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クリスマス・ストーリー〜食べる・飾る・奏でる・集う

 締め切り間近のプレゼン資料を作成していたら玄関が開き大きな声で名前を呼ばれた。インターフォンではなく、いきなり玄関を開ける来客は珍しい。
本日11月28日はまさにアドベント。ドイツのシュトレンは今日からクリスマスまでに少しずついただくお菓子。手作りのそれが届けられた。

シュトレンという名前はドイツ語で「坑道」を意味しトンネル型の形状から名称された。酵母の入った生地にレーズンとレモンピール、オレンジピールやナッツが練りこまれており、焼き上げたケーキの上には真っ白くなるまで粉砂糖がまぶされている。その形が幼子イエスを産着で包んでいるように見えると言われている。

ドイツでは、クリスマスを待つ4週間のアドヴェント(待降節)の期間に少しずつスライスして食べる習慣がある。フルーツの風味が時間の経過とともにパンへ移る。フランス東部のアルザス地方でも食べられ、地方の代表的な菓子とされている。

 シュトレンを手に現れたのは、犬の散歩仲間。正確に言うと彼女は夏に愛犬を亡くされている。それまで毎朝、決まった場所でわれわれ夫婦とトイプードル、そのご夫婦とゴールデンレトリバーとで会っていた。暑い日も寒い日も…。そのゴールデンレトリバーは私たちを見ると道路に横たわりナデナデを要求。大きな身体は私の足を踏んでいた。その重さが懐かしい。老犬ではあったが突然虹の橋を渡ってしまったのだから。ご夫婦は大変気を落とされていた。声もかけられないぐらいに。
そんなわけで昨年同様、シュトレンを持っ来てくださったことが何よりのプレゼントだった。犬を通じて広がった輪がクリスマスシーズンの到来を告げた。

私にとってのクリスマスの最初の思い出は小学校に上がる前の教会。幼稚園の年中の終わりに引越して親の一存で、あと1年だから家で過ごす(幼稚園に行かない)ことを選択。今ならそういうホームスクールを選ぶ家庭が少なくないのかもしれないけれど私は集団生活がしたいタイプで日曜日に兄と2人で行っていた教会(クリスチャン家庭ではない)が楽しくて兄が行かなくても私だけでしっかりと時にバスに乗り、通っていた。
クリスマスの演奏のためにリコーダーを教えてもらった。「ファースト・ノエル」学校に入る前にリコーダーが吹けるようになった。幼稚園に行っていなかったし嬉しかった。また劇で天使の役をもらった。

「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」 ルカ による福音書 第2章14節

  暗い夜。羊飼いたちは町の明かりを遠くに眺めながら、羊の番をします。羊飼いたちは人々から差別を受け、辛い思いをしていました。なぜかと言うと、羊の世話のため、イスラエルの律法で定められている、決まった時に神殿に行く、ということが出来なかったからです。それで人々から、羊飼いたちは信仰的に劣った人だ、と見られていたのです。羊飼いたちはどんな気持ちで町の明かりを見ていたでしょう。
 差別され、誰にも受け入れてもらえない。寂しさに押し潰されそうでした。
しかしその時、暗い夜を引き裂くようにして、光の天使の大軍が現れて言いました。「いと高きところ では、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。天使は、誰よりも 早く、寂しさの中にある羊飼いたちに、イエス様のお生まれのクリスマスの喜びを告げてくれたのです。 それは神様が、寂しい思いの人にこそ最初に、救いの喜びを教えてくれるということです。この喜びを知 った羊飼いたちは、もう遠くに光を眺めているだけではない。「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知ら せ下さったその出来事を見てこようではないか」(2・15)と言って、新しい一歩を踏み出せるのです。 その歩みの先に、救い主イエス様がいます。
  この羊飼いのクリスマスの物語は、あなたのクリスマスの物語でもあるのです。

私が初めて聞いた異国というのは、このベツレヘムだったような気がする。讃美歌とか聖書は理解出来なくても覚えたものだ。また、牧師さんの言葉もジーッと聞くような子どもだった。
今でも覚えているのは、「が」に二種類の発音があるということ。一般的な「が」と鼻濁音の「が」そして、その使い分けを練習…。
まだ就学前の子どもだったけれど日本語には美しく響きというのがあるらしいことを知る。そんなことも含めて穏やかで平和な時間だった。

暗唱した中でもよく覚えているのは、

狭き門より入れ,滅びに至る門は大きく,その路は広く,これより入る者多し。生命(いのち)に至る門は狭く,その路は細く,これを見出すもの少なし。〜新約聖書 マタイ伝 第7章より -

