東京都が自然災害の対策に、「人工衛星」を活用?
この前、東京都が「衛星データを活用した災害予兆検知高度化検証」という資料を公開していた。
近年、頻発する自然災害に対し、人工衛星の活用を検討する勉強会だ。
現状の進捗状況は、この資料から読み取れなかったが、東京都は人工衛星の積極的な活用を考えているらしい。
それでは、人工衛星は自然災害に対してどのように活用されるのだろうか?
この公開資料を受けて、自分なりに考えてみた。
1. 人工衛星による「リモートセンシング」の活用
人工衛星は自然災害に対してどのように活用できるのか?
活用法の1つとして、「リモートセンシング」という技術がある。
「リモートセンシング」とは、レーダーを搭載した人工衛星や航空機、ドローンなどで、上空から地上の様子を観測する技術だ。
この「リモートセンシング」は、観測対象に直線触れることなく観測できる点や、広い範囲を一気に観測できることがメリットとしてある。
特に近年は、地上の天候に左右されることなく、最も広範囲の観測が可能な、人工衛星による「リモートセンシング」に注目が集まってる状況だ。
2. 災害に活用される人工衛星
自然災害の状況把握に活用される人工衛星は、主に2種類ある。
1つは可視光領域の光を捕らえる「光学衛星」と呼ばれる人工衛星と、もう1つはマイクロ波を発射して、その反射を観測する「SAR衛星」と呼ばれる人工衛星だ。
この2つの衛星はそれぞれに特徴をもち、用途や状況によって使い分けられている。
2-1. 「光学衛星」
可視光領域の光を観測する「光学衛星」は、宇宙から撮影する高精度の写真のような衛星だ。
Google Earthの普及もあり、人工衛星の画像でイメージがつき易い画像でもある。
画像の特徴としては、普段私たちが撮影する写真とも非常に近いため、解釈が非常に簡単といった点がある。
一方で、撮影タイミングが日中に限られたり、雲の影響を受けるなど、欲しいときに画像が撮れないといったデメリットもある衛星だ。
近年はPlanet LabsやBlackskyなど、「光学衛星」事業者も増加しており、群雄割拠の様相を呈している。
観測機会が太陽のある日中に限られたり、雲を透過できないなどのデメリットもある。
2-2. 「SAR衛星」
マイクロ波を発射して、その反射波を観測する「SAR衛星」は、「光学衛星」のデメリットを補完する衛星だ。
昼夜関係なく観測可能であり、雲などの影響を受けずに地上の状況を観測することができる。
ただし、その画像はモノクロのため、解析にはある程度の専門知識が必要だ。
これまで、SAR衛星の開発は高価であり、「光学衛星」ほど量産されてこなかった。
しかし、近年はCapella SpaceやICEYEなどの企業が、SAR衛星の量産化に取り組んでいる。
今後の発展が楽しみな衛星だ。
3. 光学衛星とSAR衛星のメリット、デメリット
以上みてきたように、自然災害の被害状況把握には2種類の人工衛星の活用が期待されている。
「光学衛星」と「SAR衛星」の2つはそれぞれにメリットとデメリットがあり、それぞれの活用場面によって活用を使い分ける必要がある。
近年は、活用できる衛星の機数が上昇傾向だ。
今後はさらに人工衛星の活用が一般的になる可能性が高い。
資料を見ながら、人工衛星の活用がより身近になり、活用がさらに促進する未来を想像して、非常にワクワクした。
<今回公開された資料>
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