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経営指標を学ぶ 12月8日 EVA as a Productivity Measure EVAによる生産性の測定
6日に中山美穂さんが突然亡くなられ、ショックを感じている人も少なくありません。嘆いている同級生もおりました。そして、本日は8日日曜日です。今日は古くは太平洋戦争開戦、真珠湾攻撃の日。ジョンレノンが撃たれ亡くなった日。今日の #ドラッカー365の金言 テキストも『 #明日を支配するもの 』第4章 #情報が仕事を変える 1999年版 136〜137ページ、eラーニング教材『データ通から情報通へ』より
1、EVA(経済的付加価値分析)とは?
企業のパフォーマンスを測る指標であり、資本コストを考慮した利益を示します。これにより、企業の真の価値創造が評価されます。
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EVAの計算方法は以下の通りです。
計算式: EVA = NOPAT - (投下資本 × WACC)
NOPAT(税引後営業利益): 企業が税金を支払った後に得られる営業利益。
投下資本: 有利子負債と株主資本の合計。
WACC(加重平均資本コスト): 資本調達にかかる平均的なコスト。加重平均コスト=株主資本コスト×株主資本の割合+負債コスト×負債の割合です。 例えば、企業の株主資本が200億円、負債が100億円であるとします。 この場合、株主資本の割合は200/(200+100)=0.67、負債の割合は100/(200+100)=0.33となります。WACCは、株主や債権者からの資本調達コストであり、企業が確保すべき収益率の最低ラインです。 計算式は「WACC(%) = 負債コストと株主資本コストの加重平均」であり、全業種の中央値(目安)は7%です。
この計算式から、EVAは企業が実際に生み出した利益から、その利益を得るために必要な資本コストを差し引いたものとして理解できます。EVAがプラスであれば、企業は資本コストを上回る利益を上げていることを示し、逆にマイナスであれば、資本コストをカバーできていないことになります。
EVAの利点には以下のような点があります。
資本効率の評価: EVAは企業がどれだけ効率的に資本を使用しているかを示すため、経営者や投資家にとって重要な指標となります。特に、長期的な企業価値向上を目指す際に有用です。
短期的な利益追求からの脱却: EVAは短期的な利益だけでなく、長期的な視点での企業価値創造を促進します。これにより、持続可能な成長戦略を考える際の指針となります。
透明性の向上: EVAを用いることで、企業は資本コストや投下資本の使用状況について透明性を持たせることができ、株主や投資家との信頼関係を築く助けになります。
経営戦略の見直し: EVAがマイナスの場合、企業はその原因を分析し、必要な改善策を講じることで経営戦略を見直すきっかけとなります。これにより、非効率な事業からの撤退やリソースの再配分が促進されます。
このように、EVAは単なる財務指標ではなく、企業全体の経営戦略やパフォーマンス評価において重要な役割を果たします。
2、ROEやROAとの比較
EVAと他の経営指標との違いは何ですか?
EVA(経済的付加価値)と他の経営指標(特にROEやROIC)との違いを以下に示します。
定義:
EVA: 企業が投下した資本に対してどれだけの付加価値を生み出しているかを示す指標で、資本コストを考慮します。
ROE(自己資本利益率): 自己資本に対する当期純利益の割合を示し、株主に対するリターンを評価します。
ROIC(投下資本利益率): 投下資本に対する営業利益の割合を示し、企業が資本をどれだけ効率的に使用しているかを評価します。
計算方法:
EVA: EVA = NOPAT - (投下資本 × WACC)
NOPAT: 税引後営業利益
WACC: 加重平均資本コスト
ROE: ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本
ROIC: ROIC = 営業利益 ÷ 投下資本
利点:
EVA:
資本コストを考慮するため、企業の真の収益力を評価できる。
長期的な企業価値向上を促進する。
ROE:
株主へのリターンを直接的に示すため、株主重視の経営に適している。
ROIC:
資本効率を評価し、投資判断に役立つ。
欠点:
EVA:
計算が複雑で、必要なデータ収集が難しい場合がある。
ROE:
自己資本のみを考慮するため、負債による影響が無視されることがある。
ROIC:
投下資本の定義が曖昧な場合があり、比較が難しいことがある。
これらの指標はそれぞれ異なる視点から企業のパフォーマンスを評価します。特にEVAは資本コストを考慮することで、より包括的な経営判断を可能にします。
3、EVAの日本市場での普及度
2024年現在、EVA(経済的付加価値分析)は、日本市場において、まだ広範囲には浸透していない状況です。EVAは、企業が投下した資本に対してどれだけの付加価値を生み出しているかを示す指標であり、資本コストを考慮した企業の収益性を評価するために用いられます。
日本におけるEVAの導入は、1998年に花王が初めて採用したことから始まりました。その後、さまざまな企業がEVAを導入し、特に株主重視の経営が求められる中で注目されています。しかし、EVAの普及が進まない理由として、経営者の資本コストに対する意識の不足、インセンティブシステムの未整備、計算の複雑さ、そして文化的要因が挙げられます。
一方で、最近ではコーポレートガバナンスや株主重視経営への関心が高まっており、一部の企業ではEVAを導入し始めています。特に、株主価値創造を目指す動きとともに、資本コストを考慮した経営手法への理解も進んでいるため、今後の普及には期待が持てます。
総じて、日本市場におけるEVAは徐々に認知されつつあるものの、その普及にはまだ時間がかかると考えられます。今後、企業環境や経営者の意識改革が進むことで、より多くの企業で採用される可能性があります。
4、EVA(経済的付加価値)を導入している日本企業
花王: 花王は1999年にEVAを導入し、主な経営指標として活用しています。EVAを通じて企業価値の増大を目指し、資本効率を重視した経営を行っています。花王は全社的な目標としてEVAを運用し、各事業部門がダイナミックに交わるマトリックス運営を行うことで、柔軟な資本配分を実現しています。
ソニー: ソニーは2000年代初頭にEVAを採用しましたが、その後の業績悪化により一時的にEVAの使用を中止しました。しかし、近年では再びEVAの導入が検討されており、資本コストを意識した経営戦略の一環として活用されています。ソニーはEVAによって長期的な投資判断や業績評価に役立てることを目指しています。
旭硝子: 旭硝子も1999年からEVAを利用しており、業績評価制度に組み込んでいます。役職者の報酬にEVAを反映させることで、経営戦略と業績目標の整合性を図っています。また、旭硝子ではEVAが戦略的意思決定や業績目標設定において重要な役割を果たしています。
これらの企業はそれぞれ異なる方法でEVAを活用し、資本効率や企業価値向上に寄与しています。特に花王やソニーは、その経営戦略においてEVAの重要性を強調しており、今後もその活用が期待されています。
5、EVAの導入コストは?
