地上の現象が衛星画像からどう見えるのか?
衛星画像からはどんな画像が見れるのだろうか?
近年、人工衛星のデータは一部が一般に公開され始めており、私たちでも自由に衛星画像を扱えるようになっている。
今回は無料で入手できるSentinel-2衛星が捉えた衛星画像を使って、地上が劇的に変化していく様子を紹介していく。
1. スペイン領ラ・パルマ島の溶岩流出
まずは、スペイン領ラ・パルマ島の衛星画像を紹介する。
先日の記事でもご紹介したが、ラ・パルマ島では2021年9月に50年ぶりに噴火した。
そんなラ・パルマ島の噴火、衛星画像から溶岩が流出する様子が確認できる。図1に溶岩が流出する様子を捉えた衛星画像を示す。
図1で赤く光る箇所が高温で流動する溶岩だ。2021年9月25日から2021年11月29日の期間にかけて溶岩が流動する様子を見ることができる。
2.トンガ火山噴火の火山灰
次に、2022年1月に発生したトンガ沖にある海底火山の噴火で捉えられた地上の変化を見ていこう。
この噴火では噴煙柱を伴う爆発的な噴火が発生し、トンガ周辺の島との連絡が途絶える事態となった。
トンガの首都ヌクアロファが位置するトンガタプ島も同様に連絡が途絶え、オーストラリアやニュージーランドが中心に支援活動を行っている。
噴火の影響と受けたトンガタプ島。その影響は衛星画像からも確認することができる。図2に噴火前後のトンガタプ島の様子を示す。
図2は噴火前(2021年12月28日)と噴火後(2022年1月17日)の衛星画像を並べている。この2つの画像を比較すると、島の色合いが変化していることに気がつかないだろうか?
噴火前の衛星画像(図2左)では木々による緑色が鮮明に写っている。一方で、噴火後の衛星画像(図2右)では緑色の範囲が縮小し、代わりに茶色が目立つ。
これは火山灰の影響だ。今回の噴火に伴って大量の火山灰が放出され、トンガタプ島で大量の火山灰が降り積もっていると解釈できる。
火山灰がは、電気や水道などのインフラや人体へ深刻な影響を与える場合がある。しばらく、トンガでは不自由な生活が強いられているだろう。
3. 東京における降雪
人工衛星画像では火山などの自然災害のみならず、普段の気候の変化も検出可能することができる。
例として、2022年1月6日に東京で降った雪の様子を見てみよう。
図3は東京の皇居周辺の人工衛星画像だ。雪が降る前後で雲の影響がない衛星画像を使ってタイムラプスを作成した。
図3のタイムラプスを見ると、2022年1月7日の衛星画像で東京全体が白くなっている様子が確認できる。これは2022年1月6日から7日にかけて東京を含む関東の広い範囲で降雪があったためだ。
この降雪は東京でも数cmの積雪をもたらし、公共交通機関にも影響が出た。
東京の街が雪で白く変わる様子は人工衛星からもはっきりと確認できる。
4. オランダのチューリップ畑
最後に、植物が人工衛星からどのように見えるのかについて紹介する。
ここではオランダのチューリップ畑でチューリップが咲く様子を衛星画像から確認する。
オランダで有名なチューリップ畑。その中でも観光地として有名なのがキューケンホフ公園だ。
このキューケンホフ公園を衛星画像から捉えた様子を図4に示す。取得期間はチューリップの開花がピークになる、4月前後の衛星画像とした。
画像中央部にある緑の領域がキューケンホフ公園だ。キューケンホフ公園は背の高い木々の影響で変化があまり見られない。
一方で、キューケンホフ公園周辺の畑の色が鮮やかになる様子は鮮明に確認することができる。2020年4月20日の画像では、他の期間の画像に比べて最も畑が鮮やかに色づいている。これは、この期間にチューリップの開花がピークとなったことが理解できる。
今回使用したSentinel-2衛星の解像度は10m×10mだ。チューリップ畑が色づく様子は衛星画像からも確認できる一方で、チューリップの詳細な分布を見るにはまだまだ解像度が足りないことがこの画像から理解できる。
チューリップを例にすると、現状の衛星画像の課題が見えてきて面白い。
以上、衛星画像が実際はどんなふうに見えているのか、4つの場所から探ってきた。衛星画像の用途はまだまだたくさんあるので、これからどんどん紹介していく予定だ。