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김경남(キム・ギョンナム), The Man.
柔らかな気怠さを引き伸ばしたようなゆとり。キム・ギョンナムが描き出す晩夏のとある時間 ---
「 テレビに出る俳優たちが格好よくて幼い頃に俳優になりたいと決心した。」
演技を始めたことを一度も後悔したことがないという俳優キム・ギョンナム(31)の話だ。
2012年に演劇舞台でデビューし、2019年に初主演作であると同時に名前を馳せたMBC<特別労働監督官 チョ・ジャンプン>へ出演するまでは、ジャンル問わず多様なドラマ・映画・演劇を通じて立体的な演技を披露し、視聴者へ先に顔を知らせていた。
初主演の栄光に続き、2020年に新人賞の栄誉に輝いた彼は、勢いに乗ってSBS<ザ・キング 永遠の君主(以下、ザ・キング)>のカン・シンジェに変身し、前作とは180度違う演技を披露した。
特にキム・ギョンナムはドラマ後半のカギを握っている人物として浮上し、回を重ねるごとに没入度の高い演技を見せてくれた。
『ザ・キング』が発掘した宝石のような俳優という賛辞を引き出し、どんな作品でも新しい姿を発見する楽しさを与える俳優キム・ギョンナム。
この俳優の名前を必ず覚えておかなければならないようだ。
<インタビュー>
パク・スンヒョン
ー生まれて初めてのグラビアでしたね。
「 そうです。だから緊張しないようにと頑張りましたが、とても緊張しました。 やはり演技とは違いますね。撮影途中、確認するためにモニターに写真を映してくださったのも 恥ずかしくて見られなかったんです。 でも今日で少し適応したので、@star1で次もまた良い機会をくださったら、もっとうまく撮れると思います。」
ー<ザ・キング>が幕を閉じますが、名残惜しいでしょう。
「 8ヵ月という長い間撮影していたので初めは残念な気持ちが大きかったです。 でもいつもキャラクターのことを考え、緊張して集中した状態を過ごしていたので、終わった今はすっきりした気持ちです。」
ーカン・シンジェを演じながら決して軽くはない物語を見せてくれましたが、シンジェというキャラクターのどこに惹かれましたか?
「 シンジェだけが持っている重い背景があるじゃないですか。 シンジェには別世界の人間なのに自分の過去を知らないまま生きてきたという魅力がありました。 撮影中、後半からその事実が少しずつ明らかになっていきますが、そのような暗い部分を魅力的に見せることができると思いました。」
ーシンジェを魅力的に見せるためにどのような努力をされましたか?
「 シンジェという人物は、強く感情を表に出すというよりは、淡々としながらも節制された人物だったので、そのような姿を見せようと思いました。だから会う人ごとに違うように接してみたんです。テウルという人物には楽さを感じますが、他の人にはそうではない部分もあって。実際ここのこの部分がシンジェの魅力だ…というよりは、感情を表に出そうとしない姿を通して、視聴者から見て「シンジェはテウルが好きなのかな?」という程度の空気だけを少し読めるようにそっと表現するのが面白かったです。 感情において過度でなかったのがシンジェの魅力だと思います。」
ー俳優としては、逆に感情を大きく表に出さないことの方が難しいのでは?
「 本当に難しかったです。 悲しかったり、腹立たしかったり、さびしかったりするなどはっきりした感情を噴出させずに、顔に出さないようにしながらも、少しずつ映し出すように見せなければならないことは思ったよりとても難しかったですね。」
ー撮影が終わって満足しましたか?
