要約画像つき!「デジタルマーケティングの定石(垣内勇威氏)」のまとめ・感想
垣内勇威さんによる書籍「デジタルマーケティングの定石」を読んで、デジタルの特徴が豊富に詰め込まれており、マーケティングに活かせる要素が沢山あったので、要約してみようと思います。
忙しい人のためにこの記事を一枚にまとめたものがこちらです ↓↓
以下、本書の要約に入ります。
デジタルの限界
デジタルやDXというと、魔法のように何でも出来るような気がしてきますが、実際にはそんなことはありません。なぜなら上記4つの限界があるからです。
デジタルはセルフサービスチャネルです。TVCMと違い、面白くないと思ったらすぐ離脱することができます。そのため顧客視点に立つことがより重要で、ユーザが求めていないものは削除していかなければなりません。
デジタルを活用することでデータは集まりますが、その行動の理由まで分かるわけではありません。行動観察やアンケート調査を利用して仮説を立て、その検証にデータを使うことが重要です。
これらの4つの限界を押さえた上で、次はデジタルの強みを確認します。
デジタルの強み
デジタルを利用することで、無料でいつでも接触できるユーザや、提供すべき情報をストックすることができます。
デジタルの最も大きなメリットが、従来のマーケティングをデジタルに置換することによるコストカットと述べられていますが、それはストックを一度確保すれば今後ずっとその情報を使えることが背景にあります。
デジタルはTVCMほどの集客力はありませんし、人対人の営業ほどの接客力はありませんが、一度スタートするとストックが貯まっていき、それを中長期的に運用することで、中間的なスペックだが、低コストで安定して提供できるコスパの良さが最大の武器になります。
では次に、よくあるデジタルの誤った使い方を見ていきましょう。
デジタルの誤った使い方
これは一つずつ確認していこうと思います。
【誤り1 : 局所最適化してしまう】
デジタルの特徴を理解できている人は少なく、DX化を社内で推進しようとした際にDX部門に丸投げすると、部署内での局所最適化が行われ、全体で見たときに最も利益を得れるDXが行われない傾向にあります。
【誤り2 : 重箱の隅をつつく仕事をする】
例えば、ユーザ数が少ない媒体でのABテストや、検索回数の少ないコンテンツの細かい順位の変動を追ってSEOに関する御託を並べることは利益増加に大きな影響を及ぼしません。データ量が多いといくらでも重箱の隅はつつけます。そこで、権限を持つ人が、強い意志を持って仕事を捨てる必要があります。
【誤り3 : ユーザ不在の「自己満足」の仕事をしようとする】
デジタルはセルフチャネルサービスで特に顧客主導です。定期的なユーザ調査を行い、顧客が求めるものをピンポイントで提供します。よくある「自己満足」の例としては「webサイトリニューアルで変わった感を出したい」「全ページデザイン統一に拘る」「webサイトでブランディングしようとする」等があります。
【誤り4 : データから宝物を見つけようとする】
これは手段が目的化している例です。例えば「データだけ渡すのでそこからなにか面白い発見をして下さい」は絶対に成立しない仕事です。まず定性的にユーザを理解し、それを定量的に証明するために必要なデータから分析するというのが正しいデータ活用法です。
ここまで「顧客」「ユーザ」というワードがたくさん出てきました。デジタルの特性上、顧客主導のサービスを意識することは大変重要です。では「顧客主導」を実践するためにどうすればよいかを見ていきましょう。
顧客が買うまでの流れを3フェーズに分ける
【フェーズ1 : 日常生活フェーズ】
無関心な顧客に対して、何とかして名前を覚えてもらい、将来ニーズが発生したときにいち早く接触できるように網を張ることが目標です。「ターゲットユーザに対する純粋想起」「ストックを作り最速でニーズを検知」することがデジタルの目標です。勘違いしてはいけないのは、デジタルでニーズを起こすことは不可能という点です。偶然ニーズがおきたときに、「純粋想起」「ニーズ検知」可能な状態を作っておくことが、デジタルにできることです。
【フェーズ2 : 初回購入フェーズ】
全ての顧客接点から最速でゴール直行を目指します。顧客は初回購入フェーズでは「目的の情報」以外は見てくれないことを意識し、最速で的確にユーザのニーズを満たした情報のみを提示します。「見てもらう」よりも「アクションをおこしてもらう」方に重心を置きます。例えばLPはファーストビューでほとんど決まり、縦にどれだけ長いかはゴール到達率と相関がないことが分かっているため、1ページ程に短くまとめ、会員登録等のアクション導線を分かりやすく設置するのが効果的です。
初回購入フェーズのゴールをどこに設定するかはとても重要なポイントです。結論、LTVを最大化する地点をゴールに設定します。例えば、ゴールを「問い合わせ」にするか「ノウハウ資料請求」にするかでゴール到達率は10倍違います。ではハードルの低い「問い合わせ」をゴールにしたほうが良いのでしょうか?これをLTV含め計算すると、
お問い合わせ: 訪問数1万×お問い合わせ率0.5%×商談化率30%×契約率10%×LTV100万円 = 150万円
ノウハウ資料請求: 訪問数10万×資料請求率5%×商談化率10%×契約率3%×LTV100万円 = 150万円
となって一致するのでwebサイトのゴール地点はどちらにしてもよいことになります。ゴール設定の仕方で利益の伸び幅が大きく変わるので適切に設定する必要があります。
現代では初回購入フェーズの顧客はGoogle検索からの接点が多いので、ここをよく理解するために、本書内ではさらに「選び方の勉強」「候補洗い出し」「候補絞り込み」の3フェーズに分けて詳しく紹介されています。
【フェーズ3 : 継続購入フェーズ】
継続購入型サービスにおいて重要なKPIは「購入期間」で、これはどれだけユーザの生活時間を多く占有できるかにかかっています。接触頻度が高いほうが購入期間が伸びることが様々な業種で証明されているので、継続的に何らかの形で顧客に接触することが重要です。
継続購入フェーズにおいてポイントとなるのが「コンテンツ」「ルーティーン」です。コンテンツに関しては、ユーザが求めていないものは削除し、追加したときは漏れなく通知することに加え、最初のリリース時はミニマムな導線だけ設計し、まずユーザに使わせてみるのがよいと述べられています。ルーティーンに関しては、顧客の継続購入において、初回購入後2-3回目まで購入すればリピート率が格段に上がるため、3回目までは赤字覚悟の施策でユーザを定着させます。
これまでの知識を使い実務に実践する
これまでの知識・定石を使い、デジタルを効果的に活用してマーケティングを行う手法を、デジタル活用の型を18のセグメントに分けることで細かく解説されています。長くなるので、皆さんも是非本を手にとって読んでみてください!