~弁当箱を誰がとった?~ 64年前の日記
昭和32年 12月4日 火曜日 晴れ
きょうもこたつの中で漢字を書いていると、今まで台所で働いていたお母さんがパタパタとスリッパの音をたてながら「ペテが晃ちゃんのおべんとうばこをとっちゃった!」と赤くはれた手をふりながら言いました。
ぼくは又ペテと遊ぼうと思ってふざけて「こらっ、ぼくのおべんとう箱かえせ!」ときつい声でいうと、足や手で頭をかくし「うーっ、うーっ」とうなりました。
ぼくはいきなりかむといけないので、すぐにげてしまいました。
そのうちこたつの中でちぢこまっていた洋ちゃんがいきなりこたつを出て、
ペテと遊び始めました。
ぼくのそばではり仕事をやっていたお母さんは糸をなめながら「ほら、早く
おべんとう箱とっちゃいなさいよ」といったので、お兄ちゃんはおそるおそる手を近づけてサッと取ってしまいました。
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この日記の情景はまさに昭和32年の我家の日常生活です。
母はパタパタとスリッパの音を立てて廊下を歩き、赤城れた手指で
針の穴に通す糸先をなめる。小馬鹿にしている三男坊の弁当箱をかじり、
それをなじられて頭を隠し唸るペテ、そんなペテと無邪気に戯れる洋ちゃん、惣領としての責任感溢れる兄貴が夫々個性豊かに登場してます。
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余談です、当時 TV番組で ”サザエさん” ( 江利チエミ主役 )がありました。
その撮影に我家を借りたい、と親戚が勤める映画製作会社から申し入れがあったそうです。其の頃の我家の六畳の茶の間、八畳の和室、ちょっと広い玄関が番組のサザエさんの磯野家にぴったり、と父に話していたらしいです。
結局、撮影する期間が数ヶ月間にもなるとのことで父は断ったのですが、
今思うと何かもったいない気が・・・・・笑
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