とっっっても温かい方々ばかりである。私が練習会に参加するのはテルミンという楽器そのものが好きだからというのもあるが、それ以上にメンバーが大好きだからである。

それなのに、つい疑心暗鬼になってそんな優しい方々に対してまで「いつか追放されるのではないか」と疑念を抱き、思わずメンヘラ的な暗い発言をSNSで呟いてしまった己の身勝手さと残酷さと軽率さが果てしなく嫌になった。

しかしながら、これはこれは本当に有難いことで、私が勝手な言い分の激鬱ツイートをTwitter(※未だにXと呼べない)に呟いたら、すぐさまメンバーの内のお二方がリプライで励ましてくださった。その優しさに私は思わず泣いてしまった。どこまでも皆様は温かい。

おかげさまでもう大丈夫です。私は皆様を信じております。ありがとうございます。これからも一緒に練習や演奏会を楽しみましょう。そして私もCrewsで焼鳥を食べたいです(※至って局所的なエアリプ)。

さて、話が途中から大きくずれてメンタルの色合いがインディゴレベルのどん底まで落ちてしまったが、結局「音楽」は一体誰のものなのであろうか。

色々と各々の中に意見はあるやも知れないし、先述の通りそれを自分自身に言い聞かせ過ぎたら修練を怠る言い訳にもなりかねないが、私としてはやはり「老若男女、経験の長さや演奏の習熟度に関わらず、それを愛する皆のもの」と答えたい。

例えばの話であるが、これまた名誉の為にどなたであるかは伏せておくが、私は過去に「歌うのがが苦手」と謙遜する人とカラオケに行ったことがある。そして確かに(かなり失礼ではあるが)その方はあまり歌が得意ではないように聴こえた。しかしながら、その方は選んだ楽曲にかなりの思い入れを抱いており、歌詞を一つ一つ噛み締めるように歌っていた。私はその姿を見て純粋に感動したのを覚えている。

無論、ある程度の聴衆がいる形式張った演奏会、ことさらチケット代を対価として頂くようなシーンであまりにド下手なサマを披露するのは望ましくないし、そういう局面においては事前に入念な練習や準備が必要となるであろう。しかしそうでない限りは、音楽は決して楽器や歌が上手い人のものだけではない。と思いたい。だって「音を楽しむ」と書いて「おんがく」なのだから、楽しむ権利は誰にでもあるだろうし、楽しくなければ続かない。続かなれば上達しない。上達しなければプロだって現れない。

ということで思わず超絶メンヘラネガティブ発言もしてしまったが、今のところテルミンの練習は全く苦ではない。寧ろ物凄く楽しくて楽しくて毎日ガンガン弾いている。そのうちマンションの管理会社を通じて隣の部屋から苦情が来そうなくらい(アンプのボリュームを絞れ)。

なお、練習嫌いであった故に殆ど弾けないまま辞めてしまったピアノ教室での経験も全くもって無駄になってしまった訳ではない。今現在、ピアノはマジで恐ろしい程に弾けないのだが、教室でソルフェージュをやっていた為そこである程度の音感が身に付いた。テルミンはある程度の音感が演奏に必要となりうる楽器なので、その部分で現在苦労をしていないのは過去の経験が生きているからだと思われる。というかある程度耳が鍛えられていたからこそテルミンは私にしっくり来たのかも知れないし、始めて一か月未満という爆速のスピードで演奏会に出られたのかも知れない。

散々怠惰な過去を生きてきた私にも楽しいと思って弾ける楽器があったということと、その楽しみを共有できる方々に出会えたことは殆ど奇跡である。なのでもう二度とそんな素敵な方々を疑うなどという最低なことはするまい。

これからも毎日ボリュームを上げてバリバリ練習するので、皆様末永く宜しくお願いいたしま……ア"ッ、管理会社から苦情が……(笑)

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