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2月17日 Social Purpose for Society 自由で機能する社会

今日の #ドラッカー365の金言 元テキストは、ドラッカーの2作目、原書は、1942年に発行された。1965年未来社より翻訳発行された『 #産業人の未来 』によれば、第9章 #保守的アプローチ 227〜229ページより。



以下は今日のテキストの日本語訳です:

社会に対する社会的目的
産業社会における基本的な社会的目的を持たないことが、我々の問題の核心をなしています。


我々はすでに、経済的進歩が常に最も高い目標であるという信念を放棄しました。そして、経済的成果を最高の価値としてではなく、多くの目標の一つと見なすようになったとき、我々は実質的に経済活動を社会生活の基盤として放棄したのです。この経済を社会的建設的な領域として見ることからの放棄はさらに進んでいます。西洋社会は、人間の本質が経済的人間(Economic Man)であり、その動機が経済的なものであり、その充足が経済的成功と経済的報酬にあるという信念を放棄しました。

我々は、新しい人間の本質と社会の目的と充足の概念に基づいて、自由で機能する社会を発展させる必要があります。社会生活の基本的な倫理概念を発展させる必要があります。それは哲学的または形而上学的領域にあります。

アクションポイント: 次四半期の財務結果の最大化や株主価値の最大化を超えた組織の目的を定義してください。従業員が信じることができ、彼らが最善の仕事を貢献するように挑戦する目的を定義してください。

もっとシンプルにいうと、

産業社会には基本的に必要な社会的な目的が欠けている。
経済成長至上主義から脱却し、経済を社会の基盤としない新しい価値観に基づく社会を築こう。
行動ポイント:
財務結果や株主価値以上の目的を設定し、従業員が信じる目標を作ろう。

という1942年のドラッカーの価値観です。

彼の『産業人の未来』のなかで、経済的成功と経済的報酬の獲得を生きる目的とした「経済人」は死んだ、と言いますが、戦後西欧に限らず世界中で富への追求、経済的成功と経済的報酬獲得への目的を主とする者は後を立ちません。

現在でも、西欧に限らず世界中で富への追求、経済的成功と経済的報酬獲得への目的を主とする者は後を立ちませんが、ドラッカーのいう新しい価値観など夢物語に思います。ちょっと浮世離れしているようにも思います。

例えば、ドラッカーが示唆する「新しい価値観」の詳細は以下のようなものです:

  • 人間中心主義: 人間が経済的動機だけで動く存在ではなく、多様な価値や目的を持っているという認識。社会が個々の人間を尊重し、その創造性や多様性を引き出すことを目指す。

  • 社会的責任: 企業や組織が単に利益を追求するだけでなく、社会全体に対する責任を持つべきという考え。コミュニティや環境に対する貢献を重視。

  • 目的と意義: 経済的利益以外に、組織や個人が社会的・文化的・環境的な目標を持つこと。仕事や生活に深い意義を見出すこと。

  • 持続可能性: 経済活動が将来の世代にも持続可能であるように考慮する。短期的な利益より長期的な社会の健康と福祉を優先。

  • 共同体感: 個々の成功だけでなく、集団としての成功や連帯感を強調。チームワークや社会的結束を大切にする。

  • 倫理と道徳: 経済活動に倫理的な基準を適用し、公正さや正義、他者への敬意を重んじる価値観。

これらの新しい価値観は、経済以外の人間活動や社会の目標を重視し、人間性や社会的結束を中心に据えることを提唱しています。このような考え方は、組織の目的や戦略を形成する際のガイドラインとなるべき、とドラッカーは記しています。

もちろん、現代でも、経済的困難に感じている人も少なくありません。ドラッカーが提唱する「新しい価値観」について、それが現実離れしていると感じる人もいるかもしれません。特に、世界中で依然として経済的成功や富への追求が主流であることは疑いがありません。しかし、以下の点から見ると、この「新しい価値観」も決して夢物語ではなく、現実に根ざした視点を持っていると言えます。

  1. 持続可能性の必要性: 環境問題や資源の有限性を考えると、経済成長だけを追求することは長期的に持続可能ではありません。多くの企業や政府がSDGs(持続可能な開発目標)を採用し、経済活動における環境や社会の視点を重視する動きが見られます。

  2. 企業の社会的責任(CSR): 企業が利益を追求するだけでなく、社会問題解決への貢献や責任を果たすことが求められるようになっています。この潮流は、顧客や労働市場からの圧力によっても促進されています。

  3. ミレニアル世代やZ世代の価値観: 若い世代は、仕事や生活の中で意義を見出すことを重視し、企業の倫理観や社会的影響を評価する傾向が強い。これにより、企業は従業員を引きつけるために、経済的成功だけでなく、社会的な価値創出や倫理的な運営をアピールする必要があります。

  4. ステークホルダー資本主義の台頭: 株主利益だけでなく、従業員、顧客、コミュニティ、環境など様々なステークホルダーの利益を考慮するビジネスモデルが増えています。例えば、Bコーポレーション認証を取得する企業が増えています。

  5. 技術と情報の透明性: インターネットとソーシャルメディアの普及により、企業の行動は即座に広範囲に公開され、評価されます。これにより、企業は自らの社会的・環境的影響をより意識するようになります。

これらは、ドラッカーが提唱する価値観が現実的なものであり、既に世界中で部分的にでも実践されていることを示しています。しかし、完全に経済的成功至上主義を超えることはまだ道半ばであり、新しい価値観の普及は時間と教育、そして文化的な変化を伴うプロセスです。ドラッカーのアイデアは、理想と現実のギャップを埋めるための指針として、未来への希望や目標を提示していると言えるでしょう。


では、このドラッカーの「社会的目的」に関する提言に基づき、現代の組織リーダーが行うべきことはなんでしょうか?以下の通りです:

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