【深海生物】ユニークな生き方で、魅力あふれる生き物たち
深海の生き物って、とてもワクワクさせてくれるよね〜
私は小さい頃から、海の生き物が好きで、色々な生き物を調べてきた。その中でも、いわゆる深海生物たちの生き方は非常にユニークだ。
今回は、まだまだ不思議だらけで、新種がみつかることも多い深海生物に注目し、その常識はずれな生存戦略を紹介する。
1. 深海はどこから始まるのか?
まず、深海はどこから始まるのかについて定義しよう。
深海の定義について、研究機関によってまちまちだが、今回は「ウッズホール海洋研究所」上級研究員Ken Buesselerさんの定義に従う。
Ken Buesselerさんによると、海の領域は大きく3つに区分される。
それぞれの領域は、水深0〜100mの最も浅い層が「海洋表層」。水深100〜1,000mを「トワイライトゾーン」、水深1000mより深い場所を「深海」と区分される。
この分類の特徴は、「海洋表層」と「深海」の間に、「トワイライトゾーン」と呼ばれる、不思議な名前の領域がある点だ。
一般的には、この「トワイライトゾーン」と「深海」は2つを一緒にして、「深海」とされることが多い。
しかしながら、Ken Buesselerさんの「トワイライトゾーン」と「深海」では、2つの領域が明確に切り分けられている。
以下では、「トワイライトゾーン」と「深海」でそれぞれ生きる、生き物たちについて紹介する。
2.「トワイライトゾーン」を生きる深海生物たち
水深100m〜1000mの間にある「トワイライトゾーン」は、微弱ながら太陽の光が到達する「薄暗い領域」だ。
この「トワイライトゾーン」には、私たちにも広く知られるような、深海生物たちが独自の生態系を形成している。
漆黒の闇ではないけど、太陽の光が少ししか届かず、薄暗い「トワイライトゾーン」に特有の深海生物を紹介しよう。
2-1. 「赤色」が保護色
この「トワイライトゾーン」で非常に目につくのが、体の色が「赤色」の深海生物たちだ。
この「赤色」は「トワイライトゾーン」では保護色として作用する。
食用として広く知られる、ノドグロ(アカムツ)やアマダイ。また、深海生物として人気の高い、メンダコやアカグツといった生き物も、「トワイライトゾーン」に潜む「赤色」の深海生物として有名だ。
「赤色」は本当に保護色として作用するのか?
その点について、沼津港深海水族館が非常にわかりやすい実験を行なっている。
太陽光が弱く、薄暗いような環境では、「赤色」の深海生物は非常に目立つことなく、周囲の岩と色の見分けがつかなくなる。
「トワイライトゾーン」に生きる「赤色」の深海生物は、保護色である「赤色」によって天敵を避けながら生きていることが予想される。
2-2. 自ら「発光」する深海生物
また、この「トワイライトゾーン」には発光する深海生物も多く生息している。
発光する深海生物の代表は、アンコウやホタルイカ、ハダカイワシだ。
薄暗い「トワイライトゾーン」の中で自らを発光させる理由は様々だ。
アンコウのように捕食を目的として自ら発光する一方で、ホタルイカやハダカイワシが発光する理由は少し異なる。
後者の発光する理由は、「自らの身を隠す」ために発光している。
俗に「カウンターイルミネーション」とも呼ばれる非常に変わった、生存方法だ。
詳しい説明は、以下の解説記事を参考にしてほしいが、ホタルイカもハダカイワシも、体の片側しか発光器官を持たない性質をもつ。
深海の不思議が、非常に深まる深海生物たちだ。
3. 「深海」を生きる深海生物たち
さて、「トワイライトゾーン」を抜け、水深が1,000mを超えると、「深海」という領域に到達する。
その深さは1,000mから1万mまで広い幅をもち、まだ見つかっていない生き物も非常に多い領域だ。
「深海」の領域まで達すると、太陽の光は全く到達することはない。そのため、そこに生きる深海生物も、色素を持たない白い生き物が増えてくる。
また、「深海生物がどの深さまで生息できるのか?」も非常に大きな課題だ。
2017年、JAMSTEC(海洋研究開発機構)を主体とした、日本の海洋調査では、世界で初めて、深さ8,178mで生きる魚を発見した。(クサウオの仲間)
この様子はNHKでも特集が組まれ、私もリアルタイムでこの放送をみていたことを覚えている。
水深8000mという信じられない深さでも、生き物が生きているという事実は、地球の神秘を感じずにはいられない。
NHKの放送では、さらに深い場所で生きるナマコのような画像が撮影されたことも明らかになっている。
深海という極限環境に潜む生き物には、非常に大きなロマンを感じる。