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「編集者として大いに嫉妬した一冊」「面白すぎて読み漁った」ダイヤモンド社書籍編集者2人のオススメ本8選

こんにちは! この春に出版社のダイヤモンド社に入社したての新入社員の森です。同期4人で担当しているこの連載も、とうとう最終回となってしまいました。読書の秋ということで、前回に引き続きダイヤモンド社の編集者たちが普段どんな本を読んでいるのかを掘り下げてみたいと思います! 今回は、今泉憲志(いまいずみ・けんじ)さん(書籍編集局取締役)、石井一穂(いしい・かずほ)さん(第1編集部編集者)にいくつかのテーマに沿っておすすめの本を聞きました! 読書を楽しむ1冊を探すきっかけになったら嬉しいです。

『嫌われる勇気』を担当した書籍編集局担当役員が選ぶ至極の一冊!

『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』や「ホリエモン」こと堀江貴文さんの著書『ゼロ』などのベストセラーを担当。さらに野口悠紀雄、吉川洋、J. K. ガルブレイス、R. J. シラー各氏などの経済書の編集も務めてきた今泉憲志(いまいずみ・けんじ)さんにおすすめ本を聞きました!

Q. 本棚の中から、イチオシの本を教えてください

『市場を創る』(ジョン マクミラン・著)
「市場」を健全に機能させるには適切な「制度設計」が欠かせないことを、古今東西の多彩な事例で解説した名著です。経済学の最前線の理論を用いつつ、内容は平易で読み物としても極めて面白い。ビジネスに活かせる知見も詰まっています(僕も会社の組織運営のヒントをもらいました)。経済書編集者として大いに嫉妬した一冊です。ちなみに、手元にある07年のNTT出版から出た版はすでに絶版で、21年に慶應義塾大学出版会から新版が出ていたことを今回知りました。ダイヤモンド社から出せなかったことがちょっと悔しいです。

Q. 最近買った本と、なぜその本を買ったか教えてください

『マイケル・ブレッカー伝』(ビル ミルコウスキー・著)
2007年に57歳の若さで亡くなったテナーサックス奏者の伝記。ジャズ研に所属していた大学生の頃、最もよく聴いたミュージシャンの一人がこのブレッカーです。当時よく遊んでいた吉祥寺を、先日久しぶりに訪れたとき「BOOKSルーエ」で衝動買いしました。ミュージシャンや関係者への膨大なインタビューから、音楽に真摯かつ凄絶に取り組んだ天才の姿が浮き彫りにされます。自分にとっては「アドリブこそが人生」と再認識させてくれた良書です。

Q. 編集に携わりたいと思った本と、その理由を教えてください

『GS 楽しい知識』No.1〜3(浅田彰・伊藤俊治・四方田犬彦責任編集、冬樹社、絶版)
大学に入った80年代初頭はいわゆる「ニューアカ・ブーム」全盛期でした。ご多分に漏れずその洗礼を受けたわけですが、当時読んだ本や雑誌のなかでも特に印象的だったのがこの『GS 楽しい知識』。とんでもなく自由でカオスな編集内容と、戸田ツトムの奔放なブックデザインに衝撃を受け、「こんな本をつくる仕事は楽しそう」と感じたことを覚えています。まぁ、知的でカッコいいと憧れたんでしょう。軽薄ですね(笑)。

Q. ご自身が編集した本の中から、最もおすすめしたい本と、その理由を教えてください

『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健・著)
『幸せになる勇気』(岸見一郎、古賀史健・著)

この"勇気シリーズ"2冊は、外部編集者の柿内芳文さんと組んで担当した本です。それまで日本で無名だったアドラー心理学を解説した入門書として、シリーズ世界累計1300万部を超えるスーパーヒットになりました。「目的論」「課題の分離」「共同体感覚」などのアドラーの教えは、人生を一変させる劇薬とも言えるインパクトを持っています。是非これからも新たな古典として、多くの人に読んでいただきたいと思います。間違いなくその価値がある本だと確信しています。

15万部突破『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』の編集者が選ぶ一冊!

続いては、15万部を突破した『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』や最新刊『組織の体質を現場から変える100の方法』など、多くの話題書を手掛けるベストセラー編集者の石井一穂(いしい・かずほ)さんにおすすめ本を聞きました!

仕事部屋です。本が増えるたびに適当な棚を買って増築しているので、統一感がありません。

Q. 本棚の中から、イチオシの本を教えてください

『我が名は青春のエッセイドラゴン!』(大槻ケンヂ・著)
ロックバンド「筋肉少女帯」のボーカル、大槻ケンヂさんのエッセイです。大学生の頃に読み、「世の中をこんな自由に捉える見方があるのか!」と感じて、著作を買い漁りました。これが人生で最初に出会った「自己(不?)啓発」だったのだと思います。

Q. 最近買った本と、なぜその本を買ったか教えてください

『右園死児報告』(真島文吉・著)
「右園死児(うぞのしにこ)」と呼ばれる怪異、生物、無機物、現象にまつわる、報告書形式のホラー小説。SNSで話題になって書籍化したそうです。ホラーやSFが好きで、よく読んでいます。

Q. 編集に携わりたいと思った本と、その理由を教えてください

『旅のラゴス』(筒井康隆・著)
編集に携わるきっかけではないですが、「本って面白いな」と思わせてくれたのは、大学時代に読んだこの本でした。父が筒井康隆のファンで、その後、実家にあった著作を読み漁ったことで、自分の人生の中に能動的な「読書」が生まれました。

Q. ご自身が編集した本の中から、最もおすすめしたい本と、その理由を教えてください

『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』(野村裕之・著)
知識や計算力はいっさい不要。「考える力」のみで解ける『論理的思考問題』と呼ばれる問題を紹介した本です。転職後1冊目の担当書にして、発売半年で現在17万部と、歴代担当書の中でも最高部数に。前に在籍していた出版社でボツになった5年越しの企画でもありました。「売れなくてもいいから、とにかく面白いものを作ろう」と決めて作ったところ、小学生から高齢者まで、幅広い世代にご愛顧いただけて驚いています。一度読み始めたら、のめり込んでしまうこと間違いなしです。

 ここまでダイヤモンド社の編集者おすすめの本を紹介しました! 読んでみたくなった本はありましたか?

 新入社員による「ひよっこ編集見聞録」は今回で終わってしまいますが、この先も面白い書籍の情報を定期的に発信しますので、ダイヤモンド社書籍編集局の公式noteをぜひフォローしてください!