長期的なビジョンを持つ大切さ
今日は長期的なビジョンを持ち続けることで最終的に市場をコントロールできる立場にと優位に立った中国の長期ビジョンと戦略から、我々は多くのことを学ぶことができます。
この国際的なコンテナ不足状況を解説しているツイッター「ちゃん社長」さん。
世界的なコンテナ不足が問題になっていますが、今日はこの事態にコンテナ製造会社、中国政府、更にそこにコンテナリース会社がどの様に絡んできたかについて書きたいと思います。できる限り分かり易く書きたいと思いますので、長文をご容赦頂ければ幸いです(1/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
今回のコンテナ不足に直面して、多くの荷主は「そんなにコンテナが不足しているのなら、新しくコンテナを造れば良いではないか」と考えたかもしれません。しかしそう簡単にはいかない事情を海運業界は抱えています。それを最初にご説明したいと思います(2/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
まず第一に、コンテナの新規製造の世界シェアの内、90%以上を中国が握っています。そしてその内の最大手の中国国際海運集装箱有限公司(CIMC)の一社で、ドライコンテナの世界シェアの何と約60%を握っています。たった一社で、世界のコンテナ製造の半分以上がハンドリングされているのです(3/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
そしてCIMC社はただの民間企業ではありません。大株主である中国遠洋海運集団有限公司、実質的に経営をハンドリングしている招商局集団有限公司、そしてメインバンクである中国工商銀行、これら全てが中国の国営企業です(4/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
つまりCIMC社は上場しているとはいえ、中国政府がかなりの程度経営に関与しており、ただの民間企業ではないのです。そして今回のコンテナ不足に際しても、CIMC社は大きな利益を得ています。その利益の源泉が新規コンテナの価格設定です(5/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
約1年前、新規コンテナの販売価格はUSD1,600/個で推移していましたが、現在はUSD2,500にまで跳ね上がっています。実に50%以上の値上がりです。勿論コロナ禍による人件費の高騰や原料費の高騰も原因ですが、この機会に価格を釣り上げていると指摘している業界関係者も少なくありません(6/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
確かに中国のコンテナ製造会社はこのコロナ禍で大きな利益を確保しています。しかし彼らやその背後にある中国政府が悪いのかというと、必ずしもそうは言えない事情があります。次にその点を説明します(7/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
今でこそコンテナ製造はドル箱になっていますが、今から20年ほど前までは、それは非常に儲けの少ない商売でした。実は20年ほど前までは、日本を含めて世界各国でコンテナが作られていました。しかし多くの国がコンテナ製造のビジネスから自ら退いてしまいました(8/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
その最大の理由は、コンテナ製造自体が何の技術革新も無く、製造コストでしか勝負する要素が無かった事です。単なる大量生産による価格競争に巻き込まれるのを嫌って、多くの国が自らの手で製造するのを辞めたのです。そしてそこでシェアを伸ばしてきたのが中国のコンテナ製造会社でした(9/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
彼らは中国の高度経済成長を背景に、進んでコンテナ製造を引き受けました。そしてそれを後押ししたのが中国政府でした。その結果、他の国のコンテナ製造のシェアはどんどん下がり、中国のコンテナ製造のシェアはどんどん上がっていったのです(10/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
そして現在の様に世界の90%以上シェアを中国が持つに至ったのです。ここまで来ると、もう製造量が違い過ぎて、コストでは戦えません。例えば現在のコンテナの価格は高騰してUSD2,500/個と書きましたが、日本で作ったら更に倍近くの価格になってしまうかもしれません(11/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
そしてこのコンテナ製造を長年にわたりバックアップしてきたのが、大手コンテナリース会社です。コンテナは製造しても不景気になれば売れ残りが生じ、それが不良在庫化する恐れがあります。この点でリース会社は定期的に一定量を製造会社から買い上げて、彼らのビジネスをサポートしてきました(12/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
例えばコンテナリース最大手のTriton international社は、現段階で2021年中に3億5,000万USDの新規コンテナの注文を入れる事を表明しています。こうなるとコンテナ製造会社は、リース会社が大量かつ安定的に受注してくれる為、新規参入会社に販売する必要も無くなり、その余地も無くなります(13/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
つまり現時点だけを見るならば、中国のコンテナ製造会社は90%の市場シェアを持っており、それを中国政府が後押ししており、リース会社は暴利を得ています。しかしここに至るまでには、彼らは他国が手放したリスクを20年以上にわたって取ってきており、その結果、現在の状況があるのです(14/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
コンテナ製造会社やそれを支援してきた中国政府、更にはリース会社からすれば、「我々は20年前からリスクを取って来たんだ。都合の悪い時だけ文句を言わないでくれ」と言うかもしれません。確かにこの20年間、グローバル経済が発展してきた中で、彼らの果たした役割は非常にに大きかったのです(15/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
それで結論ですが、今回のコンテナ不足はただの輸出入の不均衡という問題だけでなく、ここに至るまでの複雑な国際情勢やグローバル経済が関係しているのです。そしてこれは今に始まった事ではなく、この20年間をかけて醸成されてきた問題が、コロナを機に表面化したのです(16/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
一方でこの状況が健全であるはずがありません。多くの人が是正すべきであると考えています。ただここに来るまで20年かかった様に、これを是正するにも20年かかるかもしれません。その位根深い問題と思って、腰を据えて対応する必要があるでしょう。長文お付き合い頂きありがとうございました(17/17)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) January 19, 2021
この状況は、中国の長期ビジョン「一帯一路」と関わりがあると思われます。一帯一路とは、2049年までに人民元の国際準備通貨化による中国を中心とした世界経済圏の確立を目指すものです。
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