土俵をさがす6月の旅(前編)
もうすぐ6月が終わるので、6月にちょこっと旅した記録を書き留めておく。
旅の目的で、いちばん大きかったのは、ひとつ、現地で見たいと思っていたアートコンペを見るということであった。ちょうど(というのには語弊はあるが)、偶数月にさしかかっていたのもありがたかった。どうしても、お相撲を見るとなると、それがメイン(しかも、最近、朝から夕方まで、しっかり詰めて見られるようになったから)でそれ以外のことはほとんど触れずになってしまうからである。行きたいところはいろいろあったが、主たる目的以外は、ほぼ、行き当たりばったりであった。
6月10日金曜日、初めての在廊
金曜日は、このタイミングで出展した、ギャラリー国立のグループ展「国立動物園2022」へ赴いた。出展したギャラリーに在廊する、というのはこれが初めてだった。
飛行機を降りると、ひとまず、先に宿(これが、国立から見ると、実にあさっての方向だった。地上の地理に明るくなかったので、かなりよく迷って、よく歩いた)に荷物を置き、それからゆるやかに目的地へ向かった。中央特快には久しぶりに乗った。新宿駅はいつも何らかの工事をしている印象があるが、いつ完成するのだろうか、と、今回も思った。新宿で、行ってみたいと思っていた世界堂本店と、Rabbit DEPARTMENT(うさぎさんグッズがいろいろあるお店)の入っている新宿マルイアネックスが隣同士でびっくりしたので両方覗いたり、お昼は国立のおしゃれなカフェでいただいたりした。
1月に描いたSSM(正方形)の作品「西方力士の足がでておらず」を展示していただいた。このギャラリーには、4月のチャリティー展で「だいすきなので」という作品を展示していただいた(右の方の復帰戦を前に、かわよく我が家蔵。お問い合わせがありましたらお知らせください)のだが、そのときは在廊がかなわず、4月のお礼とこちらで展示される作品を拝見したいという思いとがあって、今回はテーマを拡大解釈気味に出展した。
金曜日ということもあり、かなりおとなしい時間が流れたが、作品を食い入るように見ることは出来た。いろいろな作風の作品を堪能した。「前回作から突然動物になったのでびっくりした」というおことばと、ちょっと泣けるようなサプライズがあった。当日は全然思ったように動けなかったし語れなかったが、ほんとうに貴重な経験が出来たので、またこのあとに生かせたらいいなと思っている。自分も繊細なタッチというものを根気よく重ねられるようになりたいような、それは遠い世界のような、などと。
「国立動物園」は翌日11日が最終日だった。来年も開園するという。
帰り道にギリギリ寄れそうな展示があったのだけど、乗った中央線が遅れた(くぅ遅れた特急の待ち合わせだったみたいだ)のでかなわず、宿に戻ってチェックインして近くのサイゼリヤでひとり豪遊した。ちなみに寄りたかったのは西荻窪のアトリエすゞ途さんでおこなわれていた(おしえていただいた)「でげいこ西荻部屋」だったんだが、西荻を通り過ぎたときにはもう終わる時間だった…くぅ…
6月11日・あさ
おねだんから想像していた数倍豪華で素敵なおへやに泊まった。本日の主たる目的地である東京のギャラリー龍屋さんへは、近くのバス停からコミュニティバス一本で行ける。
その宿に泊まったのは、歩いて行ける場所に、もともと窓の外から稽古が見られるところ、更にその窓が広くなった相撲部屋があるからだった。ラジオ体操もおこなわれているおおきな公園の先、宿から歩いて5-6分のところにある荒汐部屋に赴くのは、だいたい15年ぶりである(前を通っただけならもうちょっと前だけど、おすもうさんはお留守だったなあ)。
少し前に出稽古が解禁になっていた。前に稽古を拝見したときには、部屋頭だったけど関取ではなかった現在の師匠が、部屋の外でどなたかと話していた。部屋の玄関先にはその師匠の断髪式のポスターが貼られていた。朝っぱらの散歩(荷物は宿に置いたまま)から、一度宿に戻って、すぐ荷物を出せる状態にまとめて部屋に戻ったら、背番号23の鶴竜親方がいらした。おすもうさんの大きさというのは、実際に近くで拝見してその質量を実感するものでもある。慌ただしくひとの往来があり、霧馬山関が出稽古に来ていて(ほんとうは他にもいらっしゃる予定だったがとりやめになったとか全部大きな声で朗らかに語っていた部屋のじなんぼうさんがいたのはさておく)。まだ暑さが本格化する前の東京ではあったが部屋の中は熱気で溢れていた。この日感じたものが、どこかで活きれば良いと思っている。
ここでもうれしいことがあった。10時頃に稽古が終わり、宿に戻り荷物をごろごろ動かしながら、主たる目的地へ足を運んだ。
(書き切ろうと思ったが、無駄に長くなってしまったので一旦区切る)