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浅煎りコーヒーを美味しく飲むには 〜保温の落とし穴〜
世間的には緊急事態宣言も解除されて、徐々に出社を認める企業も増えてきているようですが、弊社は引き続きリモートワークの予定です。
そんな在宅仕事中にも美味しいコーヒーを飲むべく、淹れ方や豆のお取り寄せを色々試しているのですが、最近、カップやマグの利点を再認識しました。
冬の間、深煎り豆をハンドミルで挽き、フレンチプレスで淹れて、保温水筒から飲んで満足していたのですが、豆をやや浅煎り〜中煎りのものに変えたら問題発生。
なぜか酸味が出て美味しくない…
入れた直後は浅煎りらしい爽やかな酸味と甘味が感じられるのに、あっという間にエグ味のある酸味に変わってしまう事態に。
⭕️ 深煎り豆 × ハンドミル × フレンチプレス × 保温水筒
❌ 浅煎り豆 × ハンドミル × フレンチプレス × 保温水筒
淹れ方をフレンチプレスからペーパーフィルターに代えて、抽出温度も色々試してみたのですが、結論としては保温水筒から飲んでいたのがダメだったようです。同じ入れ方でカップに注いでみたところ、ちゃんと甘味、酸味、コクのあるコーヒーになりました。
カップの利点って、香りがダイレクトに楽しめることくらいだと思ってた…!
なぜ浅煎りコーヒーを保温してはいけないのか?
魔法瓶で保温した浅煎りコーヒーが酸っぱくなり美味しくなくなる理由を、ちょっと意地になって調べてみました。(参考図書:コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか)
わかったことを少しまとめます。
1)コーヒーの苦味主成分は、浅煎りと深煎りで異なる。
- 浅煎りコーヒー →クロロゲン酸ラクトン
- 深煎りコーヒー →ビニルカテコールオリゴマー
2)浅煎りコーヒーの苦味成分「クロロゲン酸ラクトン」は、加水分解が進むと「クロロゲン酸」になり酸味に変わってしまう
→ 保温して時間をおいたコーヒーが酸っぱくなって美味しくなかったのは、このせい。
3)クロロゲン酸ラクトンは焙煎を進めると分解されるので、深煎りコーヒーにはあまり含まれない
→ 深煎りコーヒーが時間を置いても味が変化しづらいのはこのため。
高温のまま水筒で保温したことによって、加水分解の進みが早かったのかもしれません。
カップに注いだ後、自然に冷めていく分には分解の進み方が緩やかになるのか、酸味が強くなりすぎることもなく。
私はどちらかというと浅煎り〜中煎りコーヒーが好きなのですが、こうして考えると挽き立て、かつ淹れたてでないと味が落ちてしまう性質が強いので、お店で見かけないのも道理だと納得しました…。
スタバやタリーズでも、少し空いた時間にいくと大体「本日のコーヒー」がフレンチローストや炭火焼焙煎など、ロースト強めの豆になっていたりするのですが、それはこういう理由もあったのかもしれません。
結論:浅煎りコーヒーは淹れたてを飲むに限る
とはいえ、2〜3杯分をまとめて淹れて少しずつ飲みたい時もある訳で。そういう時は保温を諦めた方が良いようです。
そんなわけで、スタバの500mlサイズの巨大マグを引っ張り出してきてコーヒーを飲んでいます。
<参考>
コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)
全日本コーヒー協会「コーヒー中のクロロゲン酸類とポリフェノールについて」
http://coffee.ajca.or.jp/news/5cqa
百珈苑「コーヒー:「味」の化学」
https://sites.google.com/site/coffeetambe/coffeescience/physiology/coffeetaste