〜タントンお肩をたたきましょ〜64年前の日記
昭和33年 2月17日 日曜日 くもり
トントントン 夜の六じょうで、母かたをたたいて * やった。
シーンとした六じょうにかたをたたく音だけが聞こえる。
もうだいぶたたいているが、母は何とも言わない。
「もうちょっと上」とかいろいろな事をいう。
ようやく母は「じゃ、あといくつたたくか、きめてやりなさいよ」と、
こちらを向かないで言いました
ぼくの横ではチーコがぐーぐーといびきをかきながらねています。
「じゃあ、ぼく二百やるから」といってたたき始めました。
もうつかれきってようやく終わりました。
母は「あーあ、いい気持ちだ」と手をのばしながら言いました。
えらかったですね お母さん お喜びになった でしょう。(石橋先生)
* たたいてやる:「〜してやる」の言い方は同等以下の人の為に何かをする意味となり、ここは丁寧語の「上げる」を用い「たたいてあげる」が適切。
村上少年が正しい敬語を理解できずにいたのか、当時はこのぞんざいな語感が一般的だったのか。
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猫や猿が日常行う”毛づくろい”の目的の一つにコミュニケーションがある、と聞きました。
人間世界では昔から ”肩たたき” がこの毛づくろいに相当するのでは。
でも最近は家庭マッサージ機が代用されて、この素敵な風習は見られない。======