「 どんな俳優でもそうだと思いますが、作品を終えてもなかなか満足は出来ません。 今回もやはり、残念で悔しい気持ちの方が大きかったですが、私にできる演技で俳優たちと呼吸を合わせて本当に一生懸命頑張ったと思います。 そんな部分では私自身に拍手をしてあげたいです。」
ー撮影しながら難しかった瞬間も あったと思います。 特に、後半に向かうほど、次第に感情をコントロールすることが難しかったように見えましたが。
「 演技しながら一番プレッシャーを感じたシーンは、シンジェが自分が大韓帝国から来た人間だということを自ら悟った瞬間でした。 どう見えるかということが一番の負担で、そのシーンの後からはむしろ楽だったと思います。 テウルに自分は大韓帝国から来た人間だと伝えるシーンや、後半にシンジェの本当の母親と再会するシーンなど、シンジェの真実が明らかになってからは、感情を隠さなければならなかった時よりも上手くできた気がします。」
ー大韓帝国に住む母親に会ったシーンでは、どのように感情移入しましたか。
「 爆発する悲しみに自分でも驚きましたが、作品の後半部ではむしろ無理に感情移入しようと努力するというよりは自然に入り込めました。実はそのシーンは、台本を見ただけでもとても悲しくなるシーンだったんです。 ただ、最初は『これを無理に悲しく演技するのはやめよう』と思って、できるだけ淡々とさせようと思いました。でも撮影に入ると感情が激しくなりました。母親役のファン・ヨンヒ先輩と呼吸を合わせているうちに、淡々と表現しようとした意図とは違って、自分も知らないうちに感情表現が激しくなりました。」
ー近くで見た俳優たちのコンビネーションはどうでしたか?
「 現場では皆とても仲良く過ごしました。 演技しながら、お互いに励まし合ったりしながら元気に過ごしました。 シンジェは他のキャラクターと多くぶつかるキャラクターではなかったですが、それでも現場で会うと嬉しくて色々話をしたりしました。」
ーキム・ウンスク作家との仕事はプレッシャーも大きかったと思いますが…
「 本当に光栄でしたし、わくわくする気持ちも大きかったです。 作家さんが”プレッシャーを感じずにこれまで通りやればいい”と言って下さりありがたかったです。今回の作品も撮影前から大きな注目を集めた作品なので、実を言うと確かにプレッシャーにもなったんですよ。 でも、私の前作を面白く見たと言って下さってそのおかげでさらにやる気が出ました。 SBSのドラマ『輝く星のターミナル』をご覧になったそうです。セキュリティチームの先輩と後輩のケミが生きるシーンが面白かったと、今回の作品も上手くできると言ってくれました。 本当に光栄でした。」
ー実際にドラマの中のような並行世界が存在するなら、俳優ではないキム・ギョンナムは何をしていると思いますか?
「 初めから全く違う別の仕事をしていたらいいですね。 今は夢見ることもできないですが、俳優とは全く違う…医者のような職業もいいですね。学生時代から勉強がとてもできたエリート医師なんてどうでしょうか。今の私はすっかり大人になって勉強とは程遠くなってしまったので(笑)私が想像もできないことをしていたら面白そうです。ははは。」
ー演技を始めるようになったきっかけも気になりますね。
「 幼い頃からの夢でした。 確か7歳頃からテレビに夢中で、その中に出てくる俳優たちがすごくかっこよく見えて、憧れてました。大きくなってもその心は変わらず、高校に進学して進路を決める時も演技の道をずっと念頭に置いていました。 大学に入る時は演劇映画科があるから、そこで私と同じ考えのある人に出会えば、また具体的な進路が決まるのではないかと自然に道を踏んできたように思います。」
ー演劇舞台にデビューしてブラウン管に進出、大衆に名前を知らせるまで時間を要しましたが、難しいことはありませんでしたか?
「 正直に話すと、大変だったことはありません。 もちろん大変でなかったわけではありませんが、大変でも演技するのが楽しくてとても面白いので、帳消しになるようです。やめようと考えたことはまだ一度もありません。うちの両親も最初は俳優という職業が不安だったようです。でも僕が揺るがなかったので徐々に信じてくれるようになりました。」
ー有名な俳優というより、いい俳優になりたいそうですね。
「 そうですね。”有名だ”というのは、いい俳優になるといつか付いてくるようです。自分が意図して欲を出したからといって、成し遂げられるものではないと思います。 今のように着実に演技をしていけばいいのです。 あとは、私の演技を見てくださる方たちが評価してくれると思うので、名声においては欲を出したり焦ったりしないようにしています。」
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@star 1 vol.103
AUGUST 2020