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「編集人生の全てを賭けた」「ここ数年で一番打ちのめされた」ダイヤモンド社編集者のオススメ本8選

こんにちは! この春に出版社のダイヤモンド社に入社したての新入社員の秋岡です。同期4人で担当しているこの連載も、残すところ数回となってしまいました。読書の秋ということで、27回目ではダイヤモンド社の編集者たちが普段どんな本を読んでいるのかを掘り下げてみたいと思います! 今回は、市川有人(いちかわ・ゆうじん)さん(書籍編集局局長)、田中怜子(たなか・れいこ)さん(第2編集部副編集長)にいくつかのテーマに沿っておすすめの本を聞きました! 読書を楽しむ1冊を探すきっかけになったら嬉しいです。

書籍編集局の局長が選ぶ1冊!

『医者が教える食事術』『情報は1冊のノートにまとめなさい』など、多くのベストセラーを担当してきた書籍編集局の局長・市川有人(いちかわ・ゆうじん)さんにおすすめ本を聞きました!

自室の本棚。基本的に雑食だと思います。

Q. 本棚の中から、イチオシの本を教えてください

『エンド・オブ・ライフ』(佐々涼子・著)
 末期患者の死との向き合い方を描いたノンフィクションですが、ここ数年読んだ本の中で一番打ちのめされた本。「どう死ぬか」は「どう生きるか」と同義ですが、「生きてきたようにしか死ねない」ことを悟ります。賢く上手な生き方ではなく、自分だけの生きる意味を考えさせられる筆致は、問題解決型の実用書には到達できない境地として憧れます。

Q. 最近買った本と、なぜその本を買ったか教えてください

『スロー・イズ・ビューティフル』(辻信一・著) 
 本自体はすでに定番書ですが、最近買って毎日少しずつ読み進めています。世の中何事も「速さ」が求められますが、歳を重ねるごとにスピードによってこぼれ落ちることにも目が向くようになりました。結局はファスト&スローのバランスだと思いますが、時に「遅さ」を意識的に取り戻さないと居心地が悪い年齢になってきたので「遅い生き方」について学んでいます。

Q. 編集に携わりたいと思った本と、その理由を教えてください

『百年の孤独』(ガブリエル・ガルシア=マルケス・著)  
 文庫化されて再び話題になっていますが、学生だった30年前に読んで衝撃を受け(当時はファンだった筒井康隆さんの影響)、「こんな本を作る仕事がしたい」と思ったのがきっかけです。ただそれだけの情熱で実際にマルケスやボルヘスなどのラテンアメリカ文学を出している小さな出版社に入り、1年目から海外小説をガンガン作っていたので、今考えると90年代は本当に出版が元気だったんだと思います。

Q. ご自身が編集した本の中から、最もおすすめしたい本と、その理由を教えてください

『ニュータイプの時代』(山口周・著)  
 不確実な時代の構造を読み解きながら、これから求められる思考・行動様式を24のポイントにまとめた本ですが、本来ならテーマごとに1冊ずつ作れるところを幕の内弁当のように全部盛りにしているのが特徴です。思考の補助線になるような視点がてんこ盛りで、経営からマネジメント、働き方、生き方まで、どこから読み返しても常に新しい発見があります。

「できない人」の最大の味方! 第2編集部・副編集長が選ぶ1冊とは?

『独学大全』『発達障害サバイバルガイド』『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』最新刊『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』など、「できない人」側の目線で多くのヒット作を生み出してきた田中怜子(たなか・れいこ)さんにおすすめ本を聞いてみました!

本棚は、最近憧れの「マルゲリータ」を買いました…! 清水の舞台から飛び降りて負傷してます。が、最高です。本は、並べる高さを揃えて掃除しやすくしたいと日々思っていますができてません…。
こちらの棚は「ビジネス書の名著」。積んでるのもあります…すみません…。山口周さんの『読書を仕事につなげる技術』という本を担当したときに教えてもらった、テーマごとに棚をつくる、をなるべく実践してます。
こちらの棚は「働きたくないときに読む本」。

Q. 本棚の中から、イチオシの本を教えてください

『須賀敦子全集 第1巻』(須賀敦子・著)
 仕事と全然関係ないですが…須賀敦子さんの本が大好きです。特におすすめなのが、イタリア生活を綴った『コルシア書店の仲間たち』。普通の人が普通に生きる日常を描かせたら、世界一の作家です。私は須賀さんがきっかけでイタリアが好きになりすぎて、勝手に須賀敦子ゆかりの地を訪ね続けています。(子育てが落ち着いたら、また再開したいです!)

Q. 最近買った本と、なぜその本を買ったか教えてください

『自分をもっと好きになる 【ハピかわ】かわいいのルール』
 元々児童書なのですが、同世代のアラフォー女性たちの間で「これはビジネス書だ!」とSNSでバズっていて買いました。「毛玉のある服は着ないようにしよう」とか、大人にとっては当たり前だけど、一部の人(私)には難しい…本当に大事なことが書いてある良書でした。私もこんな本を作りたいなと思いました。

Q. 編集に携わりたいと思った本と、その理由を教えてください

『効率が10倍アップする新・知的生産術 自分をグーグル化する方法』(勝間和代・著)
 学生時代は全く読まなかった「ビジネス書」というものを知ったきっかけが、勝間和代さんの本でした。勝間さんの本は、社会不適合者だと思っていた自分に「本当の自分はダメダメでも、仕組みを整えればうまくいくかも」と思わせてくれました。当時は編集プロダクション勤務でしたが、勝間さんのビジネス書をきっかけに、自分のような読者に向けたビジネス書の編集者になりたいと思うようになりました。

Q. ご自身が編集した本の中から、最もおすすめしたい本と、その理由を教えてください

『独学大全』(読書猿・著)
 788ページ、これまでの自分の編集人生の全てを賭けて編集した本です。 この本のすごいところは、読書猿さんの「独学の成功体験」ではなく「独学に挫折した経験」から、すべての技法ができあがっている点にあります。だから、ある技法ができなくても、別の技法を試してみてください。何度でも何度でも、手を差し伸べてくれます。勉強が嫌いだったり、人生で、頭がいい人に嫉妬したことがある人にこそ、ぜひ読んで欲しい1冊です。

 今回はダイヤモンド社の編集者おすすめの本を紹介しました! 読んでみたくなった本はありましたか?

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