EVA(経済的付加価値)の導入コストについては、具体的な数値や詳細な情報は検索結果からは明確には示されていませんが、一般的に考慮すべき要素はいくつかあります。
システム導入コスト: EVAを計算するためには、専用のシステムやソフトウェアが必要になる場合があります。これには初期投資や運用コストが含まれます。
教育・研修コスト: EVAを効果的に活用するためには、従業員への教育や研修が必要です。特に、EVAの計算方法やその意義を理解させるためのプログラムが求められます。
プロセス変更によるコスト: EVAを導入することで、既存の業務プロセスや評価基準を見直す必要が生じることがあります。この変更には時間とリソースがかかり、その分のコストも考慮しなければなりません。
外部コンサルタント費用: 導入時に専門家の助言を受けるために外部コンサルタントを雇う場合、その費用も発生します。特に初期段階では、適切な指標設定や運用方法についてのアドバイスが重要です。
これらの要素は企業によって異なるため、EVA導入にかかる総コストは一概には言えませんが、上記のような多様な要因が影響します。また、EVAを導入した企業では、長期的には資本効率の向上や企業価値の増大につながる可能性があるため、初期投資は将来的な利益につながると考えられています。
6、EVA導入後の企業価値への影響
EVA(経済的付加価値)の導入は、企業価値に多くの影響を与えることが示されています。以下に、EVAが企業価値に与える具体的な影響をいくつか挙げます。
資本効率の向上: EVAは資本コストを考慮するため、企業は資本をより効率的に使用することが求められます。これにより、無駄な投資を避け、資本の最適配分が促進されます。例えば、花王はEVAを導入することで、各事業部門の資本効率を高めることに成功しています。
長期的な企業価値の創造: EVAは短期的な利益だけでなく、長期的な視点での企業価値創造を促進します。これにより、持続可能な成長戦略を考える際の指針となります。特に、旭硝子ではEVAが業績評価制度に組み込まれ、長期的な投資判断にも寄与しています。
透明性と信頼性の向上: EVAを用いることで、企業は資本コストや投下資本の使用状況について透明性を持たせることができ、株主や投資家との信頼関係を築く助けになります。この透明性は、株主価値の向上にも寄与します。
経営戦略の見直し: EVAがマイナスの場合、企業はその原因を分析し、必要な改善策を講じることで経営戦略を見直すきっかけとなります。これにより、非効率な事業からの撤退やリソースの再配分が促進されます。
市場評価への影響: EVAは市場付加価値(MVA)との関連性も強く、市場からの評価にも影響します。EVAがプラスであれば、市場からも高く評価される傾向があります。逆にEVAがマイナスの場合、市場からの評価が低下する可能性があります。
これらの要素から、EVAは単なる財務指標ではなく、企業全体の経営戦略やパフォーマンス評価において重要な役割を果たすことがわかります。特に日本企業では、EVA導入後に資本効率や企業価値向上につながる具体的な成果が見られるケースが増えているそうです。
とはいえ、普及が進まないのは、コスト面や指標としての評価が定着していないからではないか、と思います。ROE、ROAについては、評価が固まっているのに対して、EVAで評価しにくいからかもしれません。株価が動く前にEVAでの企業判断から株価が上下する、といったことが発生する等あれば、さらに注目されるのかもしれません。
野球でも、選手の年俸への評価指標は、打者なら打率、投手なら勝利数だったわけですが、現在ではWARやバレル率、投球の回転数など変わりつつあります。
経営の評価は利益だけではありません。様々な経営指標をみる力をつけることはマイナスにはなりません。1つ1つ学んでいきましょう。
今日のテーマ:
#EVA_as_a_Productivity_Measure
#EVAによる生産性の測定
今日の金言:
#資本コストを超える利益を生み出さないかぎり富を創出したことにはならない
今日のACTION POINT:
#あらゆる製品 、
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#作業について 、
#付加した経済的価値を算出してください 。
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