『シン・ニホン』安宅和人さんの座右の銘だそう。安宅さんは同世代。何度も何度も勇気をもらっている存在。それだけにずしりと響く。
人が群がって流れていくような方向へ行くな。自分の目で見て肌で感じた判断を信じよ。質的な違いこそが価値になる。2つ、3つの異なる軸で熱狂的に取り組む…。

 私の子ども時代のクリスマスは教会とセットで蘇る。それを彷彿とさせたのは大学時代。キリスト教プロテスタント・メソジストのミッションスクールだった。礼拝レポートが課題になることも。
アドベントの前の金曜日はクリスマスツリーの点火祭が行われた。時はバブル。街では山下達郎のクリスマスイブが流れる。

そんな時代。それなりに時代を謳歌した。クリスマスジャズライブに着飾って出かけたりスキー場で過ごしたり。そんな一方、クリスマス礼拝やその時期のキリスト教概論の講義に幼き日の記憶が蘇る。

通称キリ概の先生がLittle Drummer Boyを紹介してくださった。 その頃、大好きだったクリスマスソング。私にとって初めての聴いた異国の物語〜ベツレヘムでのキリスト降誕と東方の三博士による来訪がベースとなっている。今でも、それを聴くとキュンとする。

時は流れ子どもを授かり、母となってクリスマスを過ごすことになる。子どもが出来たら身長ぐらい大きなツリーに飾り付けをしたいと思っていた。150センチのもみの木風ツリーを選んだ。飾りは少しずつ揃えた。楽器と汽車をテーマにした。ある時、百貨店の催事所でチェコ製の手作りガラスボールトーナメントに釘付けになった。ブロンズ色ペースでバイオリンが描かれている。ちょっと高いので迷ったけれど子どもに受け継ぎたいぐらいの気持ちで思い切って購入。数年後に一緒にツリーを飾ろうとした時に息子が落として壊れてしまった。
私がよほど大きな声を出してショックを受けたものだから、彼は何年も何年も落として壊したことを覚えていたようだった。私は粉々のオーナメントを紙に包んで保管するぐらい思い入れていた。
さすがに数年後に形あるものは壊れると踏ん切りがついて処分したけれど。音楽と汽車というテーマは、音楽の持つ楽しさ豊かさと汽車(銀河鉄道999)が宇宙に続く未来をイメージ。息子が好きだったトーマにもかけていた。
クリスマスツリーの前に用意しておいたプレゼントを朝起きて息子が開ける姿を見るのは、神様から与えられたギフト。ようやく授かった子どもだったし平和だからこそ叶うひと時だったと思う。

そんな思い出のツリーだったが保管に場所を取るという超現実的な理由により引越しを機に処分を決めた。新居で選ばれたのはフィンランドの白樺のもの。サステナブルかつシーズンを越えて彩りを添えてくれる。出したり片付けたり収納したりが要らない…オーナメントだけを変えれば違和感なし。さらに麦わらのヒンメリが最近のお気に入り。数学的要素があって美しくて北欧風な演出ができる。わらの長さを揃えて切る、そしてわらに糸を通し直線を立体に仕上げる。力加減を慎重に。マインドフルネスなひととき。ヒンメリは太陽とのつながりを感じられる光のモビール。太陽と豊穣のシンボルである麦藁を使ってつくる幸運のモビールとして、冬の時期以外にも日頃から食卓やゆりかごの上などに吊るし、幸福を願うために北欧さてフィンランドでは飾られるという。

犬仲間にいただいたシュトレンは、ヒンメリと白樺のツリーと共にクリスマスシーズン到来のワクワク感そして平和な気持ちをもたらせてくれた。
とびきり美味しいこだわりのコーヒーと共に。
豊かな自然の味わい。極上のおうち時間。
街に繰り出すのもステキだけど、あたたかい家でゆったりと家族と過ごすのも悪くない。

こんなストーリーを綴ったnote公開の12月6日は私の誕生日。これまで私のストーリーに関わってきてくださったみなさんに感謝。もちろん家族にも。そして、こんな機会を与えてくれたHUC(母親アップデートコミュニティ)、そしてアドベントカレンダーに誘ってくれたこつばんママ、ありがとう!!

『母親アップデートコミュニティ公式のアドベントカレンダー「クリスマス ストーリー」(https://note.com/huc/n/n1f310d3ac306)の記事です』

玲子さんからバトンをいただきました。サンタさんからの手紙は英語。わかります!
明日はニューヨークのよこねぇです。ニューヨーク発のクリスマスストーリー、楽しみ❣️

そして、世界中の子どもたちがどうか平穏でありますように…

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