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厳しいレセプション

 夕方外出先からビジネスホテルに戻り、レセプションで部屋の鍵を受け取ろうとしたらボールペンで手の甲に書いておいた部屋番号がいつの間にか消えてしてしまっていた。
 受付で名前とその旨を伝えるとスタッフから
「駄目じゃないですか。ちゃんと覚えていないと。」
と厳しく叱られる。
 油性ボールペンで書くくらいだから「部屋番号を忘れた位で」とは思ってはいないのだが頭ごなしに言われると、どうも嫌な気持ちになるものだ。

 そういえば以前家族で行楽地に遊びに行った帰り大渋滞に巻き込まれ、今夜はどこかに宿泊しようということになった。しかし、というか案の定ネット予約は全部埋まっていて、仕方無しに通りがかりの宿を探しまくったら何件目かで運良く民宿が見つかった。
 「風呂付きと風呂なしの部屋はどちらがいいか」
と聞かれ、その日は部屋の外に出るのも面倒なので風呂ありを選んだ。
 一安心しているとご主人から
「部屋のユニットバスは狭いから良かったら共同の風呂に入った方がいいのでは。」
と提案された。せっかくだからと重い腰を上げて浴場に向かうも生憎先客が使っており鍵がかかっていた。何度か確認に行くが風呂は中々開かず、そうこうしているうちに私達家族は女将さんから「さっさと風呂に入らないで!」と、なぜか大目玉をくらうこととなった。ご主人はおろおろしていた。
 結局その日は(本来の希望通りに)部屋のユニットバスで入浴を済ませたのだが、あれはいったい何だったのか。

 話を戻そう。
 今回のホテルではその後大浴場も朝食も諦めて、なるべくレセプションを通らないように過ごした。
 結論としては、「こんなに宿泊を後悔させるホテルも珍しい」とでも言うべきか。(前述の民宿はご主人が間に入っていたため今回よりも幾分マイルド。)
 宿の滞在の善し悪しというものは結局、限りないスタッフの方々の努力…穏やかな接客に負うところが大きいのだなぁとしみじみと思った。



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