「したたかさ」と「分際」
『熊を殺すと雨が降る』遠藤ケイ
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自然保護とは一般には、昆虫や草花や大小さまざまな動物が人間の影響を受けずに生活している環境を守ることと理解される。そこで里山という空間が自然保護の理想として語られることは少なくない。しかし、その意味での“自然保護”なら、本来注目すべきは里山ではなく、流域である。川の流域から広がる自然環境こそ、人間の直接的な影響を受けない、手つかずに近い環境が残っている。また川は山(内陸)と海をつなぐ重要な存在であり、だからこそ、『森は海の恋人』で畠山氏は